超音波(エコー)検査の性能

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超音波(エコー)検査の性能についてです。

近接する2点を識別する能力を空間分解能といい、この能力が高い診断装置が望まれます。
超音波(エコー)検査の空間分解能には「距離分解能」、「方位分解能」、「スライス方向の分解能」があります。

1、距離分解能
・超音波ビームの進行方向(深さ、縦方向)の空間分解能のことです。
・超音波の周波数が低い(波長が長い)と波長より短い2点を分解することはできません。
・超音波の周波数が高いほど距離分解能は向上します。

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2、方位分解能
・超音波の進行方向に垂直方向(走査方向、横方向)の空間分解能のことです。
・超音波ビームの幅が狭いほど方位分解能は向上します。
・方位分解能を上げるには超音波の周波数が高くする方法があります。これは周波数が高くなると、音波の直進性が向上するためですまた、(指向性の向上)。指向性とは音波の広がり具合のことです。フォーカシング機能により制御することでも向上します。

3、スライス方向の分解能
・プローブの厚み方向と同方向の空間分解能のことです。
・音響レンズを使用することでビームを絞り込んで改善します。

以下に図を示します。

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超音波(エコー)検査の概要

病院で行われている超音波(エコー)検査について説明していきます。
超音波(エコー)検査は放射線技師か検査技師の人が行っています。
(最近は検査技師の人がするのがほとんどだと思います。)

超音波とは人間の耳には聞こえない高周波の音のことです。周波数20kHz以上の音を「超音波」と呼びます。
超音波検査には2~20Mhzの周波数を使用しています。

超音波の伝達速度c(m/s)は①物質の硬さ(弾性度)、②媒質の温度、③超音波の周波数に依存します。
①物質の硬さ(弾性度)
c=√k/ρで表され、kは弾性度(体積弾性率)、ρは媒質の密度(kg/m2)を表します。
生体組織中の伝搬速度は1500m/s前後で、骨は速く、空気は遅いです。

②媒質の温度
一定の範囲内において同一媒質中で温度が高いほど超音波の伝搬速度は速くなります。

③超音波の周波数
c=fλで表され、λは波長(m)、fは超音波の周波数(Hz)を表します。
一般的に周波数が高いほど伝搬速度は速くなります。

生体内を進む超音波の速さはほぼ一定なので、時間が分かると距離(反射体の深さ)が分かります。

画像の表示モードです。
表示モードにはAモード、Mモード、Bモード、ドプラモードがあります。
1)Aモード(amplitude:振幅):距離(時間)と反射波振幅を表示します。
2)Mモード(motion:運動):心筋・像帽弁などの運動性や心室壁厚の測定などをします。

3)Bモード(brightness:輝度):反射波強度(振幅)を輝度で表します。

4)ドプラ(カラー、パルス、パワー)モード
 音源と探触子を固定し、移動する血流からの反射波を受信するとき、音波の周波数が血流速度に応じて変化する現象を利用します。
ドプラ現象で血流の観察が可能です。
①カラードプラ法(CDI:Color Doppler Imaging)
血流の検出に有効です。
血流方向が分かります。
(プローブに近づく血流・・赤色、プローブから遠ざかる血流・・青色)

②パワードプラ法
血流の強さ(エコーの強さ)を色の明るさの違いで表現します。
臓器内血流や小血管を描出します。

③パルスドプラ法
低速血流の計測に優れます。流速の計測や波形を分析し、狭窄病変の有無や狭窄程度の評価に応用されます。

④連続波ドプラ法
末梢動脈の狭窄部位や仮性瘤の流入孔部で流速の速い病変部(高速血流)の流速測定に応用します。

上記のように超音波(エコー)検査では検出したいところや検査部位によって、適切な表示モードに切り替えています。

 

