乳癌

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乳癌についてです。

乳癌は40~60歳で好発する乳腺の上皮性の悪性腫瘍です。ほとんどが腺癌であり、乳管上皮由来のものがほとんどです。放射線感受性は高いです。通常は片側性で外側4分の1(C領域)に好発します。また脳などに早期転移しやすく、腋下リンパ節、鎖骨上リンパ節、鎖骨下リンパ節などへリンパ節転移する恐れがあります。5年生存率はⅠ期で40%、Ⅱ期で60%と高いですがⅣ期で10%となるので、早期発見早期治療が大切です。

ご存知の方が多いと思いますが、最近は小林麻央さんのニュースなどで取り上げられた疾患です。現在日本における女性の癌罹患率で1位、癌死亡率で5位となっております(国立がんセンター 2017年 癌統計予測)。また、女性で乳癌は増加傾向です。

健康増進法に基づき乳癌検診は40歳以上の方を対象に2年に1回行われています。検査項目は問診、視診、触診、マンモグラフィなどです。マンモグラフィは乳房X線検査のことで通常の胸部X線撮影よりも低いエネルギーで撮影し、石灰化などの検出を行います。撮影時に乳房を圧迫するのは、被ばく線量低減と画質向上のためです。乳癌の死亡率が下がることが科学的に確認されてので、検診は重要であるといえます。石灰化はカテゴリーで1~5に分けられ、大きくなればなるほど悪性が疑われます。
治療はⅠ/Ⅱ期は早期では乳房温存療法が乳房切除術と同等の生存率で、美容的にも優れています。Ⅲ/Ⅳ期では乳房切除術、放射線、抗癌剤、ホルモン剤による集学的治療が行われます。

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乳癌の放射線治療では乳腺全体と所属リンパ節転移へは、主に60Coγ線、4~6MVX線あるいは電子線照射が適用されます。陽子線治療が行われることもあります。特に、60Coγ線あるいは4~6MVX線による接線照射で、50~60Gyが照射されることが多いです。接線照射では、ビーム角度、半影、くさびフィルタの角度などを十分考慮して治療計画しなければなりません。そのためには、ビームは完全な対向ではなく、そのビーム角度を5°程度振らなくてはならない場合が生じます。いずれにしても、個々の患者データであるX線CT画像を用いた正確な三次元放射線治療計画が重要となります。

有害事象としては皮膚の硬化、肋骨骨折、放射線肺炎、心臓障害の発生に注意する必要があります。手術不能の進行例には温熱療法との併用も行われています。
早期発見、早期治療により完治しやすくなると思われます。
以下に乳癌の石灰化のカテゴリとステージについて示します。

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前立腺癌

前立腺癌についてです。

 高齢者に多く見られ、進行が緩徐であるため、患者の全身状態、担癌状態に応じた治療方針が必要となります。欧米での罹患率は日本の10~20倍で、米国では男性死因のトップです。日本でも急増しており、放射線治療の重要なターゲットです。病期、PSA値、病理学的悪性度(Gleason grade)、リンパ節転移の有無は互いに相関し、予後の判定に役立ちます。遠隔転移は骨や肺、肝臓や脳などに見られます。これまで若年者では、stagingのためのリンパ節郭清と前立腺摘出を行い、高齢者では放射線治療が選択されることが多かったのですが、最近ではB期の早期例に対して125Iのアイソトープ線源を50~100個埋め込む小線源治療が普及しつつあります。利点は数日の入院でよく、性機能が保
持されやすいことなどです。放射線治療はリンパ節転移がない早期例では局所のみに限局照射、リンパ節転移陽性例あるいは陽性の可能性が高い例では全骨盤照射のあとに前立腺への追加照射を行います。ステージC以上ではホルモン療法を併用します。病期はA(A1、A2)、B(B1、B2)、C、D(D1、D2)期があります。
 治療方法についてです。分化型のA1例は無治療で経過観察のみで良いです。A-B期例では、前立腺に限局した照射野で72Gy以上の外部照射あるいは125I小線源治療を行います。C期では外部照射とホルモン療法の併用を行います。D 期はホルモン療法中心となります。また、IMRT(Intensity Modulated Radiotherapy)など高度な照射法により直腸障害を避けることが大切です。骨転移に対しては対症的に照射しますが、病的骨折に留意する必要があります。そして、造骨制骨転移巣にたいして89SrによるRI治療も可能です。
 陽子線治療の場合は0°と180°の対向2門照射が基本となります。リスク臓器は直腸と膀胱で直腸や膀胱の障害を防ぐために、線量評価を行いながら行っています。また、膀胱内の尿量により腫瘍の位置が変化するので、畜尿1時間などの前処置を施します。直腸内のガスが多い場合などは看護師さんにメラトンを施行してもらうこともあります。
 5年生存率はA2期で100%、B期で90%、C期で60%、D期で30%程度となっています。

