超音波(エコー)検査の性能

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超音波(エコー)検査の性能についてです。

近接する2点を識別する能力を空間分解能といい、この能力が高い診断装置が望まれます。
超音波(エコー)検査の空間分解能には「距離分解能」、「方位分解能」、「スライス方向の分解能」があります。

1、距離分解能
・超音波ビームの進行方向(深さ、縦方向)の空間分解能のことです。
・超音波の周波数が低い(波長が長い)と波長より短い2点を分解することはできません。
・超音波の周波数が高いほど距離分解能は向上します。

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2、方位分解能
・超音波の進行方向に垂直方向(走査方向、横方向)の空間分解能のことです。
・超音波ビームの幅が狭いほど方位分解能は向上します。
・方位分解能を上げるには超音波の周波数が高くする方法があります。これは周波数が高くなると、音波の直進性が向上するためですまた、(指向性の向上)。指向性とは音波の広がり具合のことです。フォーカシング機能により制御することでも向上します。

3、スライス方向の分解能
・プローブの厚み方向と同方向の空間分解能のことです。
・音響レンズを使用することでビームを絞り込んで改善します。

以下に図を示します。

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超音波(エコー)検査の概要

病院で行われている超音波(エコー)検査について説明していきます。
超音波(エコー)検査は放射線技師か検査技師の人が行っています。
(最近は検査技師の人がするのがほとんどだと思います。)

超音波とは人間の耳には聞こえない高周波の音のことです。周波数20kHz以上の音を「超音波」と呼びます。
超音波検査には2~20Mhzの周波数を使用しています。

超音波の伝達速度c(m/s)は①物質の硬さ(弾性度)、②媒質の温度、③超音波の周波数に依存します。
①物質の硬さ(弾性度)
c=√k/ρで表され、kは弾性度(体積弾性率)、ρは媒質の密度(kg/m2)を表します。
生体組織中の伝搬速度は1500m/s前後で、骨は速く、空気は遅いです。

②媒質の温度
一定の範囲内において同一媒質中で温度が高いほど超音波の伝搬速度は速くなります。

③超音波の周波数
c=fλで表され、λは波長(m)、fは超音波の周波数(Hz)を表します。
一般的に周波数が高いほど伝搬速度は速くなります。

生体内を進む超音波の速さはほぼ一定なので、時間が分かると距離(反射体の深さ)が分かります。

画像の表示モードです。
表示モードにはAモード、Mモード、Bモード、ドプラモードがあります。
1)Aモード(amplitude:振幅):距離(時間)と反射波振幅を表示します。
2)Mモード(motion:運動):心筋・像帽弁などの運動性や心室壁厚の測定などをします。

3)Bモード(brightness:輝度):反射波強度(振幅)を輝度で表します。

4)ドプラ(カラー、パルス、パワー)モード
 音源と探触子を固定し、移動する血流からの反射波を受信するとき、音波の周波数が血流速度に応じて変化する現象を利用します。
ドプラ現象で血流の観察が可能です。
①カラードプラ法(CDI:Color Doppler Imaging)
血流の検出に有効です。
血流方向が分かります。
(プローブに近づく血流・・赤色、プローブから遠ざかる血流・・青色)

②パワードプラ法
血流の強さ(エコーの強さ)を色の明るさの違いで表現します。
臓器内血流や小血管を描出します。

③パルスドプラ法
低速血流の計測に優れます。流速の計測や波形を分析し、狭窄病変の有無や狭窄程度の評価に応用されます。

④連続波ドプラ法
末梢動脈の狭窄部位や仮性瘤の流入孔部で流速の速い病変部(高速血流)の流速測定に応用します。

上記のように超音波(エコー)検査では検出したいところや検査部位によって、適切な表示モードに切り替えています。

 

乳房撮影(マンモグラフィ)の撮影法と画像

乳房撮影(マンモグラフィ)の撮影法についてです。

標準的撮影方法です。
・内外斜位方向(MLO:mediolateral oblique)撮影
脇下に向かって伸びている乳腺も含め乳腺の分布の長軸と平行に乳房を撮影します。大胸筋も含めます。
MLOの合格基準は
①左右の写真が対称であること。
②乳頭がprofileに出ていること。
③大胸筋が乳頭の高さくらいまで写っていること。
④乳腺後方にある脂肪組織がよく描出されていること。
(特に乳腺組織の下深部が切れていないこと)
⑤腹部組織が入っており、inframammary fold が伸びていること。
⑥乳房の皴がないこと
などです。

