放射線技師 転職

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放射線技師の転職についてです。

放射線技師は病院で働くのが一般的です。
私自身は医学物理士として病院の治療部門で計画業務をしています。

 放射線技師の仕事は診断部門では一般撮影、CT、MRI、核医学(PETやSPECTなど)、透視など、治療部門では固定具作成、治療計画、照射など多岐にわたります。診断部門は日曜当直や夜勤があるところが多く、治療部門は平日に照射を行うので土日休みが多いです。
 また、放射線取扱主任者として原発などで働いている人、大学院で博士号をとり大学の教員として働いている人もいると思います。

 給与的には病院にもよりますが、長年働いても年収1000万を超えるのは厳しいといわれています。個人的に放射線技師の方はお金に関して不満を持っている人が多い気がします。大学教授や、転職して医療機器メーカーに勤めると1000万を超える企業もあります。

 私も将来医療機器メーカーで働きたいと思っています。関係者の話を聞くと忙しいとは思いますが、最先端の医療機器を日本各地の医療従事者へ伝えていくやりがいがあると思います。

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 2014年にiPS細胞などを使った治療を規制する再生医療安全性確保法と、細胞シートなどの再生医療等製品や医療機器の承認手続きを簡素化する改正薬事法(医薬品医療機器等法)が施行されました。既存の医薬品・医療機器以外の、再生医療等製品という第三のカテゴリーが新たに設けられ、再生医療等製品に関して速やかな承認手続きが行われるよう、法整備が進められました。今後の日本経済の成長を支える起爆剤として、再生医療等製品に対する期待はますます高まっています。
 再生医療等製品が本格的に治療などに使われるようになるためには、それを培養するための培養装置や、再生医療等製品を加工・インプラントするための専用機器なども必要とされることが予測されます。その意味では、医療機器業界を中心とした周辺産業にも大きな波及効果があるものと大いに期待されています。
 また、手術用ロボットの分野でも、先行する米インテュイティブサージカル社に負けじと、日本の大手企業が続々と参入を表明しています。「日の丸ロボット」が医療機器分野で活躍する日も近いかもしれません。日本政府も国を挙げて、医療機器産業の発展を後押ししてくれていて、成長が楽しみな医療機器業界となります。
 このように先々の夢に溢れた医療機器業界ですが、足元でみても、相変わらずの活況が継続しているようです。少々遡りますが、リーマンショックの半年後からいつものような求人オーダーが復活しており、それが現在も継続している状況となります。求人オーダーが途絶えません。これは医療機器業界が食品などと並ぶディフェンシブな業界だからです。たとえば、皆、風邪をひけば耳鼻科に行きますし、それに伴い、耳鼻科の医療機器メーカーにも、恒常的に注文が入るわけですから…。その意味では、極めて安定した良い業界といえると思います。
 社会貢献度の高さも、やはり大きな魅力のひとつです。自分が開発した、あるいは、販売した医療機器で患者様の命を救えるとしたら、こんな素敵な職業はないのではないでしょうか? 医療機器業界で働いている多くの人は、そんな思いで、日々業務に励んでいます。
 そんな将来有望で、かつ、安定した、社会貢献度の高い医療機器業界ではありますが、職種により大きく求人の傾向が異なります。営業職、マーケティング職、薬事職、品質保証、安全管理、クリ二カルスペシャリスト、サービスエンジニアなど、医療機器メーカー内にはいろいろな職種の方が働かれておりますが、それぞれの職種で募集内容も異なります。
 医療機器業界への転職をお考えの方は、それぞれの職種に見合った転職対策を検討していく必要があります。また、医療機器業界ですでにお勤めの方は、中長期のビジョンをもって、キャリア形成を計画的に行い、もしもの時のためにキャリアで武装(リスクヘッジ)していく努力がとても大切となると思います。
 特に外資系医療機器メーカーでお勤めの方の場合、日本法人の動向とは全く無関係に、本国(海外親会社)の合併・売却などで、命運が左右されるケースもあるので、キャリアで武装することは、ある意味必須といえるかもしれません。

 今の時代は病院での放射線技師業務に限らず、起業をしたり医療機器メーカーに転職したりと色んな選択肢があるので自分の目指すもの(年収、安定、働き方)などを考えて挑戦していくべきだと思います。

