小線源治療における小線源の種類②

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4)Au-198小線源、I-125小線源、他
 198Au小線源はグレイン(粒状)、シードとして使用され、そのγ線のエネルギーは0.41MeVと比較的低く、半減期は2.695 日と短く、金 (Au)は生体内で化学的に安定であり、永久刺入線源として使用されています。しかし、日本ではその安定供給に間題を残しています。
 125I小線源の形はシードで、そのエネルギーは平均0.0308MeVと低く放射線防護の点では有利です。なお125Iは100%、軌道電子捕獲で壊変します。その半減期は比較的長く、59.40日ですが永久刺入線源として使用されています。なお、永久刺入に用いられます。198Auグレイン、シードおよび125Iシードは222Rn線源と置き換えるために開発されたものです。

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5)β線源
 32P線源は31P(n,γ)反応、および32S(n,p)により得られます。32Pは壊変し、Sに落ちます。その半減期は14.26日です。β線のエネルギー最大工ネルギーは1.711MeVあり、その平均エネルギーは0.695MeVです。
 90Sr線源はウラン(U)の(n,f)反応の核分裂片として得られます。90Srはβ壊変し、90Yに落ちます。その半減期は28.74年です。 β線の最大工ネルギーは 0.546MeV であり.その平均エネルギーは0.196MeVです。90Srは一時装着用のβ線源として使用できます。
 90Y線源は90Srのβで壊変の結果できる娘核であり、一方89Y(n,γ)反応で作られます。その半減期は64.10日です。β線の最大工ネルギーは2.280MeVであり、その平均エネルギーは0.970MeVです。
 188Re線源は187Re(n,γ)反応、および188Wのβ壊変の結果できる娘核です。その半減期は17.00時間です。β線の最大工ネルギーは2.120MeVであり、その平均エネルギーは0.833MeVです。

6)中性子線源
 平均エネルギー2.35MeVの中性子線源として252Cf小線源の臨床使用が試みられましたが、その成績は期待されたほどでなく、その短い半減期、中性子線源の管理などの問題により、現在ではほとんど普及していません252Cfは人工的に作られるRIで、α崩壊と自発核分裂によって2.65年の半減期で減袞し、平均エネルギーが2.35MeVの中性子線と平均エネルギーが0.8MeVのγ線を放出します。組織の吸収線量では、中性子線の方がγ線よりも約2倍大きいです。

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小線源治療における小線源の種類①

小線源治療の種類についてです。

1)イリジウム-192小線源
 192Ir線源は安定な191Irの(n,γ)反応により得られます。192Irの半減期は73.83日で、β壊変192Ptおよび軌道電子捕獲で192Osのいくつかの励起状態に壊変します。192Ir非密封線源から放出される光子の平均エネルギーは約350keVです。192Ir小線源の形はワイヤ、ヘアピン、シングルピン、シードがあり、そのワイヤ等は柔軟であり、一般によく使用されている線源です。192Irのγ線エネルギーは平均350keVと低く、その遮蔽は比較的容易です。しかし、その半減期は73.83日であり、通常3月毎に線源を交換する必要があります。現在、組織内照射用線源および高線量率RALS用線源として、192Ir小線源が使用されています。

2)セシウム-137小線源
 137Cs線源はウラン(U)の(n,f)反応の核分裂片として得られます。137Csの半減期は30.04年で94.4%が137Baの準安定状態(137mBa)に壊変し、残りの5.6%は1.17MeVの粒子を放出してその基底状態になります。137mBaは2.552分の半減期を持ち、その85%が661.7keVのγ線を放出し、残り15%は内部転換を起こします。137Cs小線源は針、管として使用され、その半減期は30.04年であり、その出力の減衰補正を行わなければなりませんが、ほとんど線源を交換する必要がないです。
 小線源は従来の226Ra小線源と同様に使用でき、そのエネルギーは226Raγ線の平均エネルギー0.78Mevよりも低く遮蔽、防護が容易であり、一時刺入用の小線源治療に適しています。137Cs30mCiの線量率は226Ra10mCiのそれにほば等しく、137Csγ線の組織半価層は約9cmであり 226Raの組織半価層は約13cmです。また低線量率RALS用線源として、15~35mCiの線源が使用されています。高線量率RALSには、その比放射能が低く、形が大きくなり好ましくないです。