・頭尾方向(CC:craniocaudal)撮影
この撮影法はMLOを補充する撮影法で、MLO撮影では画像にしづらい乳房内側を画像にします。外側上部がブラインドになります。
CCの合格基準は
①左右の写真が対称であること。
②内側乳腺組織は必ず描出され、外側もできるだけ入っていること。
③胸壁深くまで入っていること。(胸筋が出るくらい)
④乳頭がprofileに出ていること。
⑤乳房の皴がないこと
などです。

追加撮影法です。
・スポット撮影
目的の部分を小さな圧迫版で局所的に圧迫します。

・拡大撮影
微細な病変の形態・構造を描出するために行います。拡大率は1.5~2倍程度です。

・90°側面撮影
目的部位がフィルムに近くなるように内外または外内方向の90°側面から選択します。

以下に撮影の図を示します。

乳房撮影(マンモグラフィ)の基本

乳房撮影(マンモグラフィ)についてです。

マンモグラフィは乳房の疾患を判別する検査です。
石灰化の分布や形態、腫瘤形態、内部や辺縁の状態、その他の異常所見(腫瘍を検出)の目的で行われます。

撮影体位は乳房撮影装置に向き合った体位で、圧迫(最大12kg)して撮影を行います。

私が以前働いていた病院でもマンモグラフィはしていましたが、女性技師さんが対応していました。
おそらく多くの病院では女性技師さんが対応していると思います。
マンモグラフィの資格もあり、女性技師さんの求人は多数あるのが現状です。

乳房撮影(マンモグラフィ)とはどんな検査なのかを説明していきます。

乳房撮影の特殊性です。
・乳房は全てが軟部組織から構成されており、低エネルギーX線(電圧は25-35kV)を使用して撮影を行います。
・乳房内の異常軟部組織や微細な石灰化を高いコントラスト分解能で描出するためには、乳房撮影専用に設計された装置を用います。
(Mo陽極ーMoフィルターでBe窓、グリッド使用、高コントラストフィルム、片面乳剤を使用など)
・乳房は彎曲した胸郭上に存在するので、乳腺全体を画像上に描出させる撮影技術が必要です。

以下の図のように乳管内進展のみを非浸潤癌といいます。予後が良いのが特徴です。
検診で非浸潤癌を多く発見できれば乳癌の予後が改善すると考えられています。

乳管内の癌細胞の壊死により石灰化をきたします(壊死型石灰化)。これは乳管の走行に一致した(鋳型形成のような)微細線状・分枝状の石灰化は悪性(乳癌)を示唆する所見です。
このような微細石灰化を描出させることが乳房撮影(マンモグラフィ)において非常に重要です。

マンモグラフィの経験がある人は分かるかもしれませんが、撮影時に乳房を圧迫します。
この圧迫の必要性についてです。
・乳房全体に対して適切な画像濃度を得るために圧迫して厚さを均等にします。
・散乱線を減少させ、コントラストおよび解像度を向上させます。
・複雑な乳腺組織の中に存在している病変を検出しやすくします
・被写体-フィルム間の距離を近づけ幾何学的不鋭を減少させます。
・乳房を固定して撮影時の体動を抑えます。
・被ばく線量を低下させます。(被ばく線量は3mGy程度)
上記のようなメリットがあるので、多少の痛さはあっても圧迫して多くの施設で撮影がされています。

また、標準的撮影方法は内外斜位方向(MLO:mediolateral oblique)撮影、頭尾方向(CC:craniocaudal)撮影があります。
それに加えて追加撮影法で、スポット撮影、拡大撮影、90°側面撮影などがあります。
撮影法の詳細は別記事に示します。

乳房構造を以下に示します。

放射線技師 転職

放射線技師の転職についてです。

放射線技師は病院で働くのが一般的です。
私自身は医学物理士として病院の治療部門で計画業務をしています。

 放射線技師の仕事は診断部門では一般撮影、CT、MRI、核医学(PETやSPECTなど)、透視など、治療部門では固定具作成、治療計画、照射など多岐にわたります。診断部門は日曜当直や夜勤があるところが多く、治療部門は平日に照射を行うので土日休みが多いです。
 また、放射線取扱主任者として原発などで働いている人、大学院で博士号をとり大学の教員として働いている人もいると思います。