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チェルノブイリ原子力発電所事故

 チェルノブイリ原子力発電所事故は、1986年4月26日1時23分(モスクワ時間)にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故です。後に決められた国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類され、世界で最悪の原子力発電所事故の一つです。原子炉運用ルールの不徹底に始まり、行政当局による事故の隠蔽や、高レベル放射線により遠隔操作の機械が急激に大破・故障し、原子炉の暴走を食い止めるために数多くの人員が投入された事などが原因となり、人的被害は人類史上最悪となりました。現在に至るまで、原子力事故の典型例として各種メディアで頻繁に引用されている事故です。

 事故発生時、4号炉では動作試験が行われていました。試験の内容はいわゆるストレステストで、外部電源が遮断された場合の非常用ディーゼル発電機起動完了に要する約40秒間、原子炉の蒸気タービンの惰性回転のみで各システムへの電力を充足できるか否かを確認するものでした。しかし、責任者の誤った判断や、炉の特性による予期せぬ事態の発生により、不安定状態から暴走に至り、最終的に爆発しました。 動作試験は原子炉熱出力を定格熱出力の20 – 30%程度に下げて行う予定でしたが、炉心内部のキセノンオーバーライドおよびオペミスによって熱出力が定格の1%にまで下がってしまいました。運転員は熱出力を回復するために、炉心内の制御棒を引き抜く操作を次々に行いました。これにより熱出力は7%前後まで回復しましたが、反応度操作余裕(炉心の制御棒の数)が著しく少ない不安定な運転状態となりました。これにより実験に支障が出ることを危惧した運転員らは、非常用炉心冷却装置 (ECCS) を含む重要な安全装置を全て解除したうえで、実験を開始しました。実験開始直後、原子炉の熱出力が急激に上昇し始めたため、運転員は直ちに緊急停止操作(制御棒の挿入)を行いましたが、この原子炉は特性上制御棒を挿入する際に一時的に出力が上がる設計(ポジティブ・スクラム)だったため原子炉内の蒸気圧が上昇し、緊急停止ボタン(AZ-5ボタン、起動するのに約5 – 8秒、スクラム完了にはさらに20秒程度かかる)を押した7秒後に爆発しました。
この爆発事故においては、
・制御棒など根本的設計の欠陥。
・運転員への教育が不十分だった。
・特殊な運転を行ったために事態を予測できなかった。
・低出力では不安定な炉で低出力運転を続けた。
・実験が予定通りに行われなかったにもかかわらず強行した。
・実験のために安全装置をバイパスした。
など多くの複合的な要素が原因として挙げられます。学者らによる後の事故検証では、これらのいずれかが1つでも守られていれば、爆発事故、あるいは事故の波及を最小限に抑えることができた可能性が高かったともいわれています。
 ソ連政府は当初、事故は運転員の操作ミスによるものと発表しましたが、事後の調査結果はこれを覆すものが多かったです。重要な安全装置の操作が運転員の判断だけで行われたとは考えにくく、実験の指揮者の判断が大きかったものと推定されます。これに原子炉の設計上の欠陥が後押しする格好となりました。
 事故から20年後の一部報道の中には、暴走中に「直下型地震」が発生したことが爆発につながったとするものもありますが、京都大学の今中哲二は、他の1 – 3号炉に異常が無かったこと、付近の住民が地震についての証言をしていなかったことなどから、地震計に記録されているとされるその振動は、4号炉の爆発そのものによって引き起こされたものであると反論しています。
 4号炉は1983年12月21日に完成しましたが、その翌日の12月22日の原子力産業の記念日に合わせて4号炉を完工するために、耐熱材質を不燃性材質から可燃性材質へと変更して施工を強行したことも放射性物質の拡散拡大の原因のひとつに挙げられます。
 2004年にイギリス・BBCとカナダ・ヒストリー・テレビジョン(英語版)により製作された再現ドラマゼロ・アワー (2004年のTVシリーズ)(英語版)シーズン1第1話「チェルノブイリの災害(Disaster at Chernobyl)」によると、実験当時の現場の技術責任者にはRBMK-1000型原子炉の特性について熟知している者が誰もいなかったとされています。所長のヴィクトル・ブリュハーノフ(ロシア語版)は火力発電所や蒸気タービンの建設でこそ実績があったが、原子力発電所については経験が無く、4号炉建設当時には前述の材質変更を強行して記念日前の完工を達成し出世した人物でした。技師長のニコライ・フォーミンは原子力については通信教育で学んだのみで、実際の現場の指揮はフォーミンの部下で副技師長であったアナトリー・ディアトロフ(英語版)に一任していました。そして事故当時の現場の最高責任者であったディアトロフも、原子力を独学で習得して技術畑を歩んできた苦学者ではあったものの、RBMK-1000の特性自体は理解しておらず、晩年のインタビュー映像では「(RBMK-1000型の)原子炉の特性を事前に知らされていれば、あのような実験は決して行わなかった。」と述懐する有様でした。

