iPS細胞

スポンサードリンク

iPS細胞 induced pluripotent stem cellについてです。

 山中伸弥所長が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことからご存知の方も多いと思います。

 iPS細胞とは誘導多能性幹細胞のことです。通常は生殖細胞である精子と卵子が受精して受精卵ができます。受精卵は分裂を綴り返し、個々の細胞は組織を構成する形態的、機能的に分化した細胞 (体細胞) となり、外胚葉、内胚葉、中胚葉由来の全身各臟器ができあがります。このように多様な分化能を有する細胞は幹細胞とよばれます。細胞は様々な細胞に分化しますが、通常一度分化した細胞は二度と幹細胞には逆もどり(脱分化)せず、分化のプロセスは不可逆的です。各臟器の中でも心筋細胞や神経細胞などは終末分化しており、一度失われると、分裂、増殖しません。すなわち再生しないです。現在白血病に対しては、強力な抗薬での治療後に、あらかじめ分離しておいた造血幹細胞を患者に移植し造血細胞を再構築するという治療がおこなわれています。血液系以外でも幹細胞が分離できれば再生医療の道が開けますが、幹細胞は分化した体細胞からは作ることができず、治療に使用可能な数の細胞を得ることは難しく、幹細胞を人工的に作り出すことは長い間未解決の間題でした。

スポンサードリンク

 2006年に京都大学再生医療研究所の山中伽弥教授は、生体の分化した体細胞である線維芽細胞に4つの転写因子 Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Mycを導入すると、少ない頻度ではありますが分化の方向を逆もどり(リプログラミング)させ、幹細胞に誘導できることを発見しました。この4つの転写因子は山中ファクターとよばれています。iPS細胞は、神経、筋、血管、内分泌細胞など様々な組織に分化誘導させることが可能なため、再生医療にとって極めて重要な発見であるといえます。また、受精卵のような胚幹細胞embryonic cell (ES細胞)を用いる場合は、倫理的な間題も常につきまといますが、iPS細胞はその出所が成人(本人) 皮膚の線維細胞などの体細胞であるため倫理間題にはなりません。iPS細胞についてはローマ法王も極めて重要な発見である旨異例のコメントをだしました。c-Mycは前癌遺伝子産物なので現在はc-Mycを用いない方法が開発され、iPS細胞誘導効果の改善もなされてきました。またiPS細胞を介さずに線維芽細胞から神経細胞を作成する別の3つの転び因子も判明してきており、細胞のリプログラミングの研究は大きく発展しています。発見当初は遺伝子導入にはレトロウイルスが用いられましたが、現在はゲノムに組み込まれないエピソーム型のベクターの開発など遺伝子導入法肱には様々な改善が加えられており、近い将来、心筋梗塞、脳梗塞、脊髄損傷、パーキンソン病などの様々な疾患に対する臨床応用や、細胞シートからの角膜、心臓、肝臓、歯牙、甲状腺組織、肺組織、食道粘膜などの人工臓器の作製が期待されており、今後も発展していくと思われる分野です。

スポンサードリンク

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。
今年も放射線に携わる役立つ情報を提供していきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

2019年の主な放射線関連の学会について以下に示します。

第78回日本医学放射線学会総会:2019年4月11日(木)~14日(日):パシフィコ横浜
第32回 高精度放射線外部照射部会学術大会:2019年3月2日(土):東京・虎ノ門ヒルズフォーラム
第24回日本定位放射線治療学会:2019年6月14日(金):朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
日本放射線腫瘍学会第32回学術大会:2019年11月21日(木)~23日(土):名古屋国際会議場
などです。
他にも数多くの学術大会が予定されています。

個人的には、今年医学物理士の認定を受ける予定なのでより一層頑張っていこうと思います。

大学院について

大学院は主に専門学校や大学を卒業してから行きます。修士課程がありそのあと博士課程があります。
基本的には修士課程は2年間になります。
同じ大学から大学院まで通う人もいますし、別の大学の大学院に通う人もいます。

大学院進学か就職かで大学4年生のころ悩んでいました。
そこで病院見学や、研究室訪問などをGW頃行い、大学院の試験を8月に受けました。

研究したい内容があり、医学物理コースもあったので別の大学の大学院修士課程に進学し、修了しました。
僕が通っていた大学院は、思った以上に色んな大学から来てる人が多かったと思います。

