シンチレーション検出器②

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光電子増倍管についてです。

 光電子増倍管は、下図に示すように光電面と順次配列されたダイノードとよはれる電極 (ニ次電子面ともよばれる)および陽極(収集電極)からなります。光が光電面に入射するとそのエネルギーを受けて光の強さにはほ比例した数の電子が放出されます。光電面から出た電子(光電子とよぶ)は電極で加速されて順次各ダイノードに衝突すします。ダイノードもまた光電面と同様、わずかなエネルギーで電子を放出しやすい物質を塗布しているので電子の増倍が行われ、最後に比較的大きな電流となって陽極に集められます。全体の増幅度はダイノードの段数や段間に印可する電圧によって異なりますが105~106の増幅度は容易に得られます。

 波高(エネルギー)分析器についてです。

 シンチレーション検出器を用いて、その出力信号(パルス)を計数するためには、波高分析器が必要です。波高分析器としては、種々の形式のものがsりますが、これらはシングルチャネル波高分析器とマルチチャネル波高分析器に分けることができます。

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 シングルチャネル波高分析器には、ある波高(工ネルギー) E以上のパルスのみを取り出して計数する場合と波高EとE十ΔEとの間のパルスを選択的に取り出す場合があります。とくに、前者を積分波高分析器、後者を微分波高分析器とよびます。この場合、Eをベース電圧、ΔEをチャネル幅またはウインドウ幅とよびます。Eを一定に保ち、Eを順次変えて計数すれば波高分布(エネルギースペクトル)が得られます。

 弁別回路への入力波形は、有限の立ち上がり、立ち下がり時間をもっているため、EとE+ΔEを同時に超える入力パルスでもれt1~t2間およびt3~t4間ではEのみを超えています。

 相隣り合った多数のΔE区間の計数を同時に測定できるようにしたものがマルチチャネル波高分析器で、広い波高範囲にわたるスペクトル分布を短時間に測定でさるので多くの利点があり、広く用いられるようになっています。マルチチャネル波高分析器には多くの方式があります。

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シンチレーション検出器①

シンチレーション検出器についてです。

シンチレーション検出器の原理です。

 シンチレーション検出器は、下図に示すようにシンチレータ(蛍光体)と光電子増倍管からなります。放射線がシンチレータに入射してその中でエネルキーを失うと、その失ったエネルギーにほぼ比例した光を放出します。この光を蛍光といい、光電子増倍管こ電気的パルス信号に変換した後増幅するもの
です。

 シンチレーション検出器の特徴は、
①放射線と相互作用するシンチレータ(蛍光体)が固体または液体で、その形や大きさがかなリ任意に選択できるので、各種の放射線に適した測定が得られる。
②とくにγ線や中性子に対して感度の高いものが得られる。
③時間分解能が良好である。
④出力パルスを波高分析することによってエネルギーの分析が可能
などです。

シンチレータについてです。

 シンチレータを大別すると無機結晶、有機結晶、プラスチックシンチレータ、液体シンチレータに分けることができます。Y線および比較的エネルギーの大きいγ線の測定には、タリウムを含んだヨウ化ナトリウム〔NaI(Tl)、アントラセン、プラスチックなどの無機または有機結晶体を用います。発生する蛍光の波長は結晶によって異なりますが、約4000Åであるので、光電子増倍管はこの程度の波長の光に対して、もっとも感度よく応答するようにつくられています。

 シンチレータの望ましい特性としては一般的に、
①放射線エネルギーの蛍光への変換効率が高いこと。
②蛍光の透過性がよいこと。
③蛍光の減衰時第が短いこと。
④蛍光の波長分布が使用する光電子増倍管の分光感度に適応しているこ。
などです。

 γ線用にはなるべく原子番号の大きい元素を含むもののほうが検出効率が高くてよいです。

 以下に各種シンチレータの特性のまとめを示します。

核医学の基礎

核医学検査とは放射性同位元素を体内に投与し、集積などを見る検査です。

 医薬品を構成する有機化合物のなかの、たとえば炭素12Cの一部を放射性同位元素である11Cか13Cで置換すると、有機化合物の性質は変わりませんが、放射性を有することになります。これを放射性同位元素で標識した医薬品といいます。

 核医学診断装置は、体内に投与されたこれらの医薬品(放射性医薬品)が組織の病変部分に集積していく時間変化を、医薬品から放出されるγ線を体外計測することで組織の病変部分の代謝機能を診断したり、また腫瘍などの存在の有無を診断するための装置です。(以下に模式図を示します。)

核医学診断装置の歴史についてです。

電離放射線がある種の結晶に当たって吸収されると蛍光を発するという現象は、かなり古くから知られています。1947年にカルマン(Kallmann)は、光電子増倍管の先にナフタレイン結晶を付けたシンチレーション検出器をはじめて製作しました。1948年にはホフスタッター(Hofstadter)がタリウム活性化(Nal(Tl))結晶を開発し、シンチレーション検出器の感度が著しく向上しました。一方、試料計測用として1951年にアンガー (Anger) らによって井戸 (ウェル) 型シンチレーション検出器が導入され、現在でもin vivo核医学のみならず、in vitro核医学においても尿、血液などの試料測定に用いられています。