 給与的には病院にもよりますが、長年働いても年収1000万を超えるのは厳しいといわれています。個人的に放射線技師の方はお金に関して不満を持っている人が多い気がします。大学教授や、転職して医療機器メーカーに勤めると1000万を超える企業もあります。

 私も将来医療機器メーカーで働きたいと思っています。関係者の話を聞くと忙しいとは思いますが、最先端の医療機器を日本各地の医療従事者へ伝えていくやりがいがあると思います。

 2014年にiPS細胞などを使った治療を規制する再生医療安全性確保法と、細胞シートなどの再生医療等製品や医療機器の承認手続きを簡素化する改正薬事法(医薬品医療機器等法)が施行されました。既存の医薬品・医療機器以外の、再生医療等製品という第三のカテゴリーが新たに設けられ、再生医療等製品に関して速やかな承認手続きが行われるよう、法整備が進められました。今後の日本経済の成長を支える起爆剤として、再生医療等製品に対する期待はますます高まっています。
 再生医療等製品が本格的に治療などに使われるようになるためには、それを培養するための培養装置や、再生医療等製品を加工・インプラントするための専用機器なども必要とされることが予測されます。その意味では、医療機器業界を中心とした周辺産業にも大きな波及効果があるものと大いに期待されています。
 また、手術用ロボットの分野でも、先行する米インテュイティブサージカル社に負けじと、日本の大手企業が続々と参入を表明しています。「日の丸ロボット」が医療機器分野で活躍する日も近いかもしれません。日本政府も国を挙げて、医療機器産業の発展を後押ししてくれていて、成長が楽しみな医療機器業界となります。
 このように先々の夢に溢れた医療機器業界ですが、足元でみても、相変わらずの活況が継続しているようです。少々遡りますが、リーマンショックの半年後からいつものような求人オーダーが復活しており、それが現在も継続している状況となります。求人オーダーが途絶えません。これは医療機器業界が食品などと並ぶディフェンシブな業界だからです。たとえば、皆、風邪をひけば耳鼻科に行きますし、それに伴い、耳鼻科の医療機器メーカーにも、恒常的に注文が入るわけですから…。その意味では、極めて安定した良い業界といえると思います。
 社会貢献度の高さも、やはり大きな魅力のひとつです。自分が開発した、あるいは、販売した医療機器で患者様の命を救えるとしたら、こんな素敵な職業はないのではないでしょうか? 医療機器業界で働いている多くの人は、そんな思いで、日々業務に励んでいます。
 そんな将来有望で、かつ、安定した、社会貢献度の高い医療機器業界ではありますが、職種により大きく求人の傾向が異なります。営業職、マーケティング職、薬事職、品質保証、安全管理、クリ二カルスペシャリスト、サービスエンジニアなど、医療機器メーカー内にはいろいろな職種の方が働かれておりますが、それぞれの職種で募集内容も異なります。
 医療機器業界への転職をお考えの方は、それぞれの職種に見合った転職対策を検討していく必要があります。また、医療機器業界ですでにお勤めの方は、中長期のビジョンをもって、キャリア形成を計画的に行い、もしもの時のためにキャリアで武装(リスクヘッジ)していく努力がとても大切となると思います。
 特に外資系医療機器メーカーでお勤めの方の場合、日本法人の動向とは全く無関係に、本国(海外親会社)の合併・売却などで、命運が左右されるケースもあるので、キャリアで武装することは、ある意味必須といえるかもしれません。

 今の時代は病院での放射線技師業務に限らず、起業をしたり医療機器メーカーに転職したりと色んな選択肢があるので自分の目指すもの(年収、安定、働き方)などを考えて挑戦していくべきだと思います。

チェルノブイリ原子力発電所事故

 チェルノブイリ原子力発電所事故は、1986年4月26日1時23分(モスクワ時間)にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故です。後に決められた国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類され、世界で最悪の原子力発電所事故の一つです。原子炉運用ルールの不徹底に始まり、行政当局による事故の隠蔽や、高レベル放射線により遠隔操作の機械が急激に大破・故障し、原子炉の暴走を食い止めるために数多くの人員が投入された事などが原因となり、人的被害は人類史上最悪となりました。現在に至るまで、原子力事故の典型例として各種メディアで頻繁に引用されている事故です。