学校や研究室にもよりますが、主に大学院の入試は小論文、英語読解、教授との面接などが多いと思います。
対策としては僕は大学の就職センターのようなところで面接や小論文の練習をしていただきました。
不安な点は質問して解決するようにしていました。

英語については長文を読み、その設問に対し英語で書く練習をしました。
大学院の方で英語は過去問をいただけたので、それで対策しました。

貴重な経験をさせていただいたので、大学院に行くという決断は正しかったと思います。
やりたい研究ができ、医学物理士認定試験に合格できたのは大きかったです。
2年間本当に多くの人たちにお世話になりました。

以下に大学院に行こうか迷っていた時に読んだ本を示します。
すごくためになると思います。

大学院のすすめ―進学を希望する人のための研究生活マニュアル

中古価格
¥4から
(2018/11/19 22:32時点)

また研究室について参考にしたのが以下の本になります。
生命系の学部学生を対象に書かれています。内容は簡単な院試の制度説明・トップクラスの在日本研究者の書いた各学問領域の概要説明・研究室紹介が主です。姉妹書の工学系研究室案内も参考にしました。最新の生物医学の方向性を知りたい人には是非勧めたい一冊となっています。
工学系研究室案内も以下に示します。

院ナビ!生命系[逆引き]研究室案内

中古価格
¥100から
(2018/11/20 21:58時点)

院ナビ!理工系[逆引き]研究室案内

中古価格
¥571から
(2018/11/20 22:20時点)

放射線技術学会 2018

第74回日本放射線技術学会総会学術大会が平成30年4月12日(木)~15日(日)にパシフィコ横浜で行われました。
例年同じ時期にパシフィコ横浜で行われています。
 夢のような創造科学と人にやさしい放射線医学:Innovative Science and Humanism in Radiologyというテーマのもと、多くの医師や診療放射線技師、医学物理士などが参加し、発表などを行いました。

 来年度は4月11日(木)~14日(日)にパシフィコ横浜会議センター他で、革新的な放射線医学を -患者に寄り添って-:Innovative Radiology close to the Patientsというテーマのもと開催される予定になっています。
演題登録期間は2018年8月31日(金)正午 ~ 2018年10月26日(金)正午なので、もう終わっています。参加する方の健闘を祈っています。

発表する人だけでなく、話を聞くだけでも大変勉強になります。

以下に第74回日本放射線技術学会総会学術大会のURLを貼っておきます。
https://www.jsrt.or.jp/gmeeting/soukai74/

データ構造の標準化の持つ意味

データ構造の標準化の持つ意味について書いていきます。

1. 標準化
 品質管理を行う場合には、標準化というのは極めて大きな意味を持つことです。標準化を行うことにより、目標や実施すべきことが明確化されること、組織内の共通の理解が得られること、実践的なトレーニングが可能になること、ノウハウの蓄積や作業者の習熟などによる効率化や信頼性の向上も実現することができ、コスト削減の可能性という面も見逃せないポイントです。他よりも競争力が劣ってきたと感じられたり、問題が生じて対応方法を変えるべきだと判断されたりした場合には、皆で合意の上、標準プロセスを変更すればよい。症例報告書の標準化からデータ構造の標準化が実現できれば、後に続く業務である集計・解析の標準化、レポーティングの標準化などへの道が開けるという重大な意味を持ちます。NCI(National Cancer Institute)では実際にプロトコルが標準化されています。

2. データ構造の標準化
 標準化できるツールとしては症例報告書があげられます。領域やフェーズが異なった状態での標準化は単純な方法では解決できないため、モジュールという概念を導入します。モジュールでは収集する臨床データ範囲を患者背景、投薬状況、臨床検査、有害事象、有効性や安全性評価などといったいくつかのブロックに区分します。そして、それぞれに標準化に用いるべきレイアウトや項目などを定義しておきます。これらを一つのモジュールとして管理し、臨床試験ごとに必要に応じてモジュールA,B,Cを使うというようにすればよいです。実際の運用で、きちんとマニュアルとして明文化し、その枠の中で柔軟な対応を行うこと、さらに必要に応じて標準モジュールやマニュアルを適切に改定していくことが必要です。そして、データ構造が標準化されることにより、標準化のメリットに加え、複数の臨床データを併合して処理を行いたいなどの局面で大いに威力を発揮することができます。