デーモンコア

 放射線に関する事故関連のデーモン・コア(demon core)について書いていきます。

 デーモン・コア(demon core)は、アメリカのロスアラモス研究所で各種の実験に使われた約14ポンド(6.2kg)の未臨界量のプルトニウムの塊です。以下に画像を示します。事故前はルイス・スローティン博士が「ルーファス」(Rufus)と名付けていましたが、安全性を度外視した危険な実験や不注意な取り扱いのために1945年と1946年にそれぞれ臨界状態に達してしまう事故を起こし、二人の科学者の命を奪ったことから「デーモン・コア(悪魔のコア)」の悪名がつけられました。

・最初の臨界事故

 1945年8月21日、ロスアラモス研究所で働いていた物理学者のハリー・ダリアン(英語版)は、プルトニウムの塊を用いて中性子反射体の働きを見る実験を行っていました。プルトニウムの塊の周囲に中性子反射体である炭化タングステンのブロックを積み重ねることで徐々に臨界に近づける、という要旨の実験でした。ブロックをコアに近づけ過ぎると即座に臨界状態に達して核分裂反応が始まり、大量の中性子線が放たれるため危険です。しかしダリアンは手が滑り、ブロックを誤ってプルトニウムの塊の上に落下させてしまいました。プルトニウムの塊は即座に核分裂を起こし、そこから放たれた中性子線はダリアンを直撃しました。ダリアンはあわててブロックをプルトニウムの塊の上からどかせたものの、彼はすでに致死量の放射線(推定5.1シーベルト)を浴びていました。ダリアンは25日後に急性放射線障害のために死亡しました。

・第二の臨界事故

 1946年5月21日、カナダ出身の物理学者ルイス・スローティンと同僚らはロスアラモス研究所にて、未臨界の核分裂性物質に中性子反射体をどの程度近づければ臨界状態に達するか、の正確な距離を調べる実験を行っていました。今回使われた中性子反射体はベリリウム、臨界前の核分裂性物質として使われたのは前年ダリアンの命を奪ったデーモン・コアです。スローティンらは球体状にしたベリリウムを分割して二つの半球状にしたものを用意し、その中央にデーモン・コアを組み込みました。そして、ベリリウムの半球の上半分と下半分との間にマイナスドライバーを挟み込み、手に持ったマイナスドライバーをぐらぐらさせて上半分の半球をコアに近づけたり離したりしながらシンチレーション検出器で相対的な比放射能を測る、という実験を行いました。挟みこんだドライバーが外れて二つの半球を完全にくっつけてしまうと、デーモン・コアは即座に臨界に達し、大量の中性子線が放たれるため危険です。この実験は、たった一つの小さなミスも許されない危険性からロスアラモス研究所のスタッフの中でも人望高い研究者リチャード・ファインマンが「ドラゴンの尻尾をくすぐるようなものだ」(”tickling the dragon’s tail”)と批判し、他のほとんどの研究者は実験への参加を拒否したほど悪名高いものでした。しかし、功名心の強い若き科学者であったスローティンは皆の先頭に立って何度かこの手の実験に参加しており、ロスアラモスのノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミも「そんな調子では年内に死ぬぞ」と忠告していたと言われます。
 そしてついにこの日、スローティンの手が滑り、挟みこんだドライバーが外れて二つの半球が完全にくっついてしまいました。即座にデーモン・コアから青い光が放たれ、スローティンの体を熱波が貫きました。コアが臨界状態に達して大量の中性子線が放出されたことに気づいたスローティンは、あわてて半球の上半分を叩きのけ連鎖反応をストップさせ他の研究者たちの命を守ろうとしました。彼は文字通り皆の先頭に立って実験を行っていたため、他の研究者たちへの放射線をさえぎる形で大量の放射線をもろに浴びてしまいました。彼はわずか1秒の間に致死量(21シーベルト)の中性子線とガンマ線を浴び、放射線障害のために9日後に死亡しました。  
 スローティンの間近にいた同僚のアルバン・グレイブスも中性子線の直撃を受けましたが、彼はスローティンの肩越しにデーモン・コアを見ていたため、中性子線がいくらかスローティンの体によってさえぎられ、数週間の入院ののちに無事に退院しました。しかし、その吸収線量は少ないとはいえず、慢性の神経障害と視覚障害の後遺症が残り、放射線障害に生涯苦しみぬきました。
 その他の研究者たちは臨界を起こしたデーモン・コアからの距離が十分離れていたため、幸い身体的な影響は出ずに無事であった。

