咽頭癌

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咽頭癌は部位によって上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌に分かれます。

上咽頭癌についてです。

 上咽頭癌では初診時に70%の割合で頸部リンパ節転移が見られます。上頸部後方のリンパ節が見られるのが特徴です。上咽頭癌は頭蓋底と
parapharyngeal space への進展を有するため、手術的に切除することが困難で、治療は放射線が中心となります。これに化学療法が併用されます。扁平上皮癌が約90%でシスプラチンが有効とされています。
 T1~4、N0~3、M0の全ての癌が根治的放射線治療の対象となります。T3~4の進行例で放射線治療と同時併用化学療法で生存率の改善が得られるという報告が多く、一般的となっています。リンパ節転移を想定した大照射野で45Gy程度を照射後、原発巣に追加照射を行います。最近では強度変調放射線治療(IMRT)を用いて、唾液腺などの線量を減らす試みがなされています。

中咽頭癌についてです。

 中咽頭は気道と食道の交差点で”かぜ症候群”の首座です。東南アジアに多く、口腔内の衛生と関係があります。男性に多いです。早期例は放射線治療が主体で、進行例や放射線抵抗例では手術を行います。
 T1~T2、N0では放射線治療が優先されます。左右対向2門で開始し、40~45Gyの段階で治療計画を行い脊髄線量を抑え、総量70Gyを投与します。T3以上の進行例は放射線感受性の悪い例では40~45Gyの段階で手術を行います。リンパ節転移には頸部郭清を行います。
 治療成績は全体の5年生存率で40~60%程度です。

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下咽頭癌についてです。

 早期には症状が発現しにくく、過半数がT3~4でありリンパ節転移例も6割以上と頭頚部腫瘍の中で最も予後が悪いです。手術とh放射線治療を組み合わせて治療を行います。化学療法の同時併用による有意が明らかになりつつあり、進行例では検討に値します。部位としては梨状窩、輪状軟骨後部、下咽頭後壁があります。
(1)梨状窩
 T1,2の早期例では放射線治療単独、手術が行われ、同程度の成績です。T3,4では手術が行われ、切除不能例では放射線治療と化学療法がおこなわれます。
(2)輪状軟骨後部
 切除可能例では切除と術後照射、切除不能例では放射線治療と化学療法が行われます。
(3)下咽頭後壁
 T1では放射線治療単独、T2~4では切除と術後照射が行われます。
 全体の治癒率は35%程度で局所病変で60~80%程度です。リンパ節転移をきたした例では20~40%、遠隔転移で10~20%程度の5年生存率です。放射線単独での成績はこれより劣ります。

以下に咽頭、喉頭の分類を示します。

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悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれます。
これらについて説明していこうと思います。

まずはホジキンリンパ腫についてです。

 欧米ではホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の約半数を占めるが、日本では15~20%にすぎません。20歳前後と50歳以上に好発年齢の二峰性ピークがあり、男性にやや多いです。頸部リンパ節の無痛性の腫脹で発症することが多いです。特徴的な点は、隣接するリンパ領域に連続して順に進展することです。臨床病期の決定には、骨髄生検、血液検査(LDH、赤沈など)、単純X線写真、CT、超音波検査などが必要です。組織学的には5つに分けられ、予後が相違します。臨床病期はAnn Arbor分類が広く用いられています。
 治療法です。
 Ⅰ、Ⅱ期ではABVDなどの化学療法後に限局照射による放射線治療を行います。
 ⅢA期では主に化学療法単独で80%の10年無病生存率が得られます。
 ⅢB期、Ⅳ期はABVDによる化学療法が一般的です。
 ⅠA~ⅢB期で縦隔に巨大腫瘤を有する症例やⅢ期以上では化学療法とinvolved fieldの放射線治療が必要です。また、1個のリンパ節腫大とそれに連続する骨病変などの限局した節外病変を持つ症例ではしばしば、放射線治療単独で制御可能です。
 全体で5年生存率は90%、非再燃生存率は80%です。Ⅰ、Ⅱ期ではそれぞれ90~95%、80~85%、Ⅲ、Ⅳで60~85%、40~60%程度となっています。