MFH、軟部腫瘍、皮膚癌

まずはMFHについてです。

MFH(malignant fibrous histiocytoma)は悪性線維性組織球腫のことで、線維芽細胞系腫瘍細胞の中に組織球系腫瘍細胞が多く分布する腫瘍です。組織球(マクロファージ)や未分化間葉細胞が起源と考えられていますが、詳細は不明です。50~70代に多く発生し、男性に多いです。筋肉、脂肪の中に多く発生します。まれに骨に発生することがあり、これを骨悪性線維性組織球腫と呼ぶ場合もあります。
治療は手術が第一選択で、化学療法の使用に対しては明確なエビデンスがありません。術後照射66Gy/33回の放射線治療で局所制御が向上するという報告があります。

次は軟部腫瘍についてです。

悪性腫瘍では脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫などが多いです。横紋筋肉腫のかなりの部分はembryonal typeで小児に好発するが、その他の悪性軟部組織肉腫は成人に発生することが多いです。軟部組織肉腫の治療は広範囲切除が原則です。腫瘍の残存があれば術後照射、化学療法を行います。放射線感受性は腫瘍の種類と分化度によって異なります。脂肪肉腫、横紋筋肉腫では感受性は中等度以上です。
脂肪肉腫は高分化型、粘液腫型、円形細胞型、多形細胞型に分かれ、高分化型は手術のみで大半が根治するので放射線は不要といわれています。他の細胞型では術後照射を必要とし60Gyを照射します。放射線感受性は良いです。
横紋筋肉腫は胎児型、胞巣型、多形型に分類されます。胎児型は乳幼児から小児の頭頚部に多く、5年生存率は50%、胞巣型は10代に多く、どの部位にも発生して5年生存率は10%と悪いです。多形型はまれな腫瘍で成人の四肢に多く5年生存率は25%程度、特に胎児型は放射線感受性が良いです。50~60Gy照射します。
線維肉腫は放射線抵抗性で高LET放射線治療か術中照射を行います。
平滑筋肉腫は化学療法も放射線療法も効果が少ないです。

皮膚癌についてです。

皮膚癌は基底細胞癌、有棘細胞癌、腺癌(エクリン腺癌、アポクリン腺癌、脂腺癌、Paget病)、悪性黒色腫、皮膚悪性リンパ腫に分類されます。日本では有棘細胞癌が半数を占め、基底細胞癌、悪性黒色腫が続くが、悪性黒色腫が増加しています。
基底細胞癌は極めて緩徐に発育し、転移もほとんどないので、生命に危険はないです。日光との関係があり大多数は顔面に発生します。手術または放射線治療が行われ、照射は電子線で50~60Gyで大部分が治癒します。
有棘細胞癌は顔面の他、下肢、前腕、陰茎に発生し、進行すればリンパ節転移しますが、血行性転移はまれです。放射線皮膚炎や瘢痕から発生する皮膚癌は有棘細胞癌に属します。照射は電子線で60~70Gyで大部分が治癒します。

骨肉腫、Ewing肉腫、転移性骨腫瘍

骨肉腫についてです。

 原発性骨腫瘍では最も多く、小児の膝関節に好発します。早期に血行性転移を生じるため予後は不良でしたが、手術と化学療法の併用によって治療成績は飛躍的に向上し、10年生存率は60~80%に達しています。このため、近年では患肢の温存(最近では90%で可能)が重要となってきました。
 骨肉腫の放射線感受性は高く、四肢発生の骨肉腫では外部照射は行われないですが、顎骨、顔面骨、脊椎発症例では手術に放射線治療を併用することがあります。術中照射は皮膚などへの障害もなく病巣部に高線量を投与できます。手術的に骨腫瘍を露出し、神経、筋肉、血管を剥離して充分にセーフティーマージンをとって50Gy 程度照射します。これにより良好な局所制御が得られますが、照射後の病的骨折が問題となります。骨壊死が起こるので一般的ではないですが、重粒子線治療の効果があります。