このデーモン・コアから分かるように放射線の歴史は長く、様々な失敗を経験して現在の放射線の技術の発展があるといえます。

放射線技師のバイト

放射線技師のバイトについてです。

放射線技師のバイトの求人はindeedやタウンワークなどで検索すると出てきます。
自分に合った求人に応募して働く感じなので普通のバイトとあまり変わりませんが、経験年数が必要だったり、マンモグラフィー等のために女性を求めている求人もあるので注意が必要です。基本的に都会(東京、大阪、札幌など)では多くの求人が出ており、条件が合えば合格するのかなと思います。
大体時給は1000円~3000円くらいで病院によって変わってきます。

 僕は大学院時代に病院で放射線技師のバイトをしていました。全部で3つの病院でバイトしましたが、それぞれで良い経験が積めたと思います。
 1つ目は病院付属のクリニックで泌尿器や股関節領域、胸腹部の一般撮影とCT撮影、骨密度測定などを行いました。忙しい時間帯もありましたが、休んでいる時間が多かったと思います。股関節領域の有名な先生がいたので、全国各地から患者さんが集まっていました。時給は1200円程度でした。
 2つ目は少し古い内科の病院で主に胸部や腹部、単純造影のCT撮影、ポータブル撮影、透視などを行いました。比較的疲れ切ったご年配の患者さんが多い印象でした。時給は2000円程度で、バイトにもかかわらず賞与まで出していただいてすごくありがたかったです。
 3つ目は整形外科の病院で主にMRI、CT、一般撮影、術中イメージなどを行いました。色んな整形外科領域の撮影を覚えることができました。元気な患者さんが多かったです。時給は2000円程度でした。当直もありました。術中イメージは緊張感があって少し疲れますが、基本的にはすごく忙しい感じではなかったです。

 僕は大学院時代に余裕があったので、バイトをすることができました。研究室によっては忙しくてバイトどころではない所もあると思いますが、臨床経験を積むためにも、放射線技師の資格を持った大学院生はなるべく病院でバイトするべきだと思います。普通のバイトよりも、時給が高いところが多く、適度に休みながらできるのでよいバイトだと思います。当直のみで15000円くらいで、普通に正社員として働いていていて、当直を手伝いに来ている人もいました。ただし、病院によっては副業が禁止になっているところもあるので、注意が必要だと思います。

 放射線技師のバイトは比較的時給が高く、そんなに忙しくはなく、出産後の女性技師さんや大学院生、副業など様々な人がすることができるので、資格のある方は上手く活用していけたらと思います。

放射線防護の原則(内部被ばく)

 医療においては、放射性物質を非密封状態で使用することが多いです。その非密封放射性物質がいずれかの事情により体内に取り込まれ、人体内から組織にエネルギーを与えることを内部被ばくといいます。
 さらに、人工RI核種に限らず、自然放射線による被ばく線量の半分近くを占めているのが、空中に自然に存在しているラドンガスからの内部被ばくによるものです。核種の内部被ばくの危険度は、種々の取り扱い条件により大きく異なりますが、特記事項としては以下のものが挙げられます。
・α各種
・低エネルギーβ核種
・長半減期核種
・臓器集積性核種
などです。
 体内に放射性物質が取り込まれた場合、その物質の物理的半減期Tpと、組織生理機能とその物質の生理的活性に対応した生物的半減期Tbに応じた関数としての有効(実効)半減期Teffで、人体に影響を与え続けます。
1/Teff=1/Tp+1/Tb
この式は診療放射線技師国家試験や放射線取扱主任者試験でもよく出る式となっています。
体内に取り込まれた核種により、特異的な臓器に集積するもの、全身へ分布するもの、核種の違いなどで影響の大きさが異なるので注意が必要です。以下の図に詳細を示します。