3)コバルト-60小線源
 60Co線源は安定な59Co(n,γ)反応により得られます。60Coの半減期は5.271年で、100%が0.318MeVのβ粒子を放出して60Niの励起状態になります。励起状態の60Niからは1.1733MeVおよびl.333MeVの2本のγ線を放出して、基底状態になります。60Co小線源はγ線のエネルギーが高く(平均1.25MeV)、その遮藪ので問題があり、また5.271年の半減期のために線源を交換する必要があります。現在.組織内刺入線源としては使用されていません。一方、60Co、2Ci程度の数個の小線源が腔内照射用の高線量率RALS用線源として使用されていましたが、その供給停止等により、その使用を停止しています。

小線源治療

 小線源治療は病巣に限局して高線量を与えることができます。小線源治療法には、組織内照射、表面に装着するモールド照射法である表面照射法と腔内照射が採用されています。

小線源治療に用いる小線源の種類についてです。

 小線源治療には、現在192Ir、137Cs、60Co、198Au、125I 等のγ線源が主に使用されています。 以下に現在使用されている小線源の物理学的特性を示しました。192Ir、137Cs、60Co小線源は一時装着用線源であり、198Au、125I は一般に永久刺入用線源です。 高線量率線源(0.2Gy/mim 12Gy/h以上)として 192Ir、60Coが、低線量率線源(0.4~2Gy/h) として137Cs、198Au、125I が使用されています。 また、103Pd小線源、さらにβ線源である32P、90Sr、90Y、188Re小線源の利用も検討されています。なお、小線源治療に226Ra線源が長年使用されてきましたが、その容器破損による環境汚染の影響を考慮して、医療現場では、226Ra線源は順次他の線源に置き換えられ、現在その使用が制限されています。

 一般に小線源治療用核種に要求される特性は、

(1)放出されるア線のエネルギーが適当であること。すなわち、光電効果による骨の吸収線量が増加しない、および散乱線をなるべく少なくできるように高く、一方、被曝を避け、遮蔽を容易にできるように低いものが望まれます。
 これらの要求を満足するエネルギーは, 0.2~0.4MeVとされています。ただし、現在では,線源近傍のみを有効範囲とする低エネルギーの核種も用いられています。 また、線源容器による遮蔽が容易であるためにはβ線のエネルギーも低いものが望まれます。
(2)半減期が適当であること。一時装着用線源では、治療中における強度の減衰補正が無視できるか、あるいは最小限に止められること。また、半減期が長ければ、線源の耐用期間中の減衰による影響(例えば、治療時間の延長、線源の保管管理など)に対しても有利です。ただし、永久刺入用線源には、半減期が数~数十日と短いものが選ばれます。
(3)荷電粒子を放出しないか,容易に遮蔽できること。
(4)壊変生成物がガス状でないこと。
(5)比放射能が高いこと。
(6)不溶性および非毒性な状態で得られること。
(7)粉状でない、あるいは線源が破損したときに飛散しないような物質であること。
(8)線源形状が管、針、小球、柔軟性のあるワイヤなどに成形できること。ワイヤの場合は、放射能汚染を起こさずに任意の長さに切断できること。
(9)消毒あるいは滅菌処理中に破損する恐れの無いこと。

などです。

定位照射用器具

定位照射用器具についてです。

 定射線照射には種々の専用位置きめ装置、固定具、照射野整形器具が使用され、頭部あるいは体幹部照射のための種々の固定具も開発されています。体幹部定位放射線照射に患者体形に合わせて加工できる吸引式固定具、呼吸抑制用腹部圧迫板等も使用されています。また、定位放射線照射には、種々の専用照射筒あるいはマルチリーフコリメータを用いて、ビーム径、照射野を設定しています。高精度リニアック治療装置による頭部定位手術的照射にはデブスへルメット、専用フレーム、照射筒を用いることがあります。デブスへルメットはヘルメットのいくつかの穴から頭皮までの距離を測定することにより頭部固定の再現性を測定するものです。専用フレームは治療べッドへの頭部固定に使用します。また、定位手術的照射のために種々の内径を持った照射筒が準術されています。