次に非ホジキンリンパ腫についてです。

 非ホジキンリンパ腫では組織型、病期、リスクファクターを明らかにし、根治治療、対症療法、経過観察のいずれかを選択します。放射線治療と化学療法が主体で、腫瘍内科医と放射線治療医などが協議して治療を行います。最近ではWorking Formulationに代わり、REAL分類が多く用いられています。しかし、REAL分類は臨床側からの視点に欠けるため、悪性度や予後に関する検討がなく欧米症例が中心で、B-cell diffuse large cell typeが約過半数を占める日本では再分類が必要と考えられます。
 軽悪性群のⅠ~Ⅱ期では放射線単独で5年生存率は80~100%です。広い照射野は不要で線量は30~35Gyです。予後は良いが治癒には至らないので保存的な考え方が必要です。
 軽悪性群のⅢ~Ⅳ期では病期が進行しても長期生存が可能です。経過観察から骨髄移植まで種々の治療法がとられるが、長期予後には大きく関与しません。放射線治療も行われますが、対症療法となることが多いです。
 中、高悪性群のⅠ~Ⅱ期で大きな腫瘤がない場合はCHOPまたはリツキサン+CHOP(RCHOP)3コース後30~40Gyの放射線治療を行います。大きな腫瘤があったり、予後不良であったりする場合はCHOPの回数を増やします
 中、高悪性群のⅢ~Ⅳ期はCHOPによる化学療法が中心となり、化学療法の再発例では治癒は難しく、末梢血管細胞移植による大量線量法も考慮します。

脳腫瘍と口腔・口唇癌

まずは脳腫瘍についてです。

 脳腫瘍の病理的分類は多岐にわたるため、手術により組織診断を確定し、術後照射の照射範囲と線量を決定します。小児や決定臓器が隣接する場合には、放射線障害に留意する必要があります。
 神経組織は神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(ニューログリア)からなります。脳実質から発生する腫瘍は、神経膠腫と神経細胞起源の腫瘍で、基本的に悪性腫瘍の性質をもったものです。脳実質以外から発生するその他の腫瘍(神経鞘腫、下垂体線種)は良性です。脳腫瘍のうち原発性が約90%、転移性が約10%となっています。転移性脳腫瘍のうち肺癌が50%、乳癌が15%、大腸癌が10%ほどとなっています。成人の脳腫瘍は主に大脳に発生しますが、小児の場合は半数以上が小脳や脳幹に発生します。
 放射線治療の適応ですが、放射線感受性がよく根治可能なものとして松果体腺腫や髄芽腫などがあります。予防的適応が白血病と肺小細胞癌などです。神経膠芽腫は難治性で延命効果を目的に照射されます。

 治療における放射線照射方法には全脳全脊髄照射、拡大局所照射、局所照射、定位放射線治療などがあります。
 全脳全脊髄照射の適応には髄芽腫や脳室上衣芽腫、松果体部胚腫などがあります。定位放射線治療の適応には転移性脳腫瘍や聴神経鞘腫などがあります。
 このように脳腫瘍は腫瘍の種類が多彩で、腫瘍の種類によって線量や照射方法が決められています。また、生理的体動が少なく固定がしやすいため、高精度な放射線治療技術を生かすことができます。

次は口腔・口唇癌についてです。

 T1~2の早期例では完治照射、T3~4では放射線と手術を組み合わせます。
 頸部リンパ節陽性例では根治的頸部郭清が原則で、外部照射を行う場合には頸部リンパ節を照射野に含めます。早期例以外での手術例では、頸部リンパ節陰性でも頸部郭清を行います。進行例では化学療法の同時併用が有効とのデータ
があります。
 口唇の粘膜面は頬粘膜つまり口腔として扱います。口腔癌は舌(前2/3)、口腔底、頬粘膜、歯槽と歯肉、硬口蓋を指します。舌の後ろ1/3は中咽頭癌に分類されます。
 口腔癌の半数を占める舌癌はリンパ管に富み、動きが多いため初診例の30~60%にリンパ節転移を見ます。舌癌ではT1~2N0では組織内照射単独、N1では放射線治療後に頸部郭清、T3~4では術後照射を行います。
 歯肉癌は男性に多く下顎に多いです。骨浸潤がある例(T4)が多く手術が中心となります。