3. CDISC
 臨床試験データの品質を改善し製造開発を推進する目的でCDISC(Clinical Data Interchange Standards Consortium)という非営利団体が欧米を中心に1997年に設立されています。CDISCでは、データ収集・交換・保存のための標準データモデルとしてODM(Operational Data Model)、申請のための標準メタデータモデルとしてSDM(Submissions Data Model)の構築を進めています。CDISCには51のCorporate Sponsor、21のCorporate Member、44のAssociate Memberが参加しています。CDISCでは標準化となるデータモデルの検討と策定に加えて、トレーニングコースの提供、ワークショップ、年会なども開催しています。

4. 標準化の手法
 標準化を実現するための絶対的な手法というものはない。実際にプロセスの標準化を行う場合には現状分析を行ったうえで最適と思われる手順を策定することになります。この場合に大きな威力を発揮するのが、プロセスマップとして図を作成することによりプロセスを可視化することです。最初から緻密な詳細にわたるプロセスマップを作成するのではなく、大局的にプロセスが判断できるようなレベルから取り組むべきです。また、標準化は一度行えば完了というものではなく必要に応じて内容の追加や改良が行われるべきものです。

5. 医療情報交換の標準規約
 医療情報交換のために用いられる標準規約としてはHL7、DICOM、MML、CLAIM、MERIT-9、国立大学病院治験実施管理システムなどがあります。HL7は1987年以来アメリカで広く病院内及び病院間で業務全般の情報を交換するための規約として導入されています。患者情報だけでなく、血液検査依頼や結果報告、給食管理、会計管理などの病院業務全般を対象にしています。ハードウェアやネットワークから完全に独立し情報交換のためのフォーマットとプロトコルとなっています。DICOMは医用デジタル画像と通信に関する標準規格です。米国放射線学会(ACR)と北米電子機器工学会(NEMA)が開発したものです。MMLは診療施設間で電子カルテのデータを交換するために医療情報学会を中心に厚生省委託事業の成果として考えらえた日本生まれの規約です。CLAIMは医事会計システムと電子カルテの間で診療報酬に関する情報を共有化するために開発されたデータ交換規約です。MERIT-9は医療情報交換のための運用指針です。1998年4月から国立大学病院において、共通の治験管理システム(CTMS)が稼働しています。このシステムは診療情報システム(HIS)と連携をとるようになっているが、HISは各国立病院によって異なるので、CTMSとの間での情報交換はHL7により実施されています。

コンピュータへのデータ入力と症例報告書のチェック

データ管理に関してです。

1. 症例報告書の管理
 データ入力に先立ち、回収された症例報告書について適切な管理が行われる必要があります。適切な管理は、紛失などの危険性を回避するためだけでなく、回収された症例報告書に対して勝手な追記や改ざんなどが行われていないことを保証するためにも大切なことです。症例報告書が非複写式である場合は作業用コピーを作成した後のオリジナル、複写性である場合には保管用オリジナルを直ちに鍵のかかる保管庫に入庫し、持ち出せないようにするのが望ましいです。また、非複写性の場合には修正の経緯をはっきりさせるためにもオリジナルは保管庫から出さないようにし修正履歴用紙を用いる方がよいといえます。

2. データ入力の準備
 コンピュータに臨床試験データを入力するためにはいくつかの手順が必要となります。最初に行われるべきは患者IDなどの入力に必須となる項目に記入漏れがないかなどのチェックです。次に入力するための準備として考えられるのがデータコーディングです。記載の不統一が考えられるので、コード化しておく方が集計・解析においては取り扱いやすいです。その後、実際にデータパンチャー(入力オペレータ)が症例報告書の内容をコンピュータ上に入力することになります。

3. 入力における注意事項
 入力における注意事項は、入力マニュアルに記載されるべき事項の一つであり全般的な内容が考えられますが、内容は状況に応じて設定します。数字、アルファベットはすべて半角で入力する、カタカナ、記号はすべて全角で入力する、未実施としての斜線の入った項目については「ND」を入力するなどです。少なくとも用語集に基づく用語ではなく、医師が用いたままの用語が入力されるべきであり、用語集に基づく用語は辞書などを利用して自動割り当てを行うか、集計・解析時に割り当てを行うなどの対処を行うことが望ましいです。