 照射ヘッドおよび操作室の制御器上で、計画されたとおりに各照射バラメータ(照射野、照射方法、照射方向、回転角度、フィルタの有無等)および投与する線量に合わせたりDMU、あるいはタイマ値を確実にセットした後、照射を開始します。このとき、設定ミスおよび誤動作を避ける目的で、コンピュータ機構を用いた自動照合装置、確認装置あるいは照射中の自動制御装置が用いられています。

 近年、放射線治療中にその人体透過X線を画像化する種々の照射野照合装置が開発されつつあります。たとえば、高感度、高解像力のEPID electronic imaging deⅵceとしてLiquid ionization chamber system、Mirror-based video system、Fiber-optic ⅵdeo systems、solid-state systems等があります。これらのうち、Liquid ionization chamber systemsは、256 x 256のマトリックスに配置した液体電離箱を用いる方法であり、他の方法より小型です。しかし、これらの画像の空間分解能にはいまだ限界があります。

照射野確認・照合システム

照射野確認・照合システムについてです。

 高エネルギーX線、γ線で治療するときは、治療が開始される前に治療ビームで患者を透視して確認写真を取得します。この確認写真とX線シミュレータで前もって取得されたX線シミュレーション画像と比較することにより、照射すべさ部位が確実に照射されるかどうかを確認します。これら治療ビームによる確認写真をポートフィルムあるいはポータルグラフィ、照射装置の名前をつけてリニアックグラフィといいます。なお、コパルト遠隔治療装置で取得した確認写真をコパルトグラフィと呼んでいました。以下にリニアックグラフィを示します。確認写真を取得するために、以前には工学用X線フィルムも用いられたこともありますが、現在では鉛箔増感紙を使用したカセッテに人れた医療用X線フィルム(高エネルギーX線、γ線用)等が用いられます。その撮影は、照射野に絞ったビームと絞りを全開したビームで一般にニ重曝射(2回曝射)で行います。この二重曝射により、照射部位(照射野)と周辺臓器の位置確認を行います。現在、確認写真を取得するために数cGy程度の曝射線量でフィルムを黒化しています。通常の分割照射では1日平均2Gyを約30回で照射しますが、ときどきこれら確認写真を取得して、ビームの照射が計画どおりに実施されているかどうかを確認する必要があります。

 高エネルギーX線、γ線で取得された確認写真は約100kVの診断用X線像と異なり軟部組織と骨との濃度差が小さく、一方、肺、空気層の低密度物質と軟部組織、骨とのコントラストは明瞭であり、主にそれらの密度差のみが強調された像です。この原因は、放射線治療域の高エネルギーX線、γ線と物質との相互作用はコンプトン効果が主であり、一方、診断領域のX線では光電効果が重要な相互作用であることによります。また、これら確認写真の分解能は半影効果のためにあまりよくないです。一般に、腕部、頭部の確認写真では、空気層と軟組織の密度すなわち濃度差を利用して、比較的良好な像が得られます。一方、腹部では軟組織と骨組織の差がほとんどなく、その判読が困難である場合があります。

 一方、治療ビームの照射中に、放射線治療計画した結果と比較、確認することを照合といいます。照合のために取得する画像を照合画像または照合写真、線巣写真といいます。なお、現在取得されている確認写真(リ二アックグラフィ)は、ビーム照射(治療)中には取得できず、照合写真とはなり得ていません。すなわち、現在のリニアックグラフィには照合写真としては限界があります。第一は、これら高ネルギーX線写真は、解像力が劣るためにおおまかな輪郭で照射野のずれを判断しなければならないことです。第二は、照射野を確認するために照射野とその周辺を含めて二重曝射を行う必要があり、照射野外の組織に対しても平均1回数Gy程度の被曝が避けられず、照合写真として撮影頻度も制限されることです。第三に、治療中の患者の動きについてはほとんど画像的には確認できないことです。これらの間題点を克服するために、リニアックグラフィなどの高エネルギー写真を画像処理することによて、解像力を向上させる試みが研究されています。

