X線CTの進歩

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X線CT装置の進歩についてです。

1972年にEMIスキャナが発表されて以来、数年を経ずして数多くのメーカや研究グループによって新たなCTがつぎつぎと開発され、研究に参入した研究所あるいは企業はそれぞれ競い合った結果、装置の性能が大幅に向上することになりました。

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医療において画期的なCTの登場は、医療界に、一種のブームを引き起こしアメリカ、ヨーロッパ、日本など先進国を中心に猛烈なスビードで普及することになりました。生体の内部が、外科的手段を用いなくても非侵襲的に観察できるということで、CTは医療界だけでなく産業界、あるいは科学、新聞、メディアなどにも盛んに取り上げられました。その後、1980年代前半の時期に入ると、性能向上の面でも.、また普及面でもスピードが緩やかになり、安定成長期を経て成塾期に入ったといわれたました。しかし、1985年に発表された世界初のスリップリング技術をベースとしたヘリカルスキャン(helical scan) 技術(らせん型スキャン技術)が開発され、臨床面での高い価値が認められるや、各メーカや先進的病院によって、ふたたびつぎつぎに性能向上がなされ、CTの勃興期と同じような熱気に満ちたました。まさにCTルネッサンスとでもよべる時代を迎えています。

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X線CTの歴史

x線CTは1972年、イギリス人のハンスフィールド(G.N.Hounsfield) とアプローズ (J.Ambroe) によって発表されました。今日X線CTと総称されている装置のなかで最初に製作された装置はEMI(イギリス)社のもとて開発されたEMI-scannerです。この方法は、対象とする物体の多方向から連続的にX線照射し、物体を透過したX線の情報を検出器を用いて検出し、それによって得られたデータをコンピュータて計算させるという手法を用いていました。当時EMI社の中央研究所にいたハンスフィールドはコンピュータによるパターン認識の研究に従事するかたわら、物体の内部を外部から測定した情報を基に知ることができないかと考えていました。従来からのX線画像は三次元からなる物体を平面像として撮影するもので、物体(患者)からの散乱線の影響と検出として用いる蛍光体やフィルムの性能が微小なX線の吸収差を写し出すには十分ではなかったです。

 これらの欠点を除き人体の断面像を得るためにX線断層撮影装置が開発されました。これはX線管とフイルムを同時に動かしてX線画像を得ようとするもので、目的部位のうち目的とする層にのみ焦点が合うようにして、その外の層や領域はボケを生じてよくわからないような画像とすることができます。X線管とフィルムの動きを直線的に動かす断層装置や円運動、渦巻き状、三つ葉状、アーク状などに動かして多方向から撮像する装置、あるいは多層断面の像を得るよう設計された装置です。これらは現在でも断層撮影として臨床現場で使用されています。

 しかし.このような原理で撮影された画像は焦点以外の領域や層をぼかしているため、提供されるような病症に対しては多数の断層像を必要とし、1枚当たりから提供される空間情報が少ないという欠点を含んでいました。

X線CTの出現

X線CTの出現についてです。

 今日、放射線機器のなかでなくてはならないX線CT(computed tomography:コンビュータ断層撮影)は、1972 (昭相47)年にイギリスのハウンスフィールド(G.N.Hounsfield)によって開発されました。彼はX検出器をX線管に対応して並べました。そして得られたX線吸収値を逐一コンビュータへ送り、数字的な計算を行って画像を描出することに成功しました。彼はその業績によって、ノーベル医学賞を受員しました。

 初期は頭部専用装置であり、当時わが国の主要死因の脳血管疾患の減少に役立ちました。1970 (昭和45)年ころより脳血管疾患による死亡は減少しましたが、これはまさにわが国のCTの普及と軌を一にしています。

 CTはその後全身用に発展し、肺癌、肝癌、膵癌、腎癌などの発見に大きな威力を発揮し、現在も全国各地で用いられています。

 3大死因をの一つである心疾思も死亡する人は後を絶たず、とりわけ虚血性心疾思を起こす冠状動脈硬化症の早新発見は、強く望まれてきました。

 心疾患を高速で撮影したいとの希望は、EBT(electron beam tomography、超高電子ビームCT)の開発をもたらしました。X線管をに機械的に回転させる通常のCTと違い、この装置は固定されたタングステンターゲット上を電子ビームが走査して、1回転50ミリ(0.05)秒の超高速でX線を発生させることができます。心電図の心拡張期と同期させてX線を発生させることで、冠状動脈の描出に威力を発揮し、とくに冠状動脈硬化症の初発症状である心冠状動脈壁の、動脈硬化症によるアテローム(粥状)変性に基づく、石灰沈着の発見に大きな効果を発揮しました。その後にヘリカルCT、マルチスライスCT(multi-slice CT:MSCT) が出現すると、EBTは急激に減少し、今日ほとんど姿を消していますが、虚血性心疾患発見に道を開いた功績は記録に残ります。

 従来のCTで撮影時間を短縮したのがヘリカルCTであり、ガントリの回転とともにテープル(寝台)を動かすことで、広範囲な部位を短時間で撮影することが可能になりました。短時間で撮影できることは動態撮影を可能にしました。たとえば肝臟の病変を調べるのに、血流による造影剤の染まりをみる動態撮影(dynamc CT)は有用であり、短時間連続撮影の特性を生かした方法です。造影剤の急速注入後、動脈相、門脈相、静脈相での造影剤の染まりをみることで、肝の質的診断、血管腫との鑑別に効果があることが証明されました。

 CTの高速化の願望は、ヘリカルCTだけにとどまらず、21世紀はじめにはMSCT(マルチスライスCT)の出現をもたらしました。検出器が多列化し、ガントリ回転速度の高速化、空間分解向上によって、1回の撮影で膨大な画像データが得られるようになりました。

 たとえば検出器が256列(ch)のMSCTでは、脳全体のデータが1回転1秒のスキャンで得られるようになり、撮影時間では通常のX線撮影装置に接近した、さらに検出器の数は増加していますし、ガントリ内に2個のX線管球をセットした方式も登場しています。

 MSCTは動態画像の作成に非常に有効で、従来は血管造影でしか得られなかった心臓冠状動脈が、心電図同期を用いた撮影で時間分解能が向上し、冠状動脈狭窄症や冠状動脈硬化症のアテローム変性で器質化した血栓(プラーク)の量的分市、性状診断など、従来の血管造影で得られない携報を得ることができるようになりました。

 動きのない薄い撮影断面 (thin slice) を短時間に画像が取得できるMSCTの特性は、高精細な三次元画像の作成に役立ちます。CT画像をもとに三次元画像で全身の血管が描出されます。冠状動脈のみならす、大動脈疾患や血管疾患の診断・治療に有用であることが確立されました。以下に3次元血管画像の例を示します。

 消化管領域では MSCTの画像をもとに大腸の仮想内視観 (CT-colonography) が、1990年代後半よりアメリカで登場し、いまや欧米では従来の大腸内視規に代わり普及しています。

 わが国では. これを胃の診断に応用した成果もでていて、胃バリウム検査や胃内視観のような抵坑感がなく、楽に検査を受けられると好評です。胃内視鏡との比較実験で、感度、特異度ともに90%以上の好成績が得られ、悪性所見の見逃しもないです。将来、胃バリウム検査、内視鏡検査と並ぶ第3の方法として期待されています。