 非放射性物質の体内への摂取経路は、経気道・経口・経皮の3経路です。したがって、非密封放射性物質使用施設の管理区域内では、喫煙・食事・飲水は禁じられています。また取り扱い時は必ず手袋をしなければなりません。さらに、不用意な汚染により体内にRIを摂取しないように、液体をこぼしたような場合は、すぐふき取り、こぼした箇所にマークを付け、次に使用する人に不要な汚染拡大をさせないような配慮が必要です。

 内部被ばく低減の3原則は、まずは被ばく3経路の遮断が基本となります。体内に取り込まれなければ内部被ばくは発生しないので、摂取させないことが防護の基本となります。
 取り込み防止のための具体的な注意事項として3D2Cの原則が知られています。以下に示します。

3D
dilute:希釈
可能な限り低濃度で用いる。体内に入った時の危険性を低下させる。

disperse:分散
換気、廃液希釈を行い、低濃度にすることにより、危険性を低下させる。

dicontaminate:除去
汚染除去、RIを取り除くことにより、危険性を低下させる。

2C
contain:閉じ込め
容器への収納、フード内使用により、RIが拡散しないようにする。

concentrate:集中化
線源保管など、管理の分散により線源不明のないようにする。

放射線防護の3原則(外部被ばく)

放射線が利用されるときには防護体系に従って行われます。

 防護の目的に沿って、放射線被ばくを伴う新たな行為とすでに導入している行為を変更する場合に対してどのような放射線防護の方策を講じなければならないか示した体系が、放射線防護体系です。
その具体的方策が(1)行為の正当化、(2)防護の最適化、(3)個人の線量限度の3つになります。

外部被ばく防護の3原則を以下に示します。
①線源から距離をとる。(距離)
 放射線からの吸収線量は、単位断面積にどれだけの放射線エネルギーが入射しているかによります。線源から離れると、単位断面積に入射する放射線量は離れた距離の2乗に反比例して減少します。これを「距離の逆2乗則」と呼びます。
以下の図のように、線源に近づいている場合は、ほんの少し離れるだけで、線量が激減することが分かります。線源より1m以上離れると最初の1/100以下になります。また、ある程度離れるとBG(バックグラウンド)レベルとなり、さらに離れても減少効果にさほどの変化はありません。
 発生源から離れる、トングなどを使用して線源に接近しない、などの防護における「距離」の有用性を理解することはとても重要です。

②線源からの放射線を遮蔽する。(遮蔽)
 線源と人体との間に、放射線吸収体(遮蔽体)を置くことにより、人体の吸収線量は減少します。遮蔽体は、線源からの距離がとれないような場合に活用します。しかし、放射線の線質及び透過能力、遮蔽体の材質や遮蔽能力(質量減弱係数や質量阻止能)により、常に有効な遮蔽効果が期待できるわけではありません。
 光子(X線やγ線)の遮蔽で、特に高エネルギーの光子に対しては、透過能力が強いため、遮蔽体を用いることのメリットとデメリット(防護衣着用の重さ、機能性の低下など)を考慮して遮蔽体使用の適否を判断しなければなりません。
 また、高エネルギーβ線の安易な遮蔽により、かえって透過能力の高い制動X線が発生することにも配慮しなければなりません。
 医療現場ではα線をしようすることはほとんどありません。α線そのものの空気中での飛程は数cm程度ですが、α崩壊によるγ線の放出や、特定核種との(α,n)反応による中性子の発生に注意しなければなりません。α線での制動X線発生はほとんど考慮しなくてよいです。
 10MeVを超える電子線、X線の利用が増加し、それに伴う光核反応(X,n)で発生する中性子の遮蔽への配慮も必要になってきます。

③線源を扱っている時間を短くする。(時間)
 放射線を取り扱う時間に比例して人体の吸収線量は増加しますが、どうしても必要な作業時間が存在し、それ以上短くすることができないです。可能な限り、短時間でも作業を終えることを念頭に置いて、防護に際しては距離効果と遮蔽効果を有効活用することが大切です。