4. 入力の方法
 臨床試験データをコンピュータに入力する方法としてはシングルエントリー、ダブルエントリー、トリプルエントリーの三つがあります。シングルエントリーは一回だけ入力を行う方法であり、最も手軽で時間がかかりません。システムとしても複雑な仕掛けを必要としません。しかし、入力ミスの発見は入力処理だけでは困難です。ダブルエントリーは二回のデータ入力を行う方法で、二回目のデータ入力は別のデータパンチャーが行うことが望ましく、シングルエントリーに比べて時間も人もかかります。しかし、入力そのものの信頼性は高くなります。トリプルエントリーでは三回のデータ入力を行う方法です。原則としてダブルエントリーで作業を行うが、最終的に症例報告書のすべてのデータ確認が終了し症例固定が行われた後に最終の症例報告書をもとにして三回目のデータ入力を行います。症例報告書に対する修正・追記などが間違いなく実施されたことを確認します。データ入力のスペシャリストとしてキーパンチャーがいる。キーパンチャーがダブルエントリーを行った場合のエラー率は0.03%程度であると言われています。

5. 症例報告書のチェック
 症例報告書のチェックはいくつかのステップに分けて行われます。データ入力前に目視による単純チェックが行われ、データ入力の際には入力確認のために読み合わせを行います。読み合わせの作業は単純なためミスを起こしやすい。よって、ペアを組んだりコンピュータソフトを用いたりする工夫が必要です。そして、入力したデータに対してコンピュータプログラムにより論理チェックを行い、結果を参照しながらチェックが行われます。
 
6. チェックリスト
 データレビューの際に用いられるチェックリストは組織内で担当者が使用しやすいフォーマットが統一化されていれば問題ないです。可能であれば複数回のチェックをしておくことが望ましいです。チェックリストの実際の課題は、何をどこまでチェックするかということです。一方、医学的な判断を必要とする項目がどこまで実際にチェックできるかということも課題です。

品質管理と品質保証とは何か②

 品質管理と品質保証(QA; Quality Assurance)は同じであると誤解されますが、2つの概念は異なるものです。品質保証をするという目的のために、品質管理を行うという理解をすべきです。実際に得られた商品があらかじめ設定していた品質基準を超えていることが確認できれば品質保証を行ったことになります。しかし、このとき経済的なバランスを考慮するということも大切であるといえます。 
 品質保証の実現を考えた場合に国際的な標準として引き合いに出されるのがISO9000シリーズとして知られている品質マネジメントシステムです。
 ISO9000ではトップマネジメントが用いることができる品質マネジメントの原則として次の8つの項目を挙げています。顧客重視、リーダーシップ、人々の参加、プロセスアプローチ、マネジメントへのシステムアプローチ、継続的改善、意思決定への事実に基づくアプローチ、供給者との互恵関係です。組織における品質管理は現場だけの問題ではなく、組織としてのトップマネジメントの理解と支持がなければ実現できないものです。一般的に顧客が購入する製品の品質保証を考えた場合、供給者に対して製品の品質規格だけでなく製造プロセスと品質管理体制も含めて所定の品質を確保するための品質システムの構築を要求されます。そこでISO9000シリーズでは文書化、トレーサビリティ、監査を求めており、組織における品質についての方針を定めて品質に関わる各人の責任と権限を明確にした上で品質システムを品質マニュアルとして文書化し、証明、提示できるようにしています。ISO9000シリーズは業種、規模の大小、製品に関係なく適応でき、顧客満足や企業イメージの向上のために認定を受ける組織が増えてきています。医療機関では治験を対象としたISO9000の取り組みが始まっています。