 事故発生時、4号炉では動作試験が行われていました。試験の内容はいわゆるストレステストで、外部電源が遮断された場合の非常用ディーゼル発電機起動完了に要する約40秒間、原子炉の蒸気タービンの惰性回転のみで各システムへの電力を充足できるか否かを確認するものでした。しかし、責任者の誤った判断や、炉の特性による予期せぬ事態の発生により、不安定状態から暴走に至り、最終的に爆発しました。 動作試験は原子炉熱出力を定格熱出力の20 – 30%程度に下げて行う予定でしたが、炉心内部のキセノンオーバーライドおよびオペミスによって熱出力が定格の1%にまで下がってしまいました。運転員は熱出力を回復するために、炉心内の制御棒を引き抜く操作を次々に行いました。これにより熱出力は7%前後まで回復しましたが、反応度操作余裕(炉心の制御棒の数)が著しく少ない不安定な運転状態となりました。これにより実験に支障が出ることを危惧した運転員らは、非常用炉心冷却装置 (ECCS) を含む重要な安全装置を全て解除したうえで、実験を開始しました。実験開始直後、原子炉の熱出力が急激に上昇し始めたため、運転員は直ちに緊急停止操作(制御棒の挿入)を行いましたが、この原子炉は特性上制御棒を挿入する際に一時的に出力が上がる設計(ポジティブ・スクラム)だったため原子炉内の蒸気圧が上昇し、緊急停止ボタン(AZ-5ボタン、起動するのに約5 – 8秒、スクラム完了にはさらに20秒程度かかる)を押した7秒後に爆発しました。
この爆発事故においては、
・制御棒など根本的設計の欠陥。
・運転員への教育が不十分だった。
・特殊な運転を行ったために事態を予測できなかった。
・低出力では不安定な炉で低出力運転を続けた。
・実験が予定通りに行われなかったにもかかわらず強行した。
・実験のために安全装置をバイパスした。
など多くの複合的な要素が原因として挙げられます。学者らによる後の事故検証では、これらのいずれかが1つでも守られていれば、爆発事故、あるいは事故の波及を最小限に抑えることができた可能性が高かったともいわれています。
 ソ連政府は当初、事故は運転員の操作ミスによるものと発表しましたが、事後の調査結果はこれを覆すものが多かったです。重要な安全装置の操作が運転員の判断だけで行われたとは考えにくく、実験の指揮者の判断が大きかったものと推定されます。これに原子炉の設計上の欠陥が後押しする格好となりました。
 事故から20年後の一部報道の中には、暴走中に「直下型地震」が発生したことが爆発につながったとするものもありますが、京都大学の今中哲二は、他の1 – 3号炉に異常が無かったこと、付近の住民が地震についての証言をしていなかったことなどから、地震計に記録されているとされるその振動は、4号炉の爆発そのものによって引き起こされたものであると反論しています。
 4号炉は1983年12月21日に完成しましたが、その翌日の12月22日の原子力産業の記念日に合わせて4号炉を完工するために、耐熱材質を不燃性材質から可燃性材質へと変更して施工を強行したことも放射性物質の拡散拡大の原因のひとつに挙げられます。
 2004年にイギリス・BBCとカナダ・ヒストリー・テレビジョン(英語版)により製作された再現ドラマゼロ・アワー (2004年のTVシリーズ)(英語版)シーズン1第1話「チェルノブイリの災害(Disaster at Chernobyl)」によると、実験当時の現場の技術責任者にはRBMK-1000型原子炉の特性について熟知している者が誰もいなかったとされています。所長のヴィクトル・ブリュハーノフ(ロシア語版)は火力発電所や蒸気タービンの建設でこそ実績があったが、原子力発電所については経験が無く、4号炉建設当時には前述の材質変更を強行して記念日前の完工を達成し出世した人物でした。技師長のニコライ・フォーミンは原子力については通信教育で学んだのみで、実際の現場の指揮はフォーミンの部下で副技師長であったアナトリー・ディアトロフ(英語版)に一任していました。そして事故当時の現場の最高責任者であったディアトロフも、原子力を独学で習得して技術畑を歩んできた苦学者ではあったものの、RBMK-1000の特性自体は理解しておらず、晩年のインタビュー映像では「(RBMK-1000型の)原子炉の特性を事前に知らされていれば、あのような実験は決して行わなかった。」と述懐する有様でした。