次はEwing腫瘍についてです。

 若年性で小児腫瘍に入ります。小円形細胞からなる腫瘍で神経分化を示すことがあり、末梢性のprimitive neuro ectodermal tumor(PNET)に属するとの考えがあります。medullobrastoma、neuroblastoma、pineoblastomaなどのPNETと同様に放射線感受性は良好ですが、早期に骨転移するため、強力な化学療法を行い、可能ならば手術します。非切除例、不完全切除例では放射線
治療を行います。
 下肢長の左右差が大きくならないと予想される場合には、骨全体に60Gy 照射します。左右差が大きくなると予想される場合には、肢切断後、化学療法を行ったほうが、肢機能が保存されます。骨盤原発の場合には線量を40Gy程度とします。

最後に転移性骨腫瘍です。

 脊椎、骨盤に多く、四肢では大腿骨、上腕骨に多いです。原発巣では乳癌、肺癌、前立腺癌などが多いです。
 放射線治療が第一選択となります。1回2~4Gy、3~5回/週で30~40Gy照射します。予後が短いと予想される場合には1回線量を多くして短期間に終了します。一方で長期生存が期待される場合には骨の新生を期待し1回線量を落とします。症状に対しては80%以上の症例で有効です。病的骨折があります。骨外性に大きな腫瘍があります。放射線抵抗性などの転移性で長期生存が期待できる例では手術も考慮します。
 骨転移に対して放射線治療を開始してからの生存率は乳癌で1年60%程度、肺癌で50%生存率が3か月程度です。脊椎転移例で脊髄圧迫症状にある例では減圧手術が必要です。麻痺が完成すると機能は回復しません。欧米では骨転移に対して89Srの内照射が普及していて、日本でも保険適応となっています。

白血病と骨髄腫

白血病についてです。

白血病は血液の癌ともいわれています。
 急性か慢性か、骨髄性かリンパ性かによって大きく4つに分かれそれぞれに合った治療法があります。急性は病気の進行が早く、慢性はゆっくりとなっています。
 リンパ性白血病と悪性リンパ腫の名前は似ていますが、臨床的な違いがあります。リンパ性白血病の原発は骨髄、腫瘤形成はまれなのに対して、悪性リンパ腫の原発はリンパ節で、リンパ節に腫瘤を形成することが多いです。
 白血病の放射線治療では予防的全脳照射と全身照射が用いられます。予防的全脳照射は低リスク群以外のALL(急性リンパ性白血病)で適応となります。篩板、網膜後部、視神経に沿うくも膜下腔を十分に含む全頭蓋骨内くも膜下腔、尾側は第二頸椎下縁までを含むstepped field を用います。左右対向2門照射で1回1.5Gy、一日一回照射週5回、総線量18Gy、1歳以下12Gyが標準です。
 全身照射は小児ALLの再発時、成人ALLの第一寛解期、すべての非リンパ性白血病で適応となります。分割照射で総線量12Gy(1日2回、6分割)で線量率を10~20cGy/分程度にします。全身照射の方法にはlong SAD法、スイートビーム法、ビーム移動法、治療台移動法などがあり、long SAD法が多用されています。

次は骨髄腫についてです。

 骨髄腫は形質細胞由来の悪性増殖性疾患でmultiple myeloma、medullary plasmacytoma、extramedullary plasmachtomaに大別されます。multiple myelomaは大部分を占めるもので骨髄内に広く形質細胞の増殖を認め、モノクローナルな免疫グロブリンの産出を特徴とします。medullary plasmacytomaは孤立性または多発性で50~60歳の男性の大腿骨、骨盤骨、椎体骨に好発しますが、骨髄浸潤は見られないです。extramedullary plasmachtomaも孤立性または多発性で、骨外性の粘膜下に発育します。約80%が頭頚部に発生する特徴があります。

1)multiple myeloma(多発性骨髄腫)
 化学療法が主体で、放射線治療の主な適応は局所の疼痛の緩和、脊髄症状の緩和、化学療法抵抗性例に対する全身照射です。この中でも疼痛緩和目的が多いです。10~20Gyの分割照射または6Gy程度の一回照射で疼痛の緩和は得られますが、溶骨性の変化の改善には30~40Gyの分割照射を要します。過度の照射は骨再生を阻害し、再発時の耐用線量と骨髄予備能を限定するので避けるべきです。

2)medullary plasmacytoma( 髄質形質細胞腫) およびextramedullary plasmachtoma(髄外性形質細胞腫)
線量は45~50Gyが用いられます。根治治療を目指します。