 品質管理に関する概念としてVerificationとValidationというものがあります。Verificationは正しいかどうかを照合して確認することつまり結果だけに対する確認であり、Validationは正しいものであることを保証すること、言い換えれば継続的なプロセスに対する保証を与えるものとして区別されています。臨床試験データに関して言えば、Verificationは整合性の確認と間違いがないことを検査により確認することであり、Validationは手順を定義しプロセスとしての保証をすることです。再現性があるということが、Validation がVerificationよりも大きな意味を持つ点です。Verificationは行うべきですがエラーが発生します。したがって、品質保証としては不完全である上に検査にはかなりの時間と労力がかかるため、生産性の低下からコストアップに繋がる可能性があります。このため、Validationというプロセス管理を行うことによる方法が求められています。
 ISO9001で求められている文書のうち、品質基準を規定するものは文書化した品質方針および品質目標の表明、品質マニュアルの2つである。臨床データマネジメントに関して定めるのが標準業務手順書であり、これとデータマネジメント計画書(DMP; Data Management Plan)を併せてプロセスとしての妥当性を保証します。DMPにはデータ処理を行うシステムの概略、データベース構造などのメタデータ、データコーディングルール、データ読み替えルールと意思などへの確認手順、データ入力と修正の順序、データレビューの手順、期待されるデータレベル、具体的なチェック内容、問い合わせなどの手順、データ固定の手順、開鍵の手順、許容エラー率と許容エラー率府達成の場合の対応手順などを記載する必要があります。したがって、これらの項目を含めたテンプレートをあらかじめ用意しDMPを作成すべきであるといえます。

品質管理と品質保証とは何か①

品質管理と品質保証についてです。

 品質管理(QC; Quality Control)の概念は製造関連の仕事から始まりました。すなわち、製造業において、完成した品物が不良品なら製品としての価値はなく無駄なものに過ぎません。しかし、不良品であっても作業にかかる人手は消費されるので、利益が減少することになります。そこで、利益を増加させるために、いかにして不良品を減らせるかを工夫する必要がありました。このため、各作業工程の徹底管理により一定水準の製品を不良品の発生を抑えて製造することを目指しました。この工程管理に様々な統計的手法が取り入られ、定量的な評価がなされてきました。日本工業規格(JIS; Japanese Industrial Standard)や国際標準化機構(ISO; International Organization for Standardization)の定義から分かるように、品質管理とは実際に得られる品質を、経済的に妥当な範囲で目標とする品質にできるだけ近づけられるようにし、得られる品質のばらつきが一定の範囲に収まるよう管理するということです。

 プロセスとは一つの業務管理のことであり、品質管理においてはエラーの発生を抑えるためにプロセス管理が重要な意味を持ちます。このプロセスを管理するための補助ツールとしてQC七つ道具と呼ばれるものがあります。
 一つ目がパレート図で、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた図であり、最も大きな問題点を見つけることができます。例えば、どの項目で入力エラーやデータ問い合わせが多いかなどに利用できます。
 二つ目は散布図で、対応のあるデータをプロットしたもので、担当患者数と入力エラー数などの項目間の対応関係を検討するために利用できます。
 三つ目はヒストグラムで、データのばらつき、分布の形を把握することができ、どの程度の入力エラーが発生するのかを検討することなどに利用できます。
 四つ目がグラフ/管理図であり、管理図とは品質などのばらつきが時間的にどのように変化しているかということを検討するのに用いられるグラフです。入力エラー率の推移の検討や改善効果の確認などに利用できます。
 五つ目が特性要因図で、プロセスの結果である特性とそれに影響を及ぼす要因との因果関係を示したものです。入力エラーの原因分析や原因対策の検討に利用できます。
 六つ目がチェックシートであり点検を行うための項目、内容、時期などを表にまとめたものです。  
 七つ目が層別で、全体をいくつかのグループに分けることであり、たとえば施設別、担当者別、患者別と区分してデータを検討することです。