この中で最も効率が良いのは「距離をとる」ことです。

これらの原則にしたがって、放射線の取り扱いをする必要があります。

生殖腺、骨・軟部組織の放射線有害事象

・生殖腺
特徴とリスク因子:男性不妊からの回復は線量に依存しており、被曝量が多いと回復に長時間を要します。幹細胞である精原細胞の細胞周期が長く、多くの幹細胞が放射線抵抗性の細胞周期相にいるために、1回に大きな線最の照射を受けるよりも、分割照射や低線量率持続照射の方が幹細胞の障害は大きいです。精子は成熟した細胞でありDNA量も半分であるために放射線抵抗性であり、42日の命をもっていることから、少なくとも被曝から6週間は不妊とはなりません。男性ホルモンを産生している間質細胞(Leydig細胞)は放射線抵抗性で、精巣に永久不妊を起こす線量が照射されても、ホルモンレベルは正常に保たれ、二次性徴に変化が起こることはないです。Sertoli細胞も抵抗性です。
卵巣への照射の影響は精巣への影響とは明らかに異なります。幼若な卵胞中の卵細胞はリンパ球と同様に放射線感受性が高いです。また、精原細胞のように分割効果はないです。成長期の女性の卵胞にある卵原細胞は放射線感受性が高くアポトーシスで死にます。女性ホルモンの産生は卵胞の成熟と関連しているため、精巣照射となりホルモン値はただちに低下します。
急性期有害事象:なし。
晩期有害事象:月経の一時停止、不妊、性ホルモン値の低下、去勢。

・骨・軟部組織
特徴とリスク因子:幼弱な骨ほど低線量で骨端や軟骨に変化を起こしやすいです。皮質骨・骨梁ともに影響を受けます。成人骨では放射線照射によって骨芽細胞と破骨細胞の機能のバランスが破壊されて晩期有害事象が起こります。骨障害の主役は血管系の障害で、骨組織に囲まれているため同一線量でも吸収線量が軟部組織内に比べて多く、また側副路も形成されにくいです。下顎骨壊死は組織内照射や抗がん薬が併用されると類度が有意に増加します。関節への照射は後期障害が臨床的に間題となります。病態は間接腔の狭小化、軟骨の萎縮、線維化、骨梁の骨粗鬆、結合織の硝子化などを起こします。
細胞分裂を起こさない骨格筋組織は、部分的な血管障害が生じても、障害を受けていない他の血管から栄養されるので壊死に陥ることはないです。
急性期有害事象:浮腫、骨壞死、成長停止。
晩期有害事象:成長障害、側彎、運動障害、硬結(線維化)、環障害(リンパ浮腫)、四肢の短縮、関節腫脹、関節の狭小化、関節拘縮、骨壊死。

・発がん
特徹とリスク因子:白血病は照射後3カ月後位からでも発生しますが、固形癌は5~数十年と長い潜伏期を経て現れます。放射線治療による二次がん発生のリスクは5年生存例の約1%です。放射線治療では放射線誘発がんのリスクがあることは否定できませんが、治療によって得られる利益に比較すれば、そのリスクはきわめて小さいといえます。近年の高エネルギー治療では中性子の発生も問題になります。とりわけIMRTなどMU値の高くなるものは注意を要します。

消化管、肝臓、腎臓、膀胱、脳・脊髄の放射線有害事象

・消化管
特徴とリスク因子:照射野の広さ、1回線量との関連が深いです。消化管の中で小腸の感受性が最も高く、次いで結腸、胃、直腸です。食道が最も放射線感受性が低いです。腹部ならびに骨盤部の手術や炎症の既往があり、腸管の癒着がある患者では有害事象の類度ならびに重症度が増加します。食道は漿膜を欠き、最外層が外膜となっているため穿孔を起こしやすいです。抗がん薬や分子標的薬との併用や腹部・骨盤部手術既往などがリスク因子となります。
急性期有害事象:悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、易疲労感、嚥下痛、嚥下困難、食道炎、穿孔、潰瘍。
晩期有害事象:排便異常、出血、疼痛、潰瘍、穿孔、線維性狭窄、腸閉塞、直腸膀胱腟瘻。

・肝臟
特徴とリスク因子:肝細胞の放射線感受性は比較的高いです。肝は並列臓器であるため、肝門部が含まれない部分照射では大きな線量にも耐え得ます。急性反応は線量依存性です。肝硬変(Child・Pugh Grade B 以上)で有害事象のリスクが増加します。動注の併用やウイルスの活性化にも注意が必要です。
急性期有害事象:肝酵素の上昇、浮腫、うっ血、腹水貯留。
晩期有害事象:中心静脈、亜小葉静脈の拡張、肥厚ならびに類洞のうっ血、出血、線維化。容積の縮小。