子宮頸癌

子宮頸癌についてです。

 子宮癌の約8割を占めます。発癌にヒトパピローマウイルス(HPV)が関与します。ほとんどが扁平上皮癌でわずかに腺癌もあります。子宮体癌は逆にほとんどが腺癌です。子宮癌の検診は20歳以上を対象に2年に1回行われています。
 手術と放射線治療は同程度の有効性を示し、国際的には放射線治療が標準ですが、日本ではⅠ~Ⅱ期では手術が優先されます。腔内照を含む根治的放射線治療の対象は高齢あるいは手術不能者のⅠ~Ⅱ期およびⅢ期癌となります。手術例でも予後不良因子がある場合には術後予防照射を行います。外部照射と腔内照射を組み合わせて行います。ステージが上がると全骨盤照射の総線量を上げ、腔内照射の線量を下げます。外部照射は骨盤腔リンパ節に、腔内照射は原発巣に照射します。外部照射は全骨盤領域に通常6~15MVX線で対向2門照射が行われ、腔内照射を併用する場合には、直腸障害を予防するために中央遮蔽を行います。
 放射線単独療法での予後は5年生存率でⅠ期90%、Ⅱ期70%、Ⅲ期40%、Ⅳ期15%程度であり、手術と変わりません。
 晩期有害事象として、直腸障害、膀胱障害などに注意が必要となります。

子宮頸がんに関連して、腔内照射の線源配置法であるマンチェスター法についてです。

 マンチェスター法には組織内照射(組織内刺入)法、モールド照射(表面照射)法、子宮腔内照射法などがあります。子宮頸がんの腔内照射では子宮腔内へ挿入するタンデム線源と両外側膣円蓋に挿入するオボイド線源を用います。子宮頸癌の配置法はマンチェスター法が一般的です。下図のようにオボイド線源はタンデム線源をはさんで、できるだけ対象とし、線源間の距離をできるだけ大きくします。直腸、膀胱の線量を減らすために、ガーゼによるパッキングを十分に行います。マンチェスター法ではA点B点が線量計算の基準であり、A点線量は原発巣の治癒線量と直腸膀胱の障害線量であり、B点線量は骨盤浸潤やリンパ節転移に対する線量の指標となります。左右のA点線量のうち、少ないほうの線量を用います。また、A点は外子宮口より2cm頭方の高さを通る垂線上の2cm外側の点を表し、B点は外子宮口より2cm上方の点を通る水平面上でA点と同じ高さで正中線から5cm外側で骨盤腔内の点を表します。
 子宮頸癌の腔内照射は外部照射と併用されることが多いです。
 このA点B点の意味や位置関係は国家試験や医学物理士の試験でよく出るので、受験される方はしっかり覚えておいたほうがいいと思います。

小児がん(髄芽腫と神経芽腫)

小児がんの腎芽腫と神経芽腫について説明していきます。

まずは腎芽腫についてです。

 主に小児の腎に発生します。日本人では少ないです。
 治療では手術後にAMD、VCRおよびADRなどの化学療法がなされます。予後良好組織型のⅠ~Ⅱ期では放射線治療は行いません。それ以外では腫瘍床や転移巣に照射を行います。予後良好組織型のstageⅢでは総線量10.8Gy、それ以外は年齢に応じて照射線量を決めます。将来の脊椎側弯を予防するために椎体は完全に照射野に含めます。残存腎は遮蔽するか、播種例の全腹照射でも15Gyを超えないよう、また肝は全肝は20Gyを超えないよう注意が必要です。肺・肝転移についても化学療法併用で照射を行います。肺転移は原則的に両全肺照射12Gy+局所追加照射、18か月以下の乳幼児に対しては化学療法を行い、放射線療法は控えます。多発肝転移あるいはびまん性肝転移の場合全肝18Gy照射します。

次は神経芽腫についてです。

 他の小児悪性腫瘍と同様、手術、化学療法、放射線療法による集学的治療が行われます。Ⅰ・Ⅱ期で完全摘出例では放射線治療は不要です。1歳以上のⅢ・Ⅳ期では化学療法で腫瘍の縮小を図ってから、手術を行い、術後照射を追加します。1歳以下では自然退縮もあるので、放射線治療は行われない傾向です。術後放射線療法はstageⅠとstageⅡのリンパ節転移がなく全摘されたものには行われません。しかし、N-myc癌遺伝子の増幅が認められたり、リンパ節転移のあるstageⅡ以上の進行期には必要となります。stageⅢとstageⅣでは全身照射を含む自家骨髄移植など強力な集学的治療が必要となります。腫瘍線量は年齢に応じて決定されます。照射野は腫瘍床に対しては腎芽腫と同様な照射野です。stageⅢとstageⅣでは腫瘍床とリンパ節転移を十分に含めるようにします。転移については化学療法に併せて10~20Gy照射し転移が完全寛解と判断された時点で原発巣の根治治療を行い、その後全身照射を併用した自家骨髄移植療法を施行します。放射線単独治療では局所照射30~40Gyを行います。術中照射はミクロ残存腫瘍に対して6MeV電子線10~12Gy、大きい場合には15Gy以上が必要です。