乳房撮影(マンモグラフィ)の撮影法と画像

乳房撮影(マンモグラフィ)の撮影法についてです。

標準的撮影方法です。
・内外斜位方向(MLO:mediolateral oblique)撮影
脇下に向かって伸びている乳腺も含め乳腺の分布の長軸と平行に乳房を撮影します。大胸筋も含めます。
MLOの合格基準は
①左右の写真が対称であること。
②乳頭がprofileに出ていること。
③大胸筋が乳頭の高さくらいまで写っていること。
④乳腺後方にある脂肪組織がよく描出されていること。
(特に乳腺組織の下深部が切れていないこと)
⑤腹部組織が入っており、inframammary fold が伸びていること。
⑥乳房の皴がないこと
などです。

・頭尾方向(CC:craniocaudal)撮影
この撮影法はMLOを補充する撮影法で、MLO撮影では画像にしづらい乳房内側を画像にします。外側上部がブラインドになります。
CCの合格基準は
①左右の写真が対称であること。
②内側乳腺組織は必ず描出され、外側もできるだけ入っていること。
③胸壁深くまで入っていること。(胸筋が出るくらい)
④乳頭がprofileに出ていること。
⑤乳房の皴がないこと
などです。

追加撮影法です。
・スポット撮影
目的の部分を小さな圧迫版で局所的に圧迫します。

・拡大撮影
微細な病変の形態・構造を描出するために行います。拡大率は1.5~2倍程度です。

・90°側面撮影
目的部位がフィルムに近くなるように内外または外内方向の90°側面から選択します。

以下に撮影の図を示します。

乳房撮影(マンモグラフィ)の基本

乳房撮影(マンモグラフィ)についてです。

マンモグラフィは乳房の疾患を判別する検査です。
石灰化の分布や形態、腫瘤形態、内部や辺縁の状態、その他の異常所見(腫瘍を検出)の目的で行われます。

撮影体位は乳房撮影装置に向き合った体位で、圧迫(最大12kg)して撮影を行います。

私が以前働いていた病院でもマンモグラフィはしていましたが、女性技師さんが対応していました。
おそらく多くの病院では女性技師さんが対応していると思います。
マンモグラフィの資格もあり、女性技師さんの求人は多数あるのが現状です。

乳房撮影(マンモグラフィ)とはどんな検査なのかを説明していきます。

乳房撮影の特殊性です。
・乳房は全てが軟部組織から構成されており、低エネルギーX線(電圧は25-35kV)を使用して撮影を行います。
・乳房内の異常軟部組織や微細な石灰化を高いコントラスト分解能で描出するためには、乳房撮影専用に設計された装置を用います。
(Mo陽極ーMoフィルターでBe窓、グリッド使用、高コントラストフィルム、片面乳剤を使用など)
・乳房は彎曲した胸郭上に存在するので、乳腺全体を画像上に描出させる撮影技術が必要です。

以下の図のように乳管内進展のみを非浸潤癌といいます。予後が良いのが特徴です。
検診で非浸潤癌を多く発見できれば乳癌の予後が改善すると考えられています。

乳管内の癌細胞の壊死により石灰化をきたします(壊死型石灰化)。これは乳管の走行に一致した(鋳型形成のような)微細線状・分枝状の石灰化は悪性(乳癌)を示唆する所見です。
このような微細石灰化を描出させることが乳房撮影(マンモグラフィ)において非常に重要です。

マンモグラフィの経験がある人は分かるかもしれませんが、撮影時に乳房を圧迫します。
この圧迫の必要性についてです。
・乳房全体に対して適切な画像濃度を得るために圧迫して厚さを均等にします。
・散乱線を減少させ、コントラストおよび解像度を向上させます。
・複雑な乳腺組織の中に存在している病変を検出しやすくします
・被写体-フィルム間の距離を近づけ幾何学的不鋭を減少させます。
・乳房を固定して撮影時の体動を抑えます。
・被ばく線量を低下させます。(被ばく線量は3mGy程度)
上記のようなメリットがあるので、多少の痛さはあっても圧迫して多くの施設で撮影がされています。

また、標準的撮影方法は内外斜位方向(MLO:mediolateral oblique)撮影、頭尾方向(CC:craniocaudal)撮影があります。
それに加えて追加撮影法で、スポット撮影、拡大撮影、90°側面撮影などがあります。
撮影法の詳細は別記事に示します。