・腎職
特徴とリスク因子:放射線感受性の高い臟器です。急性反応では糸球体瀘過率が低下することがありますが、有害事象は緩徐に進行して何年も無症状のことがあります。骨髄移植の際の全身照射後や胃リンパ腫照射の際に放射線腎症をきたすことがあります。
急性期有害事象:浮腫、腎炎。
晩期有害事象:腎硬化症(縮賢)、悪性高血圧。

・膀胱
特徴とリスク因子:膀肬の放射線感受性は直腸などに比較して低く、発症も2年以降に出現するとが多く、数年して発症することもしくないです。
急性期有害事象:頻尿、残尿感、血尿、膀胱炎。
晩期有害事象:頻尿、出血性膀胱炎、尿閉、萎縮膀胱

・脳・脊髄
特徴とリスク因子:全脳照射では照射後数時間で、脳浮腫が出現します。放射線という物理刺激に対する血管透過性亢進による生理学的反応です。亜急性の有害傷害として、脳照射4~週間後に嘔気や微熱を伴った意識混濁を認めることがあり、Somnolet症候群と呼ばれています。脳には細胞分製をしない神経細胞と細胞分裂をする神経膠細胞があり、放射線による細胞死は神経膠に起こり、脱髄に至ります。脳障害の主体は後期反応で照射後6か月に一過性の脱髄やさらに重篤な白質脳症が起こります。血管のフィブリノイド変性・閉塞による脳壊死は6カ月ぐらいから出現することもありますが、2,3年後に発症することが多いです。周囲に圧迫効果を呈することもあり、再発との鑑別が困難なこともあります。
脊髄も脳と同様に放射線感受性が低いので、急性の有害事象が臨床上問題となることはないですが、照射後数カ月後に一過性の脱髄による症状(Lhermitte徴候)を呈することがあります。メトトレキサート、シスプラチン、シタラピンなどの抗がん薬で有害事象は増強します。
急性期有害事象:脳浮腫、脳圧亢進症(頭痛、嘔気、嘔吐、徐脈)、傾眠。
亜急性期有害事象:Somnolent症候群、一過性放射線脊髄症(Lhermitte徴候)。
晩期有害事象:壊死、白脳症、痴呆、放射線脊髄症(Brown-Sequard症候群)。

実際の臨床での放射線治療ではこれらの障害をなるべく起こさないようなビーム角などの計画方針、DVHによる線量評価などが行われています。

眼球、肺、心臓の放射線有害事象

・眼球
特徴とリスク因子:水晶体上皮は放射線感受性がきわめて高く早期にアポトーシスが誘導されます。白内障発症までの潜伏期は6カ月から35年(平均2~年)ですが、線量が大きいほど潜伏期は短くなります。網膜細胞では色覚には関与しない桿体細胞の方が放射線感受性は高いです。
急性期有害事象:眼臉炎、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、流涙、涙分泌減少、眼球乾燥。
晩期有害事象:網膜症、視神経萎縮、白内障、角膜潰瘍、涙腺萎縮。

・肺
特徴とリスク因子:放射線肺臓炎はⅡ型肺胞上皮細胞の損傷によって発症する間質性肺炎で、血管透過性亢進による浸出性変化を主体とする病変です。古典的には照射野内に限局しますが、照射野外にも及ぶものもあり、バイスタンダー効果によると考えられる肺の有害事象は線量、分割法、照射体積等に依存するだけでなく、併用される薬剤、喫煙歴、照射前の肺機能、間質性肺炎や膠原病の有無等に影響されます。肺線維症は障害された肺組織に線維穿細胞が動員され、筋線維穿細胞に分化してコラーゲンや細胞外基質蛋白を過剰生産して完成します。
Grade2以上の放射線肺臓炎の発症リスクを低減させるためには、20Gy以上照射される正常肺の体積(V20)が肺全体の体積の40%を超えないようにすることが重要です。また、抗がん薬を併用した場合には35%以下に抑えることが必要といわれています。
急性期有害事象:放射線肺臟炎(咳嗽、発熱、呼吸困難)。
晩期有害事象:肺線維症、気管狭窄。