前回の記事にもあるように小児の放射線治療の場合は成人と異なり、発達障害や二次発がんにより考慮しつつ計画していくことが非常に重要になってきます。

小児がんと誘発二次発がん

小児がんについて書こうと思います。

 生まれたときから15歳まで(一般的に小児期)に見られる悪性腫瘍の総称は、小児がんと呼ばれています。日本では年間約2500人が小児がんと診断されている。現在、小児がんは、手術治療、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植などを組み合わせて治療されます。
 小児がんは発見が難しく、がんの増殖も速いですが、成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高いのも特徴でです。小児がんは以前『不治の病』とされてきましたが、1950年代にはそれまでの手術療法に加えて放射線治療が、1960年代には化学療法(抗がん剤)が治療に効果があることがわかり、その後、多剤併用や増血幹細胞移植が適用されるようになって、総合的に治癒率が向上し、現在では70~80%が治るようになってきました。しかし、成長途中であるので、晩期有害事象には注意が必要です。また、数が少なく種類が多いため、症例の多い病院での治療が必要です。
 小児がんにおいて最も多いのが白血病(40%)、次に多いのが脳腫瘍(20%)である。そして、神経芽腫、悪性リンパ腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)などもあります。脳腫瘍においては神経膠腫(グリオーマ)、胚細胞腫瘍、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫などが見られます。
 小児の放射線治療では発達障害を防止するため、椎体に均等に照射する方法が利用されています。

次は二次発がんについてです。

 二次発がんとは抗がん剤や放射線治療において別の癌が二次的に発生することです。二次がん発症率は軟部肉腫で約26%、白血病で約16%、大腸がんで約12%となっています。他に皮膚がん、膀胱がん、食道がん、肺がん、骨肉腫などのがんが挙げられます。
 二次発がんの発生頻度としては、放射線治療を受けた患者の内100人に1人程度といわれており、特に小児がんの経験者に多いといわれています。子どもはがんを克服した後、何十年も生きることになるため、その分晩期障害が現れる可能性が高くなるからです。例えば小児がんで放射線療法を受けた場合、肉腫や皮膚がんのほか、首に照射を受けた人では甲状腺がん、また胸部に照射を受けた女児であれば将来的に乳がんを発症するリスクも高まります。したがって、小児がんを克服した人は、なるべくがんにかかりにくい生活を送ることが何よりも大切となります。例えば、喫煙や過度の飲酒、また皮膚がんの原因となる長時間の日焼けなどを避け、バランスのいい食事と適度な運動を心がけることが、二次発がんの予防につながるといわれています。
 癌治療を終えても油断しないことが大切だと思います。あと医療従事者は治療の際に、可能な限り二次発がんを抑えることが大切だと思います。

上顎癌と喉頭癌

まずは上顎癌についてです。

 上顎癌はOhngren’s line(内眼角と下顎角を結ぶ線)より上方の病変は眼窩、頭蓋底、側頭下窩、咬筋などの浸潤に伴って発症し、T4症例となって発見されることが多く手術も困難で残存が多いです。Ohngren’s lineより下方への病変は歯槽、口蓋への浸潤に伴い発見されることが多く、T2症例が多く、十分な切除が可能です。リンパ流はさほど豊富ではなく、リンパ節転移例は初診時で10%程度であり、局所制御が重要です。手術・5-FU(抗癌剤)動注・放射線治療の3者併用療法が基本となります。
 放射線の照射方法は患側横方向と前方一門の2門直交照射で楔型フィルターを使用するのが基本です。患側眼球が病変の浸潤によって遮蔽できない場合は、反対側の眼球の保護に留意し、涙腺も可能な限り遮蔽する必要があります。
 5年生存率は全体で30~50%、T1・T2は60%程度であるのに対しT4では20%程度となります。
 
 咽頭・喉頭構造図が放射線技師国家試験や医学物理士試験の医学の問題などによく出ているので、受験する方はそれぞれ上・中・下咽頭には何があるのかをしっかり覚えておいたほうがいいと思います。