体内の放射性同位元素の分布を体外計測し、画像として最初に記録したのは、1951年イギリスのメイノード(Mayneord)らとアメリカのカッセン (Cassen)らです。使用した装置はいすれもシンチレーション検出器を機域的に走査するシンチスキャナでした。その後、1956年にアンガーがシンチレーションカメラ(シンチカメラ、ガンマカメラ、アンガーカメラなどともよぶ)の開発に成功し、現在に至っています。この間、コリメータ、イメージ記録装置、データ処理装置などの周辺機器の目覚ましい進歩がありました。また、1953年にはプロウネル(Brownell)らが脳腫瘍診断のためのポジトロン(陽電子)スキャナを開発し、現在のポジトロン放射型CT (PET)装置のさきがけとなりました。

 単光子放射型CT(SPECT)装置のさきがけは、1963年クール(Kuhl)らによってなされました。1973年のX線CTの成功に刺激されて、シンチスキャナ方式、ガンマカメラ方式のSPECT装置が登場してきましたが、ガンマカメラ回転方式のほうが多層の断層面が一度に撮れ、単に横断面のみならず、矢状断面、冠状断面も再構成できる利点があるため、ガンマカメラ回転方式のSPECT装置が広く普及するに至りました。
 
 一方、PET装置の考えはすでに1962年ランコヴイツツ(Rankowltz)らによって提案されており、多くの研究者が理論的、実験的に試みていますが、実際に実用的な装置が開発されたのは1975年フェルプス(Phelps)やターパゴシアン(TerPogossian)らによってです。最近は三次元的なデータ収集を行う三次元PETが登場し、臨床利用が行われています。また、SPECT装置においても、ポジトロン放出核種用コリメータや同時計数回路を装着したポジトロン放出核種用SPECT装置が開発され、SPECT装置を用いて 18F標識フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の臨床利用が行われています。

分子イメージング・PETの登場

分子イメージング・PETの登場についてです。

 人体内部の分子レベルの状態を、静的、動的に画像情報として表現するに技術は、MRIに始まり、PET(positron emission tomography:ポジトロンエミッショントモグラフィ)の間発へと発展してきました。分子イメージンクの代表としてPETを取り上げます。

 PETは1970年代後半に動物実験で、酸素やブドウ糖の代謝をもとにした生体活動を、分子レベルで画像化することに成功しました。

 臨床的にPET検査として、人体に広く利用されるようになったのは1990年代後半からで、2000年代前半からは日本全国の医療機関へ普及し、いわゆるPETブームと称されるようになりました。

 PETは11C、13N、15O、18Fなど生体構成元素の同位体の標識薬剤を用い、生体内での生理学的、生化学的な動きを画像化することに大きな特徴があります。また体内分布を定量化できるので、局所の血流量や酸素消費量、ブドウ糖消費量を解析できます。たとえば、治療前後の血流、代謝の変化を判定することもできます。

 とくにPETが注目され普及するようになったのは、ブドウ糖の誘導体である18F-FOG (18F-fluorodeoxyglucose)が悪性腫瘍に親和性が高く、18F-FDGを用いたPETの検査が悪性腫瘍の診断に有効であると証明されたことが大きいです。18F-FDGは薬剤設与後、十分な時間が経過して安定した時点での画像を作成します。動脈採血も動態測定もせず、静止画のみで動態測定検査と同等の局所ブドウの摂取率が、三次元画像化できることが特徴であり、癌の早期発見と、全身への広がりを知ることができると期待されました。

 癌の早期発見、早期治療の取り組みは、すでに長い歴史があるので、早期発見だけではPETの価値は高いとは言えません。むしろ、癌はけっして不治の病衣ではなくなってきている現実が、PETの出現を後押ししています。すなわち外科治療のみならず、放射線冶療、化学療法、免疫療法が癌の治療に大きな比重を占めてきたからです。その結果、癌の治療は単に早期発見、早期治療の時代に比し非常に長期化し、全身の癌の状況を時間軸で追求する必要があり、分子イメージングのPETが重視されてきました。さらにCTと組み合わせたPET-CTが出現し、PETのもつ静的・動的画像とCTのもつ精細な形態情報を融合させたものとして、臨床PET装置の主流となっています。

 PETの画像診断は成長期にあり、解決しなければならない問題点も多いです。偽陽性例、偽陰性例を減らす診断面での努力、高解像化など性能面の向上、検査時間の短縮による1人当たりの検査費用の低減、新しい核種の発見・利用が必要です。

下の画像は左がCT画像、右がPET画像、真ん中がPET-CT画像となっています。