・心臓
特徴とリスク因子:心筋細胞は非分裂系であり放射線感受性は低いため、心臓の有害事象は照射中に起こることは稀で、多くは後期障害事象として出現します。心外膜炎は照射後数カ月して出現し心嚢液貯留をきたします。心筋症はアドリアマイシンによって増強されることが知られている乳に併用される類度の高いハーセプチンと照射の併用は避けるべきです。照射後に心駆出率にの穴下がみられることがあります。弁膜異常や冠動脈疾患が放射線によって誘発されることがありますが、詳細は不明となっています。
ペースメーカーや埋め込み式細動器が放射線治療によって誤作動することが間題となっています。これらが照射野内に含まれることは避けるべきですが、前立腺癌の骨盤部IMRT(intensity-modulated radiatio therapy)によってもペースメーカーがデフォルトモードになったとの報告もあり、ペースメーカーや理め込み式細動器挿入患者の放射線治療の際には十分に注意を払う必要があります。詳細はガイドラインを参照されると良いと思います。
急性期有害事象:稀
晩期有害事象:心外炎、心嚢液貯留(発熱、胸痛)。心電図異常(STやT波の異常、低電位)。

骨髄、皮膚、粘膜、唾液腺、甲状腺の放射線有害事象

各臓器の放射線有害事象の特徴とリスク因子についてです。急性期有害事象ならびに晩期な害事象を以下に簡単に示します。

・骨髄
特徴とリスク因子:リンパ球はきわめて放射線感受性が高く照射後ただちにアポトーシスが誘導され、照射中に照射野を流れるだけでも間期死を起こします。広い照射体積の治療では放射線単独でも骨制抑制が出現することがあります。抗がん薬の併用が最大のリスク因子です。
急性期有害事象:形成不全、汎血球減少。
晩期有害事象:脂肪髄、骨髄線維症、白血病。

・皮膚
特徴とリスク因子:放射線急性反応は皮膚の表皮と真皮の反応です。皮脂腺は高感受性のために、皮膚に紅斑を生じさせない少ない線最でも皮膚の乾燥感が生じます。摩擦や紫外線などの物理的刺激、抗がん薬などの化学的刺激、分子標的薬(セツキシマプ)の併用等の生物学的刺激がリスク因子となります。
急性期有害事象:発赤、紅斑、乾性皮膚炎、湿性皮膚炎、脱毛。
晩期有書事象:色素沈着、色素脱出、毛細血管拡張、皮膚萎縮、後期難治性潰瘍、瘢痕、永久脱毛、皮膚の乾燥感。

・粘膜
特徴とリスク因子:粘膜細胞の寿命は皮膚上皮よりも短く、放射線に対して急速な反応を示します。歯や歯冠修復物の鋭縁削除、抜歯、補綴物の撤去、保存可能な歯牙の治療等の口腔内処置が治療前に必要です。内外眼角部、口唇、ロ角、外尿道ロ、肛門等の皮膚粘膜移行部は感受性が高いです。会話や温熱による物理的刺激、飲酒・喫煙・抗がん薬等の化学的刺激が反応を増悪させます。
急性期有害事象:発赤、充血、紅斑、浮腫、びらん、出血、白苔、潰瘍、口腔乾燥感、味覚障害、耳閉感。
晩期有害事象:線維化、瘢痕、潰瘍、口内乾燥症、味覚異常、慢性中耳炎、難聴。

・唾液腺
特徴とリスク因子:機能低下は照射開始早期から出現します。症状の程度や持続時間は線量に依存し、自覚症状が改善するまでに長期間を要します。唾液中のアミラーゼは唾液腺機能をよく反映するため、唾液腺機能低のよい指標となります。耳下腺に多い漿液腺の方が放射線に高感受性であるために、唾液量の減少以上に患者はロ内のねばねば感を訴えます。
急性期有害事象:耳下腺腫脹、唾液過多、アミラーゼ上昇、粘調唾液、口腔乾燥感。
晩期有害事象:ロ内乾燥症、嚥下障害、味覚障害、睡眠障害、ロ内感染症、齲歯。

・甲状腺
特徹とリスク因子:甲状腺機能低下の臨床症状は稀ならず観察されます。頭頚部腫瘍や食道癌などで頸部照射された患者では、TSH、T3、T4などの血液データの異常と、さまざまな甲状腺機能低下症に注意が必要です。
急性期有害事象:なし。
晩期有害事象:TSHの上昇、T3の低下、心嚢液貯留、粘液水腫。