腫瘍の病因と転移

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腫瘍の病因と転移について書いていこうと思います。

 まずは腫瘍の病因についてです。

 腫瘍の病因は内因と外因に分けられます。
 内因は家系的因子、染色体異常、性的因子、人種的因子、年齢的因子などがあります。乳癌は女性に多い、胃がんは日本人に多い、年齢で発生頻度が異なるなどの特徴があります。
 外因は物理的因子(放射線被ばく、熱刺激、紫外線暴露など)、化学的因子(タール、アスベストなどの発癌物質との濃厚接触など)、生物学的因子(ウィルス)、その他の因子(タバコ、飲酒、環境、食品など)が挙げられます。以下に発癌と関係が深いウィルスを示します。
 エブスタイン・バールウィルス(EBV)・・・ 上咽頭癌、バーキットリンパ腫
 ヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV-1) ・・・・ 成人T細胞白血病
 B型、C型肝炎ウィルス(HBV、HCV) ・・ 肝細胞癌
 ヒトパピローマウイルス(HPV) ・・・・・・ 子宮頸癌

 発癌の機序にはイニシエーションとプロモーションがあります。細胞のDNAは損傷を受けても多くは癌抑制遺伝子により修復されます。
しかし、修復が失敗しDNAの突然変異が生じ、がん遺伝子が発生することがあり、この過程をイニシエーションといいます。
突然変異を生じた細胞は増殖(プロモーション)し、その細胞が癌細胞としての性質を得るプログレッション過程を経て癌化します。

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 このように癌が発生するには様々な要因があり、過程があります。
特に発癌と関連するウィルスは国家試験などによく出るので試験を受ける方は覚えておいたほうが良いです。

 次は転移についてです。

 腫瘍の転移は(1)リンパ行性転移、(2)血行性転移、(3)播種性転移の大きく3つに分けられます。
(1)リンパ行性転移
腫瘍細胞がリンパ管に入り、リンパ節に転移し増殖して、離れたリンパ節へ転移し広がります。肉腫より癌腫に多く認められる転移様式です。
・ウィルヒョウ転移:胃癌などの消化器癌が左鎖骨上窩の静脈角のリンパ節に転移を起こしたもの。
・クルークンベルグ腫瘍:消化器癌(胃の印環細胞が多い)などリンパ行性転移で両側の卵巣に転移して腫瘤を形成したもの。
(2)血行性転移
腫瘍細胞が血管内に入り、血流(主に静脈)に運ばれ遠隔転移し広がります。癌腫も多いですが、特に肉腫に多く見られます。肺は最も血行性転移しやすく、肝臓、骨、脳、腎などもしやすいです。
(3)播種性転移
癌細胞が腹腔や胸腔内にばらまかれる転移様式です。スキルス胃癌、卵巣癌、大腸癌に見られます。癌性腹膜炎や癌性胸膜炎を起こし、リンパ液の漏出により腹水や胸水が貯留します。髄芽腫や胚芽腫、脳室上衣腫のように脊髄液を介す播種性転移もあります。
・シュニッツラー転移:胃癌などの腹腔臓器がダグラス窩、直腸膀胱窩へ播種性転移したもの。直腸視診で発見されます。

このように3種類の転移形式があり、早期発見早期治療が大切となります。

それでは。

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放射線の単位と種類

放射線の基礎的な単位と種類について書いていこうと思います。

 放射線に関連した単位は色々あります。勉強している人は計測学や放射線物理などで出てきたと思いますが、一般の人は良く分からない人も多いことでしょう。そこで、知っている人は確認、知らない人は覚えてもらえたらなと思います。

 まずは放射能の単位でBq(ベクレル)です。これは1秒間に壊変する放射性核種の原子の数です。s-1とも表されます。そして、放射線の単位ではGy(グレイ)と㏜(シーベルト)があります。これらの単位はJ/kgとも表されます。吸収線量やカーマ、シーマ、衝突カーマなどにはGy(グレイ)が用いられます。放射線により物質にどれだけエネルギーが与えられたかを表します。等価線量や実効線量にはSv(シーベルト)が用いられます。これらは放射線や組織による荷重を含めた、放射線が人体にどれだけ影響しているかを表した量です。防護量に用いられます。

  等価線量=吸収線量×放射線荷重係数
  実効線量=等価線量×組織荷重係数
で算出されます。

 放射線関連で用いられるSI接頭辞は様々あります。特にμ(マイクロ)やM(メガ)などは放射線の勉強をしていくと良く出てくると思います。以下に示します。

次は放射線の種類についてです。

 放射線にはα線、β線、γ線、X線、中性子線、陽子線、炭素線など様々あります。透過性についてα線は紙、β線はアルミニウム、γ線やX線は鉛、中性子は水で止めることができます。放射線技師の人が鉛エプロンをつけるのはこのためです。
以下に放射線の透過性についての図を示します。

 α線はα壊変で放出されます。α壊変は原子核中のエネルギーがクーロン障壁のエネルギーが小さくても量子力学的なトンネル効果で核外に放出される現象です。質量数は4、原子番号は2減少します。線スペクトルを示します。壊変定数が大きいほどα線のエネルギーは大きくなります。(ガイガー・ヌッタルの法則)
 β線はβ⁺壊変かβ⁻壊変で放出されます。β⁺壊変では原子番号が1増加し、電子と反ニュートリノが放出されます。また、β⁻壊変では原子番号が1減少し、陽電子とニュートリノが放出されます。連続スペクトルを示します。またβ⁺壊変の代わりに原子核が軌道電子を捕獲する軌道電子捕獲が起こることもあります。
 γ線は核異性体転移で励起状態の原子核が安定な状態に転移するときに放出されます。質量数と原子番号は変化しません。競合して内部転換が生じます。内部転換はγ線放出の代わりに軌道電子が放出される現象です。

この記事を読んで、放射線の単位と種類について少しでも理解して頂けたら幸いです。