乳房構造を以下に示します。

核医学の基礎

核医学検査とは放射性同位元素を体内に投与し、集積などを見る検査です。

 医薬品を構成する有機化合物のなかの、たとえば炭素12Cの一部を放射性同位元素である11Cか13Cで置換すると、有機化合物の性質は変わりませんが、放射性を有することになります。これを放射性同位元素で標識した医薬品といいます。

 核医学診断装置は、体内に投与されたこれらの医薬品(放射性医薬品)が組織の病変部分に集積していく時間変化を、医薬品から放出されるγ線を体外計測することで組織の病変部分の代謝機能を診断したり、また腫瘍などの存在の有無を診断するための装置です。(以下に模式図を示します。)

核医学診断装置の歴史についてです。

電離放射線がある種の結晶に当たって吸収されると蛍光を発するという現象は、かなり古くから知られています。1947年にカルマン(Kallmann)は、光電子増倍管の先にナフタレイン結晶を付けたシンチレーション検出器をはじめて製作しました。1948年にはホフスタッター(Hofstadter)がタリウム活性化(Nal(Tl))結晶を開発し、シンチレーション検出器の感度が著しく向上しました。一方、試料計測用として1951年にアンガー (Anger) らによって井戸 (ウェル) 型シンチレーション検出器が導入され、現在でもin vivo核医学のみならず、in vitro核医学においても尿、血液などの試料測定に用いられています。

体内の放射性同位元素の分布を体外計測し、画像として最初に記録したのは、1951年イギリスのメイノード(Mayneord)らとアメリカのカッセン (Cassen)らです。使用した装置はいすれもシンチレーション検出器を機域的に走査するシンチスキャナでした。その後、1956年にアンガーがシンチレーションカメラ(シンチカメラ、ガンマカメラ、アンガーカメラなどともよぶ)の開発に成功し、現在に至っています。この間、コリメータ、イメージ記録装置、データ処理装置などの周辺機器の目覚ましい進歩がありました。また、1953年にはプロウネル(Brownell)らが脳腫瘍診断のためのポジトロン(陽電子)スキャナを開発し、現在のポジトロン放射型CT (PET)装置のさきがけとなりました。

 単光子放射型CT(SPECT)装置のさきがけは、1963年クール(Kuhl)らによってなされました。1973年のX線CTの成功に刺激されて、シンチスキャナ方式、ガンマカメラ方式のSPECT装置が登場してきましたが、ガンマカメラ回転方式のほうが多層の断層面が一度に撮れ、単に横断面のみならず、矢状断面、冠状断面も再構成できる利点があるため、ガンマカメラ回転方式のSPECT装置が広く普及するに至りました。
 
 一方、PET装置の考えはすでに1962年ランコヴイツツ(Rankowltz)らによって提案されており、多くの研究者が理論的、実験的に試みていますが、実際に実用的な装置が開発されたのは1975年フェルプス(Phelps)やターパゴシアン(TerPogossian)らによってです。最近は三次元的なデータ収集を行う三次元PETが登場し、臨床利用が行われています。また、SPECT装置においても、ポジトロン放出核種用コリメータや同時計数回路を装着したポジトロン放出核種用SPECT装置が開発され、SPECT装置を用いて 18F標識フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の臨床利用が行われています。

歳差運動と核磁気共鳴

歳差運動についてです。

 スピンが磁場内にあるとき、スピンはちょうど独楽のように自分自身が回転しつつ軸も回転しています。この運動を歳差運動といいます(下図参照)。歳差運動がMR画像を得るための信号源です。回転運動の周波数はラーモア(Larmor)周波数といい、周波数をf[Hz]で表記すると、(1-3)式で示されます。
f=γB0/2π
もしくは.角周波数ω[radian] (=2πf)で表記すると、
ω=γB0
f:周波数、:静磁場強度、γ:磁器回転比、ω:角周波数

です。たとえば、水素原子中のプロトン(1H) では、B0=2.2487T(Tesla:テスラ)でラーモア周波数が100MHzになります。他の原子(23Na、31Pなど)ではラーモア周波数がもっと小さい値となります。(以下の表に示す)式から明らかなように、ラーモア周波数は、静磁場強度に比例して大きくなります。また、同じ静磁場強度の装置であれば、ラーモア周波数は同じです。