 

照準器具

照準器具についてです。

 精度の高い放射線治療を行うためには、その位置精度に十分な注意を払う心要があります。その位置糖度としては土3mm以内が目標とされています。 一方、定位放射線照射の場合は土2mm以内が要求されます。そのために、種々の照準器具を使用します。治療位置、照射野、照射方向、線源(またはX線焦点)からの距離等の照準には光学的な方法と機械的な方法がありますが、治療装置の大型化に伴い、光学系を利用した方法が多く採用されています。なお、放射線治療技術としての位置精度は土3mm以内が目標ではありますが、現実には患者体幹部の動きの大さい部位では土10mmの誤差を生じることもあります。

 放射線照射時の患者の治療位置きめは、まず、照射室側方の壁および天井に取り付けられた3ヶ所以上のレーザ投光器からのレーザ光線を、放射線治療計画時につけられた患者皮膚面上のマーキングに合わせることにより当射部位の座標きめをします。これらのレーザ光線は線状に投光され、患者の身体のねじれ等も確認できます。次に、治療装置のヘッドからの照射野を用いて、患者皮膚面上の照射範囲に合わせます。以下に光学的機構による照準のイメージを示します。光照射野の十字投光器をロカライザといいます。

 現在、高精度集中照射のための四次元放射線冶療4D-RTとしての画像誘導放射線治療IGRTが導入されつつあり、その画像話導照準システムとしての2方向以止のX線透視装置、CT装置、超音波装置等が導入されています。

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患者固定具

患者の固定具についてです。

 放射線治療時の患者の位置きめpositioningは、治療寝台上で安定性のよい背臥位で行うのが一般的です。しかし、場合によっては、腹臥位、側臥位等をとらせることがあります。いずれにしても、患者の苦痛を避け、数分間のビーム照射中の安定性および再現性のある体位で しなければならず、治療体位の固定には十分注意を払う心要があります。患者固定のために種々の固定具を使用します。放射線治療は長期にわたり固定具の作成は治療精度に大きく影響するため、重要となってきます。
 
 たとえば、頭部固定具として、頭部専用固定具(シェル)、適当な忱(モールドケア)、あるいはウレタン樹脂等を用いて、後頭部を安定させ、さらに必要に応じて下顎部をベルト、マジックバンド等で固定し、さらに体表面を覆う合成樹性のシェルを用いて個々の患者ごとに固定具を作成して、固定を確実にします。シェルは高温に温めておき、少し冷やして顔の上に置き、顔の形に合わせて固めていきます。この時ドライヤーや冷やしたタオルなどを用います。口の部分は切り抜くことが多いですが、施設によって異なります。また、口腔内の舌の位置を固定し、他の部位との距離をとるためにマウスピースを用いることもあります。
 
 また体幹部の固定の場合には、体幹部専用固定具、ベルト、マジックバンド、シェル以外にもウレタン樹等で患者毎の固定具を作成して、固定を確実にする場合もあります。ただし、ビルドアップ効果を考慮しなければならない場合には照射野に相当する部分のシェル、ウレタン樹脂等に穴をあける配慮をしなければなりません。また、後方からの散乱線等をできる限り減少させるために、ビームが通過する部位がマイラー板あるいは網状になった治療寝台もあります。体幹部の場合は患者の寝やすい体制で空気を抜いて固めて作る場合が多いです。

治療中の患者の動き等を操作室で監視するために、TVモニタが利用されています。

以下に頭頚部と体幹部の固定具を示します。

線量分布修正器具

線量分布修正器具についてです。

 患者体内線量分布の歪みを補償するために、放射線の吸収体であるポーラス、補償フィルタ、およびくさびフィルタ(ウェッジフィルタともいう)を用います。これらのうち、ポーラスは患者皮膚面に密着させて使用し、補償フィルタおよびくさびフィルタは、遮蔽プロックと同じように、それらからの散乱線の寄与が少なくなるように照射ヘッドに取り付けます。しかし、最近のリニアック治療装置にはMLCが装着されており、患者体内線量分布を修正するためにX線ビーム照射中にMLCを動かすことにより任意線量分布の作成が可能であり、今後、照射補助器具としての補償フィルタは使わなくなります。MLCで作成したくさびフィルタをダイナミックウェッジといいます。