 口腔底癌の放射線治療ではT1~T3では組織内照射あるいは外照射と組織内照射の組み合わせ、外照射単独で行われます。総線量で70Gy程度とし、T4は原則として手術が行われます。

以下に口腔癌の分類を示します。

粒子線治療の特徴と治療の流れ

陽子線治療と重粒子線治療についてです。

 現在日本では数か所の施設で陽子線治療と重粒子線治療が行われています。
ブラッグピークという特性のため、X線などに比べて陽子線や重粒子線ではがん病巣に集中的に照射できるという利点があります。
しかし、保険が一部の疾患(前立腺癌、小児癌の陽子線治療と切除非適応の骨軟部腫瘍の重粒子線治療など)にしか適用されていません。したがって、保険適応外の疾患ではX線治療に比べて高額な治療費(約228万)がかかります。

陽子線治療と重粒子線治療のメリットデメリットを以下に示します。

・陽子線治療
メリット   病巣以降の分布をほぼ0にできる。
デメリット  生物学的効果比が低い(X線の1.1倍)
・重粒子線治療
メリット   生物学的効果比が高い(X線の2~3倍)、鋭いブラッグピーク
デメリット  病巣以降にも少し線量が付与される。

 また、照射野拡大法には散乱体法とスポットスキャニング法の2種類の方法があります。
 散乱体法は散乱体を用いて、フィルタやボーラスにより照射野を腫瘍の形に合わせていく方法です。中性子が発生する可能性があります。スポットスキャニング法は電磁石を用いてX軸とy軸方向で細いビームを作り、スポットを埋めていく方法です。施設によってこの方式は異なります。
 以下に各照射野拡大法について示します。

 治療に関わっているスタッフは医師、看護師、放射線技師、医学物理士、事務、メーカーの方などです。
 各職種の役割を以下に示します。
医師   ・・・問診や治療計画の確認
看護師  ・・・病棟の患者さんの体重測定や薬の内服管理、状態の悪い患者さんの場合、照射中の監視
放射線技師・・・照射や治療計画用のCT、MRI撮影、固定具作成など
医学物理士・・・主に治療計画
事務   ・・・患者さんのデータ管理、陽子線認知のための広報活動、カルテ管理、医師の診療予定の把握、電話対応など
メーカー ・・・機器管理など
また、多職種で現在の状況や今後の治療方針を話し合うカンファレンスが行われています。

 次は治療の流れです。

 初めに患者さんへの説明をします。次に固定具作成をします。この時に必要ならシェルも作成します。その後CT、MRI撮影をします。そして、CT画像とMRI画像を融合させたフュージョン画像を作成します。次にコンツールを作成します。コンツールとは腫瘍や臓器の輪郭を囲む作業のことです。その後治療計画を作成し、担当医師の承認を経て治療開始となります。
固定具作成から治療開始まではおよそ1週間かかります。

 照射室に入ってからの流れです。

 患者さんを照射室に案内し、患者さんにあわせた固定具をのせた寝台の上に寝ていただき、必要な時はシェルで顔や体を固定します。レントゲンまたはCTを撮り、治療計画時の画像と照合し位置を合わせます。次に、散乱体法の場合はボーラスを設置し、照射します。

治 療から退院までです。治療期間は患者さんの状態や疾患により異なりますが、約1~2か月です。治療終了後も受診の機会をつくり、治療効果や副作用の経過をみていきます。患者さんが安心して治療に望めるように関わっていくことが大切となります。