核磁気共嗚についてです。

 生体(多数のプロトンを含む)が静磁場(B0、z軸方向とする)中にあるとき、数秒でスピンは熱平衡となります。ここで、RF磁場(B1とよぶ)をz軸と垂直方向(x軸とする)にラーモア周波数で印加します。このとき、スピンの回転周波数とRF磁場の回転周波数が一致しているので、スピンからみた回転磁場は、あたかも静止しているようにみえます。このことから、スピンの振る舞いを実験室座標系からスピンの回転に合わせて回転するスピン座標系に変えてみると、たいへん簡単になります。スピン座系では、B1が印加されると巨視的磁場MはB1の力を受けてy-z平面内を回転します。この回転は、(1-4)式によって説明されます。
dM/dt=γ[M×B]   (1-4)
dM/dtは、磁化Mの時間変化であり、BはB1のべクトル表記です。xはべクトルの外積を表します。巨視的磁化Mが90°回転するだけの強さのRFパルスを90°パルスといいます。RFパルスを印加する前は、巨視的磁化Mは、縦磁化成分だけをもちます(M=Mz)。ここに、90°パルスを印加すると、縦磁化Mzはゼロとなり、同じ大きさの横磁化Mxyが生じます(M=Mxy)。B1が第えた後、巨視的磁化はふたたびz軸を中心に歳差運動を始めます※。そのあと、縦緩和時間T1で縦磁化Mzは回復します。

 B1の大きさは、10μT程度であり、静磁場B0の大きさ(0.2T~3T)と比べて非常に小さいです。1ガウス(Gauss,1G=10-4T)の磁場強度の時、90°を回転する時間は約1/16msと短いです。

 MRIでは、歳差運動に伴う横磁化Mxy(回転磁場)を核磁気共鳴信号として検出します。

※B1の印加により、巨視的磁化が90°倒れたとき、最初の平衡状態のスビン分布は、B1によって高いエネルギー状態と低いエネルギーの比は変化し非熱平衡状態です。そこで、巨視的磁化は、縦緩和時間T1で、平衡状態に向けて緩和していくことになります。

縦磁化と緩和

縦磁化と緩和についてです。

 スピンが高いエネルギー状態から低いエネルギー状態へ移行するときにエネルギーを放出します。また、低い状態から高い状態に変化するときには、スピンは周囲からエネルギーを吸収します。放出/吸収のエネルギーの大きさは、状態間のエネルギー差に一致します。エネルギーの放出は、スピンと周囲の粒子との衝突や相互作用によります。エネルギーの吸収は高周波(radiofrequency・RF)磁場で行われます。

 静磁場中のスピンは、高いエネルギー状態と低いエネルギー状態の比率が一定で(ボルツマン分市という法則に従い厳密に計算できる)、安定した状態になります。この状態を熱平衡状態といいます。

 熱平衡状態において、低エネルギー状態のスピンと高エネルギー状態のスピンは、わずかに低エネルギー状態のほうが多いです。両状態のスピンの占める割合の差により、巨視的化は静磁場方向を向きます。この磁化べクトル成分を縦化とよびます。

 熱平衡状態のスピンにRF磁場を照射すると、低いエネルギー状態のスピンは高いエネルギー状態のスピンに変化します。このように低い状態と高い状態の比が熱平街状態から変化した状態は、非熱平衡状態といいます。

 非平衡状態の縦磁化Mzが、平衡状態に戻る過程は、(1-1)式の徴分方程式で示されます。
dMz/dt=(M0-Mz)/T1 (1-1)
これを解くと.
Mz =M0{1-exp(-t/T1)} (1-2)
となります。ここで、T1 は巨視的置化が減少する(これを緩和するという)時定数(縦緩和時間とよぶ)。
M0は巨視的磁化の熱平衡値です。この式から、巨視的磁化Mzは、時刻T1で、63%だけ平衡状態に近づくことになります。(以下の図参照)縦緩和は、高い工ネルギー状態のスピンが、そのエネルギーを周囲の粒子との衝突で失う時間あたりの頻度です。縦緩和時間は、スピン-格子緩和時間あるいは熱緩和時間ともよびます。T1は、プロトンの易動度や温度に大きく依存します。生体の縦緩和時間は、0.1~4.Os程度です※。