デーモンコア

 放射線に関する事故関連のデーモン・コア(demon core)について書いていきます。

 デーモン・コア(demon core)は、アメリカのロスアラモス研究所で各種の実験に使われた約14ポンド(6.2kg)の未臨界量のプルトニウムの塊です。以下に画像を示します。事故前はルイス・スローティン博士が「ルーファス」(Rufus)と名付けていましたが、安全性を度外視した危険な実験や不注意な取り扱いのために1945年と1946年にそれぞれ臨界状態に達してしまう事故を起こし、二人の科学者の命を奪ったことから「デーモン・コア(悪魔のコア)」の悪名がつけられました。

・最初の臨界事故

 1945年8月21日、ロスアラモス研究所で働いていた物理学者のハリー・ダリアン(英語版)は、プルトニウムの塊を用いて中性子反射体の働きを見る実験を行っていました。プルトニウムの塊の周囲に中性子反射体である炭化タングステンのブロックを積み重ねることで徐々に臨界に近づける、という要旨の実験でした。ブロックをコアに近づけ過ぎると即座に臨界状態に達して核分裂反応が始まり、大量の中性子線が放たれるため危険です。しかしダリアンは手が滑り、ブロックを誤ってプルトニウムの塊の上に落下させてしまいました。プルトニウムの塊は即座に核分裂を起こし、そこから放たれた中性子線はダリアンを直撃しました。ダリアンはあわててブロックをプルトニウムの塊の上からどかせたものの、彼はすでに致死量の放射線(推定5.1シーベルト)を浴びていました。ダリアンは25日後に急性放射線障害のために死亡しました。

・第二の臨界事故

 1946年5月21日、カナダ出身の物理学者ルイス・スローティンと同僚らはロスアラモス研究所にて、未臨界の核分裂性物質に中性子反射体をどの程度近づければ臨界状態に達するか、の正確な距離を調べる実験を行っていました。今回使われた中性子反射体はベリリウム、臨界前の核分裂性物質として使われたのは前年ダリアンの命を奪ったデーモン・コアです。スローティンらは球体状にしたベリリウムを分割して二つの半球状にしたものを用意し、その中央にデーモン・コアを組み込みました。そして、ベリリウムの半球の上半分と下半分との間にマイナスドライバーを挟み込み、手に持ったマイナスドライバーをぐらぐらさせて上半分の半球をコアに近づけたり離したりしながらシンチレーション検出器で相対的な比放射能を測る、という実験を行いました。挟みこんだドライバーが外れて二つの半球を完全にくっつけてしまうと、デーモン・コアは即座に臨界に達し、大量の中性子線が放たれるため危険です。この実験は、たった一つの小さなミスも許されない危険性からロスアラモス研究所のスタッフの中でも人望高い研究者リチャード・ファインマンが「ドラゴンの尻尾をくすぐるようなものだ」(”tickling the dragon’s tail”)と批判し、他のほとんどの研究者は実験への参加を拒否したほど悪名高いものでした。しかし、功名心の強い若き科学者であったスローティンは皆の先頭に立って何度かこの手の実験に参加しており、ロスアラモスのノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミも「そんな調子では年内に死ぬぞ」と忠告していたと言われます。
 そしてついにこの日、スローティンの手が滑り、挟みこんだドライバーが外れて二つの半球が完全にくっついてしまいました。即座にデーモン・コアから青い光が放たれ、スローティンの体を熱波が貫きました。コアが臨界状態に達して大量の中性子線が放出されたことに気づいたスローティンは、あわてて半球の上半分を叩きのけ連鎖反応をストップさせ他の研究者たちの命を守ろうとしました。彼は文字通り皆の先頭に立って実験を行っていたため、他の研究者たちへの放射線をさえぎる形で大量の放射線をもろに浴びてしまいました。彼はわずか1秒の間に致死量(21シーベルト)の中性子線とガンマ線を浴び、放射線障害のために9日後に死亡しました。  
 スローティンの間近にいた同僚のアルバン・グレイブスも中性子線の直撃を受けましたが、彼はスローティンの肩越しにデーモン・コアを見ていたため、中性子線がいくらかスローティンの体によってさえぎられ、数週間の入院ののちに無事に退院しました。しかし、その吸収線量は少ないとはいえず、慢性の神経障害と視覚障害の後遺症が残り、放射線障害に生涯苦しみぬきました。
 その他の研究者たちは臨界を起こしたデーモン・コアからの距離が十分離れていたため、幸い身体的な影響は出ずに無事であった。