電子線とX線の性質

まずは電子線についてです。

 電子線が物質に入射するときの、相互作用について説明していきます。
 電子は軽いので基本的に散乱されやすいです。弾性散乱(運動エネルギーが保存)と、原子を励起・電離してエネルギーを失う非弾性散乱があります。また、原子核の正電荷によりクーロン引力を受けて制動放射をし、方向を変えます。散乱の確率(断面積)はエネルギーの2乗にほぼ反比例し、標的物質の原子番号の2乗に比例します。結果として、電子線は何回かの散乱によって入射方向に対して90°以上進行方向を変えることがあり、これを後方散乱といいます。このように、質量の小さい電子線は多重散乱によりエネルギーを落とします。たとえ一様なエネルギーの電子線であっても、その多重散乱の過程は統計的ゆらぎがあり、一様な飛跡を表しません。また、電子の速度が物質中での高速を超えると特定の方向に電磁波(チェレンコフ光)を放射するチェレンコフ効果と呼ばれる現象を起こします。条件は荷電粒子であること、速度v>c/n (nは物質の屈折率)、しきい値がある(水中で約250keV)、真空中では怒らないなどがあります。

次はX線の発生と性質についてです。

 様々な分野で使用されている、X線の発生と性質についてお話ししようと思います。
 X線には制動X線と特性X線があります。制動X線は高速電子が原子核との相互作用により発生します。特性X線は原子の安定化のために空位の内殻軌道に外側の軌道の電子が遷移するときに発生します。制動X線は連続エネルギースペクトルを示し、強度分布は入射電子のエネルギーと方向に依存します。最短波長はデュエン・ハントの式で与えられます(λ[nm]=1.24/V【kV】)。最大波長は管電圧のみで決まり、管電流やターゲット物質、原子番号などには依存しません。制動X線の全強度Iは管電圧の2乗、管電流i、ターゲットZの原子番号に比例します(I=kV²iZ)。供給電力はP=I/Pであるので、
発生効率はη=I/P=kVZ×100となり、管電圧と原子番号に比例します。
 制動X線のエネルギースペクトルでは管電圧を上げると最大エネルギーも全強度Iも増加します。
 特性X線では遷移に関係する軌道のエネルギーの差が発生X線のエネルギーになります。特性X線はモーズレーの式で表されます。
(√v=k(Z-S))ただし振動数v、k、Sは定数、Zは原子番号です。原子番号が大きいほど特性X線の振動数は大きくなります。
K殻に電子が遷移するのに出る特性X線はエネルギーは
EKα<EKβ<EKγ、放出確率はIKα>IKβとなります。
 特性X線と競合する過程にオージェ効果があり、これは特性X線放出の代わりに外殻電子を放出して安定化することです。特性X線の放出のしやすさを蛍光収率といい、原子番号が大きくなるほど大きくなります。

放射線治療について

放射線治療の基礎と使用されている加速器について書いていきます。

 放射線治療は手術、化学療法と並んでがん治療の3大療法の1つとなっています。
 放射線治療の目的は、腫瘍に線量を集中的に照射し、周囲の正常組織への線量を極力低減させて、癌を根治する、あるいは症状を緩和することです。この目的を達成するために症例ごとに、照射する部位と大きさ、照射方法、処方線量とその分割線量、併用する化学療法等、適切で個別化された放射線治療計画を作成する必要があります。

 放射線治療は外部照射と内部照射に大別されます。
 外部照射ではリニアックが用いられます。リニアックでは電子線治療やX線治療が行われます。陽子線治療や重粒子線治療ではリニアックに加えてシンクロトロンと呼ばれる円形加速器が用いられます。全国的に行われているのはX線や電子線治療です。陽子線治療や重粒子線治療は莫大な費用や広い敷地が必要なため、日本で十数か所でしか行われていません。また体内深部の腫瘍に集中して治療できる反面、一部の疾患にしか保険適用されておらず高い治療費がかかります。
 内部照射では放射線同位元素が用いられ、組織内照射や腔内照射などが行われています。子宮頸がんや舌癌、甲状腺がんなどの治療に用いられます。