※自由水のT1は40s程度、結合水、構造水のT1はおよそ0.1~0.8s、また、生体ではないが氷(固体)のT1は決勝状態のため非常に長い。

原子とプロトン

 NMRの原理についてです。

 まずは原子とプロトンについてです。

 NMR現象は、量子力学と古典力学の双方の側面をもちます。しかし、多くの現象は古典力学的な説明で理解できます。したがって、できるだけ量子力学的な説明をせずに直観的でわかりやすい説明を心がけます。

 物質を構成する原子は電子と原子核からなり、正負の電荷は等しく総和はゼロで中性です。原子核は陽子(プロトン)と中性子から構成されます。もっとも小さい原子は水素原子(1H)で、陽子1つからなる原子核と電子1つが対になってできています。プロトンは電子に比べ非常に重いです(質量比は1836)。プロトンは、電荷と磁気モーメントをもちます。ここで、磁気モーメントは、小さな磁石にたとえることができます。磁気モーメントは、プロトンの(量子学的な)回転運動・スピン(spin)によって生じます。

 静磁場中でスピンは、高エネルギー状態と低エネルギー状態に分かれます。低エネルギー状態は安定で高エネルギー状態は不安定です。静磁場がゼロのときには、スピンは、原子ことにばらばらな方向を向いています。そのため、原子を集合としてみると、スピンの総相(これを巨視的磁化という)はゼロになります。一方、静磁場があるとき、スピンは静磁場の方向に整列します。この結果、巨視的磯化はゼロでない値をもっことになります。以上より、静磁場中の巨視的化をベクトル量としてとらえることができ、一般的には記号Mで表されます。

模式図を以下に示します。

MRIの物理的特徴

 MRI装置台数は、1994年にはすでに国内に2208台稼働していましたが、2006年時点で、約5000台に増え、現在ではさらに増え、たいへん身近な存在になっています。MRIの撮像対象は、頭部・脊椎などの中枢神経系、四肢、心臟、血管、腹部 (腎臓、肝臓、胆管、膵管など)など多岐にわたります。また、脳手術中に残存腫瘍をモニタする術中MRIや、インターベンショナルMRI、脳機能を画像化するfMRI(functional MRI)、脳の神経線維を画像化するトラクトグラフィ(tractography) など、新しい技術開発も進んでおり、今後もMRIの適用範囲は広がる傾向にあります。

 MRIを可能にする物理的な原理は、以下の5点に集約されます。

① 電場と磁場には基本的な関連があります。電荷が空間を移動すると磁場を発生します。そして場が時間的に変動すると電場を生じます。この関係は逆もまた成り立ちます(可逆的である)。
②多くの原子において、原子核はあたかも小さい磁石としてるふるまいます(磁気双極子モーメントをもちます)。
③静磁場のS極(N極)と静磁場中の磁石のS極(N極)には斥力が働き、静磁場のS極 (N極)と静磁場中の磁石のN極(S極)の間には引力が発生します。このことから、磁石のS極が磁場のN極に、磁石のN極が磁場のS極に向きをそろえようとする力が働きます。このように、磁場中の磁石が整列します(低いエネルギー状態)。また整列していなし状態もあります(高いエネルギー状態)※
④プロトンは、磁気双極子モーメントに加え、角モーメントというものをもちます。角モーメントは回転している物質を同じ状態で回し続けるように働きます。その結果、プロトンはこまのように回転しながら軸が揺れる動きをします。これを歳差運動といいます。
⑤歳差運動は、角モーメントとそれを変えようとするカ(磁場)に比例します。比例係数を磁気回転比といいます。