このデーモン・コアから分かるように放射線の歴史は長く、様々な失敗を経験して現在の放射線の技術の発展があるといえます。

放射線技師のバイト

放射線技師のバイトについてです。

放射線技師のバイトの求人はindeedやタウンワークなどで検索すると出てきます。
自分に合った求人に応募して働く感じなので普通のバイトとあまり変わりませんが、経験年数が必要だったり、マンモグラフィー等のために女性を求めている求人もあるので注意が必要です。基本的に都会(東京、大阪、札幌など)では多くの求人が出ており、条件が合えば合格するのかなと思います。
大体時給は1000円~3000円くらいで病院によって変わってきます。

 僕は大学院時代に病院で放射線技師のバイトをしていました。全部で3つの病院でバイトしましたが、それぞれで良い経験が積めたと思います。
 1つ目は病院付属のクリニックで泌尿器や股関節領域、胸腹部の一般撮影とCT撮影、骨密度測定などを行いました。忙しい時間帯もありましたが、休んでいる時間が多かったと思います。股関節領域の有名な先生がいたので、全国各地から患者さんが集まっていました。時給は1200円程度でした。
 2つ目は少し古い内科の病院で主に胸部や腹部、単純造影のCT撮影、ポータブル撮影、透視などを行いました。比較的疲れ切ったご年配の患者さんが多い印象でした。時給は2000円程度で、バイトにもかかわらず賞与まで出していただいてすごくありがたかったです。
 3つ目は整形外科の病院で主にMRI、CT、一般撮影、術中イメージなどを行いました。色んな整形外科領域の撮影を覚えることができました。元気な患者さんが多かったです。時給は2000円程度でした。当直もありました。術中イメージは緊張感があって少し疲れますが、基本的にはすごく忙しい感じではなかったです。

 僕は大学院時代に余裕があったので、バイトをすることができました。研究室によっては忙しくてバイトどころではない所もあると思いますが、臨床経験を積むためにも、放射線技師の資格を持った大学院生はなるべく病院でバイトするべきだと思います。普通のバイトよりも、時給が高いところが多く、適度に休みながらできるのでよいバイトだと思います。当直のみで15000円くらいで、普通に正社員として働いていていて、当直を手伝いに来ている人もいました。ただし、病院によっては副業が禁止になっているところもあるので、注意が必要だと思います。

 放射線技師のバイトは比較的時給が高く、そんなに忙しくはなく、出産後の女性技師さんや大学院生、副業など様々な人がすることができるので、資格のある方は上手く活用していけたらと思います。

放射線防護の原則(内部被ばく)

 医療においては、放射性物質を非密封状態で使用することが多いです。その非密封放射性物質がいずれかの事情により体内に取り込まれ、人体内から組織にエネルギーを与えることを内部被ばくといいます。
 さらに、人工RI核種に限らず、自然放射線による被ばく線量の半分近くを占めているのが、空中に自然に存在しているラドンガスからの内部被ばくによるものです。核種の内部被ばくの危険度は、種々の取り扱い条件により大きく異なりますが、特記事項としては以下のものが挙げられます。
・α各種
・低エネルギーβ核種
・長半減期核種
・臓器集積性核種
などです。
 体内に放射性物質が取り込まれた場合、その物質の物理的半減期Tpと、組織生理機能とその物質の生理的活性に対応した生物的半減期Tbに応じた関数としての有効(実効)半減期Teffで、人体に影響を与え続けます。
1/Teff=1/Tp+1/Tb
この式は診療放射線技師国家試験や放射線取扱主任者試験でもよく出る式となっています。
体内に取り込まれた核種により、特異的な臓器に集積するもの、全身へ分布するもの、核種の違いなどで影響の大きさが異なるので注意が必要です。以下の図に詳細を示します。