次は喉頭癌についてです。

 喉頭癌はつんくさんも苦しんだ病気としても知られています。
 喉頭癌には部位によって声門癌、声門上部癌、声門下部癌があり、それぞれ治療方針が異なります。声門癌は60~70%、声門上部癌は30~40%で声門下部癌は少ないです。声門癌は嗄声により早期に発見されることが多く、リンパ節転移も少ないため(0~20%程度)、限局した照射野による放射線治療で根治可能です。声門上部癌は発見時に進行してることが多く、リンパ節転移も多い(40~70%)ため、広い照射野が用いられます。
治療についてです。
 声門癌はT1T2では放射線治療が第一選択となります。4MVX線を用い、ウェッジフィルタを使用してT1で66Gy、T2で70Gy照射される。T3で軌道が確保された状態では照射の後再発時に手術を行います。T3で軌道閉塞時やT4では手術が選ばれます。また進行例で、リンパ節転移陽性例では喉頭摘出後に頸部リンパ節郭清を行います。陰性例では喉頭摘出のみ行い、術後照射時にリンパ節を含めた頸部郭清を行います。照射前化学療法の併用で喉頭全摘と同等の効果が得られます。
 声門上癌でT1T2でリンパ節陰性例でも頸部リンパ節を含む照射野とします。進行例では喉頭全摘+頸部郭清か、原発巣については放射線治療を先行させ、効果が悪い例では喉頭全摘を行います。

治療成績です。
 声門癌の放射線治療による5年生存率はI期で85~90%、Ⅱ期で70~75%、Ⅲ期で40~60%程度です。
 声門上部癌の放射線治療による5年生存率はI期で60~80%、Ⅱ、Ⅲ期で40~60%程度です。

喉頭について以下に示します。

咽頭癌

咽頭癌は部位によって上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌に分かれます。

上咽頭癌についてです。

 上咽頭癌では初診時に70%の割合で頸部リンパ節転移が見られます。上頸部後方のリンパ節が見られるのが特徴です。上咽頭癌は頭蓋底と
parapharyngeal space への進展を有するため、手術的に切除することが困難で、治療は放射線が中心となります。これに化学療法が併用されます。扁平上皮癌が約90%でシスプラチンが有効とされています。
 T1~4、N0~3、M0の全ての癌が根治的放射線治療の対象となります。T3~4の進行例で放射線治療と同時併用化学療法で生存率の改善が得られるという報告が多く、一般的となっています。リンパ節転移を想定した大照射野で45Gy程度を照射後、原発巣に追加照射を行います。最近では強度変調放射線治療(IMRT)を用いて、唾液腺などの線量を減らす試みがなされています。

中咽頭癌についてです。

 中咽頭は気道と食道の交差点で”かぜ症候群”の首座です。東南アジアに多く、口腔内の衛生と関係があります。男性に多いです。早期例は放射線治療が主体で、進行例や放射線抵抗例では手術を行います。
 T1~T2、N0では放射線治療が優先されます。左右対向2門で開始し、40~45Gyの段階で治療計画を行い脊髄線量を抑え、総量70Gyを投与します。T3以上の進行例は放射線感受性の悪い例では40~45Gyの段階で手術を行います。リンパ節転移には頸部郭清を行います。
 治療成績は全体の5年生存率で40~60%程度です。

下咽頭癌についてです。

 早期には症状が発現しにくく、過半数がT3~4でありリンパ節転移例も6割以上と頭頚部腫瘍の中で最も予後が悪いです。手術とh放射線治療を組み合わせて治療を行います。化学療法の同時併用による有意が明らかになりつつあり、進行例では検討に値します。部位としては梨状窩、輪状軟骨後部、下咽頭後壁があります。
(1)梨状窩
 T1,2の早期例では放射線治療単独、手術が行われ、同程度の成績です。T3,4では手術が行われ、切除不能例では放射線治療と化学療法がおこなわれます。
(2)輪状軟骨後部
 切除可能例では切除と術後照射、切除不能例では放射線治療と化学療法が行われます。
(3)下咽頭後壁
 T1では放射線治療単独、T2~4では切除と術後照射が行われます。
 全体の治癒率は35%程度で局所病変で60~80%程度です。リンパ節転移をきたした例では20~40%、遠隔転移で10~20%程度の5年生存率です。放射線単独での成績はこれより劣ります。

以下に咽頭、喉頭の分類を示します。