 これらの原理の組み合わせで、MRIでは、プロトンの密度、緩和時間、血流情報などの信号を扱うことができます。また、得られた情報をさらに詳細に処理することで、これまでにないさまざまな種類の画像をつくることができます。たとえば脳の診断で複数の撮像方法で同一部位を撮像し各画像で病変部がどのようなコントラストを呈するかを見て、総合的な画像診断をします。

 このことから、MRI装置は非常に高い診断性能と潜在ポテンシャルをもっています。

※プロトンのような原子核では、エネルギー状態は離散的に存在することが知られています(NMRで扱うスピンの量子レベルは、プロトンの場合、高いエネルギー状態の反平衡状態と低いエネルギー状態の平衡状態の2種類が存在します)エネルギー状態は量子力学を使うことによって厳密に計算できます。

以下にMRI数の遷移を示します。

MRIの特徴

MRIについてです。

 MRI(magnetic resonance imaging:核磁気共鳴イメージング) 装置は、核磁気共鳴 (nuclear magnetic resonance・NMR)現象を利用した画像診断置です。1980年代中ころから臨床イメージングに急速に普及しました。X線を主体にした手法と比べると、安全性に優れ、濃度分解能に優れるほか、さまざまな生体機能を画像化できます。その理由は、MRIが生体をおもに構成する水素原子核(プロトン)の物理化学的な状況を計測するからです。水素原子は、+の電荷をもつ重い陽子(プロトン)と一の電荷をもつ軽い電子から成り立っています。

 NMRの原理は、1946年にプロッホ(Bloch)とバーセル(Purcell)がそれぞれ独立に発見し両者はノーベル賞を受賞しました。NMR現象を利用した工業製品には、物理化学分析用のNMR装置があり、化学的こ分析に利用されています。生体への利用は、1971年にタマディアン (Damadian) が腫瘍の緩和時間を測定し癌診断の可能性を報当したのが最初です。NMRを利用した撮像、すなわちMRIは1973年に成功しました。

 MRIの発明に対して、ローターバー(P.C.Lauterbur)とマンスフィールド(P Mansfield) が、2003年にノーベル賞を受賞しました。MRIの発明の初期には、MRIの画像化アルコリズムとして、X線CTの画像再構成法で使われる投影再構成法が用いられていましたが(1973年ころ)、その後、現在主流になっているフーリエ変換イメージング法が提案されました(1974年)。最初は、ヒトの頭部だけでの撮像でしたが、1979年には、全身用のMRI装置が開発されました。

 MRI装置の特徴です。利点は、軟部組織の分解能が良い、任意の断面で撮像ができる。撮像の自由度が高く診断目的によって最適な画像コントラストで撮像できる、侵襲性が低い、など多い.です。一方、欠点としては、撮像時間が比較的長い、動きによるアーチファクトが生じやすい、金属が体内にある場合画質が劣化する、高磁場下で撮像するため、撮影室に金属性のもの (磁性材)をもち込めない、高周波ノイズを発生する機器を撮影室にもち込むと画像が乱れる、などがあります。

MRIの特徴の詳細を以下に示します。

利点
①軟部組織のコントラスト分解能に優れている
②軸横断、冠状断、矢状断像像の他に任意の斜断像が容易に得られる
③撮影の自由度が高い(パルスシーケンスの選択ができ、病変に対する検出能が高い)
④無侵襲で安全性が高い
⑤血流情報が得られる
⑥骨や空気によるアーチファクトがない
⑦化学シフト情報が得られる
⑧イメージンクとスペクトル計測が両立できる(高磁場装置)
⑨プロトン以外のイメージンクが可能(高磁場装置)
⑩脳機能撮像による脳局所活性化部位の同定がでさる

欠点
①撮影時間が長い(30分程度)
②動きのアーチファクトが生じやすい
③石灰化巣に関する情報が得られない
④周辺環境への漏洩磁場の影響がある
⑤装置の価格および運転費用が高い
⑥撮像対象に制限がある
例:重症患者やぺースメーカ保持者の撮影に制限

MRIの持ち込み禁止なものについて以下に示します。
どこの施設でも同様なものが検査室前に貼られていると思います。