 放射線治療に用いられる加速器についてです。
 加速器とは電場により粒子を加速して、高エネルギーを得るためのものです。静電場で加速するコッククロフトウォルトン加速器やヴァンデグラーフ加速器、高周波電場で発生するベータトロン、サイクロトロン、シンクロトロン、線形加速器(Linac)などがあります。現在医療の現場で主に用いられているのはサイクロトロン、シンクロトロン、線形加速器(Linac)です。
 サイクロトロンはPET(Positron Emission Tomography)検査でのPET核種生成にもちいられます。
 線形加速器(Linac)は電子線治療やX線治療の際に用いられ、陽子線治療や重粒子線治療の際の前段加速器に用いられます。4~10MeV程度まで加速されます。
 シンクロトロンは陽子線治療や重粒子線治療の際に用いられ、粒子をより高エネルギーに加速します。巨大で高額な加速器です。

 線形加速器は加速部とヘッド部に分けられます。
 加速部ではまず電子銃と呼ばれるもので電子を加速管内に打ち込みます。そして、クライストロンやマグネトロンといったマイクロ波発信管によりマイクロ波を、導波管を通して加速管内に供給します。そのマイクロ波によって電子が加速されます。加速方式には進行波型と定在波型がありますが、定在波型が多く使われています。
 ヘッド部では偏光電磁石で電子が90°あるいは270°曲げられます。その後、X線治療の場合はターゲット、平たん化(フラットニング)フィルタを用いて強度を平たん化します。電子線治療では散乱箔(スキャッタリングフォイル)で平たん化します。その後モニタ線量計で測定されます。またマルチリーフコリメータで腫瘍の形に合わせて照射野が形成されます。

治療に携わっていると、加速器開発や製作している人々はすごいと日々感じています。

今後は各治療などについて詳細を書いていきたいと思います。

腫瘍の病因と転移

腫瘍の病因と転移について書いていこうと思います。

 まずは腫瘍の病因についてです。

 腫瘍の病因は内因と外因に分けられます。
 内因は家系的因子、染色体異常、性的因子、人種的因子、年齢的因子などがあります。乳癌は女性に多い、胃がんは日本人に多い、年齢で発生頻度が異なるなどの特徴があります。
 外因は物理的因子(放射線被ばく、熱刺激、紫外線暴露など)、化学的因子(タール、アスベストなどの発癌物質との濃厚接触など)、生物学的因子(ウィルス)、その他の因子(タバコ、飲酒、環境、食品など)が挙げられます。以下に発癌と関係が深いウィルスを示します。
 エブスタイン・バールウィルス(EBV)・・・ 上咽頭癌、バーキットリンパ腫
 ヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV-1) ・・・・ 成人T細胞白血病
 B型、C型肝炎ウィルス(HBV、HCV) ・・ 肝細胞癌
 ヒトパピローマウイルス(HPV) ・・・・・・ 子宮頸癌

 発癌の機序にはイニシエーションとプロモーションがあります。細胞のDNAは損傷を受けても多くは癌抑制遺伝子により修復されます。
しかし、修復が失敗しDNAの突然変異が生じ、がん遺伝子が発生することがあり、この過程をイニシエーションといいます。
突然変異を生じた細胞は増殖(プロモーション)し、その細胞が癌細胞としての性質を得るプログレッション過程を経て癌化します。