Fisherの3原則

Fisherの3原則についてです。

 Ronald Aylmer Fisher は1919年からロザムステッド農事試験場で働き、研究者のための統計学的方法や実験計画法、統計学的方法と科学者の影響について研究しました。ロザムステッド農事試験場は無機栽培と有機栽培の農場への影響について調べるために1843年に設立されました。雨量と気温は毎日測定されています。ロザムステッド農事試験場の社長のJohn Russellは莫大なデータを統計学的に分析させるためにFisherを雇い、分析から新たな知識が発見できると予測していました。小麦の収量の年次変化としては1870年に初級コースが制定され
小学校教育が義務化されました。1876年は減少が始まったが土と雨が要因とは説明できませんでした。小麦場の雑草が異常増殖したが、抜くために若い少年を雇えませんでした。1880年に減少が著しくなりました。1894年には増殖に変わり、雑草は突然減少しました。1901年には再び減少し雑草は生い茂り、Lord John Rowsは亡くなりました。ロザムステッドの蓄えられたデータの分析からの教訓は、行き当
たりばったりの実験からは有用な情報が得られないこと、知りたいことの何が知れるのか実験計画を立てる必要があることです。
 Fisherの3原則とは局所管理、ランダム化、繰り返し測定の3つです。局所管理とは分野をたくさんの小さな区分へ仕分けることであり、小さな区分は日光、排水、土などの同種の状況です。ランダム化とは地域の管理された区画にランダムに肥料と小麦の組み合わせを割り当てることです。繰り返し測定とは複数の区域へ同じ組み合わせを割り当てることです。反復をし、無作為化して誤差の評価、統計的判定、あるいは反復から局所管理をして誤差の減少、精度の向上という流れです。Fisherの3原則に基づいて実験をデザインすることが大切です。Fisherは、女性は1杯のミルクが入った紅茶を飲むことで、ミルクと紅茶のどっちがはじめにカップに入ったか区別できることが明らかであると言いました。
 集団値比較ではT検定、分散分析、平均平方の期待値、F統計量などが用いられます。また、分散分析の幾何学的解釈のためにピアソンの相関係数、相関係数の幾何学的解釈、決定係数R2、回帰平面、T検定、T検定のベクトル表現、分散分析、分散分析のベクトル表現、分散分析表などが用いられます。実験データの解析は、データベクトルをモデルベースで近似することが本質です。
 また、解析方法には完全ランダム化法、乱塊法、ラテン化法、分割法など様々な方法があります。適切な解析モデルは実験デザインによって異なるため、実験方法により適切なものを選ぶことが重要です。

疫学研究

 疫学的方法はコミュニティの病気の広がりの決定、博物学や病気の予後の研究や、病気や危険因子の潜在的病因や」結びつきの特定、新しい予防法や治療法そして新たな医療提供の評価、公共政策や環境問題に関する規制決定の発展のための土台提供などに役立っています。病気の博物学において時間がたつにつれて健康、無症候性疾患、臨床疾患、障害、死というように変化していきます。
 一次予防では通常の健康を促進し、病気の危険因子を避けます。二次予防では早めの予防と現在の治療をします。三次予防ではリハビリをしたり、深刻な病気や障害を予防したりします。予防のアプローチには人口基盤アプローチと高リスクアプローチがあります。人口基盤アプローチでは全ての人口に当てはまるように広く予防措置をとります。そして多くの人々へ小さな確実な変化があるように努めます。
比較的安値で非侵襲的である必要があります。一方で高リスクアプローチは高リスクの個人集団をターゲットにし、強い危険因子の制御に努め、高リスク集団を特定し、危険因子を制御するために臨床的措置をよくとります。
 私たちが比率を比較するためには年齢と性別の分布、疾患の定義などを知るべきです。分母には人口の定義や病気の危険がある人の存在があり、分子には病気の定義や流行や発生などがあります。
 疫学研究の方法としては介入研究、分析研究、記述的研究、人工比較などがあります。
 介入研究は無作為臨床試験、非ランダム化臨床試験などがあり、分析研究にはコホート研究、ケースコントロール研究、断面研究などがあります。
 そして記述的研究には二次データ解析や生態学的研究があります。記述的研究の5WにおいてWhatは懸念される健康問題、Whoは人、Whereは場所、Whenは時間、Why/Howは原因、危険因子、伝達方法です。ケースコントロール研究では病気のある人の集団を登録し、病気のない人のグループと比較します。そして2つの集団で以前のものと比較する方法です。コホート研究は病気のない人々を登録し、彼らの状態を記録します。そして集団の中で病気が発生するかどうか比較する方法です。コホートとは時代を辿ったり遡ったりする個人集団のことです。介入研究は適切な人々を誘い介入集団と比較集団にランダム化し、集団の間でのイベントの発生などを比較します。誤差には偶発誤差と系統誤差があり、バイアスには選択バイアスや測定バイアスなどがあります。そして、リスク推定においては相対リスクやオッズ比、寄与リスクなどが挙げられます。相対リスクはコホート研究から、オッズ比はケースコントロール研究から推定されます。流行には調査、診断には断面研究、発生、危険因子、予後因子にはコホート研究、治療や予防には臨床研究が行われます。