 非放射性物質の体内への摂取経路は、経気道・経口・経皮の3経路です。したがって、非密封放射性物質使用施設の管理区域内では、喫煙・食事・飲水は禁じられています。また取り扱い時は必ず手袋をしなければなりません。さらに、不用意な汚染により体内にRIを摂取しないように、液体をこぼしたような場合は、すぐふき取り、こぼした箇所にマークを付け、次に使用する人に不要な汚染拡大をさせないような配慮が必要です。

 内部被ばく低減の3原則は、まずは被ばく3経路の遮断が基本となります。体内に取り込まれなければ内部被ばくは発生しないので、摂取させないことが防護の基本となります。
 取り込み防止のための具体的な注意事項として3D2Cの原則が知られています。以下に示します。

3D
dilute:希釈
可能な限り低濃度で用いる。体内に入った時の危険性を低下させる。

disperse:分散
換気、廃液希釈を行い、低濃度にすることにより、危険性を低下させる。

dicontaminate:除去
汚染除去、RIを取り除くことにより、危険性を低下させる。

2C
contain:閉じ込め
容器への収納、フード内使用により、RIが拡散しないようにする。

concentrate:集中化
線源保管など、管理の分散により線源不明のないようにする。

放射線防護の3原則(外部被ばく)

放射線が利用されるときには防護体系に従って行われます。

 防護の目的に沿って、放射線被ばくを伴う新たな行為とすでに導入している行為を変更する場合に対してどのような放射線防護の方策を講じなければならないか示した体系が、放射線防護体系です。
その具体的方策が(1)行為の正当化、(2)防護の最適化、(3)個人の線量限度の3つになります。

外部被ばく防護の3原則を以下に示します。
①線源から距離をとる。(距離)
 放射線からの吸収線量は、単位断面積にどれだけの放射線エネルギーが入射しているかによります。線源から離れると、単位断面積に入射する放射線量は離れた距離の2乗に反比例して減少します。これを「距離の逆2乗則」と呼びます。
以下の図のように、線源に近づいている場合は、ほんの少し離れるだけで、線量が激減することが分かります。線源より1m以上離れると最初の1/100以下になります。また、ある程度離れるとBG(バックグラウンド)レベルとなり、さらに離れても減少効果にさほどの変化はありません。
 発生源から離れる、トングなどを使用して線源に接近しない、などの防護における「距離」の有用性を理解することはとても重要です。

②線源からの放射線を遮蔽する。(遮蔽)
 線源と人体との間に、放射線吸収体(遮蔽体)を置くことにより、人体の吸収線量は減少します。遮蔽体は、線源からの距離がとれないような場合に活用します。しかし、放射線の線質及び透過能力、遮蔽体の材質や遮蔽能力(質量減弱係数や質量阻止能)により、常に有効な遮蔽効果が期待できるわけではありません。
 光子(X線やγ線)の遮蔽で、特に高エネルギーの光子に対しては、透過能力が強いため、遮蔽体を用いることのメリットとデメリット(防護衣着用の重さ、機能性の低下など)を考慮して遮蔽体使用の適否を判断しなければなりません。
 また、高エネルギーβ線の安易な遮蔽により、かえって透過能力の高い制動X線が発生することにも配慮しなければなりません。
 医療現場ではα線をしようすることはほとんどありません。α線そのものの空気中での飛程は数cm程度ですが、α崩壊によるγ線の放出や、特定核種との(α,n)反応による中性子の発生に注意しなければなりません。α線での制動X線発生はほとんど考慮しなくてよいです。
 10MeVを超える電子線、X線の利用が増加し、それに伴う光核反応(X,n)で発生する中性子の遮蔽への配慮も必要になってきます。

③線源を扱っている時間を短くする。(時間)
 放射線を取り扱う時間に比例して人体の吸収線量は増加しますが、どうしても必要な作業時間が存在し、それ以上短くすることができないです。可能な限り、短時間でも作業を終えることを念頭に置いて、防護に際しては距離効果と遮蔽効果を有効活用することが大切です。

この中で最も効率が良いのは「距離をとる」ことです。

これらの原則にしたがって、放射線の取り扱いをする必要があります。