 このように癌が発生するには様々な要因があり、過程があります。
特に発癌と関連するウィルスは国家試験などによく出るので試験を受ける方は覚えておいたほうが良いです。

 次は転移についてです。

 腫瘍の転移は(1)リンパ行性転移、(2)血行性転移、(3)播種性転移の大きく3つに分けられます。
(1)リンパ行性転移
腫瘍細胞がリンパ管に入り、リンパ節に転移し増殖して、離れたリンパ節へ転移し広がります。肉腫より癌腫に多く認められる転移様式です。
・ウィルヒョウ転移:胃癌などの消化器癌が左鎖骨上窩の静脈角のリンパ節に転移を起こしたもの。
・クルークンベルグ腫瘍:消化器癌(胃の印環細胞が多い)などリンパ行性転移で両側の卵巣に転移して腫瘤を形成したもの。
(2)血行性転移
腫瘍細胞が血管内に入り、血流(主に静脈)に運ばれ遠隔転移し広がります。癌腫も多いですが、特に肉腫に多く見られます。肺は最も血行性転移しやすく、肝臓、骨、脳、腎などもしやすいです。
(3)播種性転移
癌細胞が腹腔や胸腔内にばらまかれる転移様式です。スキルス胃癌、卵巣癌、大腸癌に見られます。癌性腹膜炎や癌性胸膜炎を起こし、リンパ液の漏出により腹水や胸水が貯留します。髄芽腫や胚芽腫、脳室上衣腫のように脊髄液を介す播種性転移もあります。
・シュニッツラー転移:胃癌などの腹腔臓器がダグラス窩、直腸膀胱窩へ播種性転移したもの。直腸視診で発見されます。

このように3種類の転移形式があり、早期発見早期治療が大切となります。

それでは。

放射線の単位と種類

放射線の基礎的な単位と種類について書いていこうと思います。

 放射線に関連した単位は色々あります。勉強している人は計測学や放射線物理などで出てきたと思いますが、一般の人は良く分からない人も多いことでしょう。そこで、知っている人は確認、知らない人は覚えてもらえたらなと思います。

 まずは放射能の単位でBq(ベクレル)です。これは1秒間に壊変する放射性核種の原子の数です。s-1とも表されます。そして、放射線の単位ではGy(グレイ)と㏜(シーベルト)があります。これらの単位はJ/kgとも表されます。吸収線量やカーマ、シーマ、衝突カーマなどにはGy(グレイ)が用いられます。放射線により物質にどれだけエネルギーが与えられたかを表します。等価線量や実効線量にはSv(シーベルト)が用いられます。これらは放射線や組織による荷重を含めた、放射線が人体にどれだけ影響しているかを表した量です。防護量に用いられます。

  等価線量=吸収線量×放射線荷重係数
  実効線量=等価線量×組織荷重係数
で算出されます。

 放射線関連で用いられるSI接頭辞は様々あります。特にμ(マイクロ)やM(メガ)などは放射線の勉強をしていくと良く出てくると思います。以下に示します。

次は放射線の種類についてです。

 放射線にはα線、β線、γ線、X線、中性子線、陽子線、炭素線など様々あります。透過性についてα線は紙、β線はアルミニウム、γ線やX線は鉛、中性子は水で止めることができます。放射線技師の人が鉛エプロンをつけるのはこのためです。
以下に放射線の透過性についての図を示します。

 α線はα壊変で放出されます。α壊変は原子核中のエネルギーがクーロン障壁のエネルギーが小さくても量子力学的なトンネル効果で核外に放出される現象です。質量数は4、原子番号は2減少します。線スペクトルを示します。壊変定数が大きいほどα線のエネルギーは大きくなります。(ガイガー・ヌッタルの法則)
 β線はβ⁺壊変かβ⁻壊変で放出されます。β⁺壊変では原子番号が1増加し、電子と反ニュートリノが放出されます。また、β⁻壊変では原子番号が1減少し、陽電子とニュートリノが放出されます。連続スペクトルを示します。またβ⁺壊変の代わりに原子核が軌道電子を捕獲する軌道電子捕獲が起こることもあります。
 γ線は核異性体転移で励起状態の原子核が安定な状態に転移するときに放出されます。質量数と原子番号は変化しません。競合して内部転換が生じます。内部転換はγ線放出の代わりに軌道電子が放出される現象です。

この記事を読んで、放射線の単位と種類について少しでも理解して頂けたら幸いです。