 ボーラスおよび補償フィルタは、照射部位のビーム入射面が平坦でない場合(たとえば、斜入射時)に、患者体内の等線量曲線を修正、補正して至適線量分布を得るために使用します。ボーラスは皮膚面に置き、照射表面の凸凹を平坦にするために使用されます。ボーラスは組織等価材料で作成され、一般に高エネルギー電子線を用いて皮膚表面を含めて治療する場合に使用されます。一方、高エネルギーX線治療時にポーラスを皮膚面に用いると、その深部量曲線のビルドアップ効果がなくなり、患者皮膚線量が増加して皮膚反応が強くなるためにポーラスはあまり使用されません。しかし高エネルギーX線照射で表面を最大線量にするために、電子平衡厚さのポーラスを使用する場合もあります。一方、補償フィルタは、高エネルギーX線照射時の等線量曲線のみを修正して、皮膚のビルドアップ効果を必要とする場合に照射ヘッドに装備して使用していました。補復フィルタは照射ヘッドに装備されるために、小型にできる高密度物買で作成される場合が多いですがグラファイト等も使用されました。しかし、MLCの利用により補償フィルタは使用しなくなっています。

 以下にくさびフィルタを示します。くさびフィルタは、高エネルギーX線、γ線の線量分布を連続的に変化、傾斜させ、標的内の線量分布を均等にするために用いられ、くさび (楔)形をした補償フィルタです。くさびフィルタは照射ヘッドに装備して使用します。くさびフィルタは、一般に高原子番号物質(鉛、銅等)で作成されます。くさびフィルタは上顎癌に対する直交2門照射や頸部食道癌に対する対向2門照射等の偏在性腫瘍の治療時等に使用されます。くさびフィルタの角度(くさび角度 wedge angle)は水中10cm深部における等線量曲線がビーム中心軸と交差する角度で規定され、30°、45°、60°等のくさびフィルタがよく使用されます。くさびフィルタを使用すると、その出力が減少し、その減少の割合をくさび係数と定義しています。くさびフィルタは、一般に体中心よりも偏在性の病巣の照射に用いられる場合が多いです。くさびフィルタは、照射する線量の損失を最小限にするために、一般にくさびフィルタの薄い端を線束の端に一致させて使用します。なお、MLCをビーム照射中に動かすことにより、ダイナミックウェッジとして使用することも可能となっています。

 なお, 電子線治療では、照射筒、電子線専用絞りを使用するためにポーラスを使用することはありますが、補償フィルタ、くさびフィルタは使用しません。

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照射関連補助道具

照射関連補助器具についてです。

 外部放射線照射では、種々の照射関連の補助器具を使用します。 照射関連補助器具には、照射野を整形する器具、照射野内の線量分布を修正する器具、患者を固定するための器具、治療ビームを照準する器具、照合する器具、および定位放射線照射用器具などがあります。
これら種々の照射関連補助器具の使用位置と使用現状を示す.

まずは照射野整形器具についてです。

 現在、リニアック治療装置からの高エネルギーX線の照射野は、照射ヘッドに内装された縦と横の矩形のプロック状の可変多段絞り装置および照射ロのマルチリーフコリメータMLCによって、ほぼ任意形状の照射野に整形されます。MLC導入以前では、絞り装置では矩形照射野しか設定できず、照射口にその都度取り付けたシャドウトレイ上に定型的な遮藪金属プロックあるいは症例ごとに個別化された低融点鉛(融点70℃)プロック(シャドウブロックともいう)を置いて不必要なビーム部分を遮蔽することにより不整形照射野を作成していました。現在では、肺形状の遮蔽金属プロックを作成してHodgkin病の治療に用いるマントル照射野の作成、子宮癌の外部照射時の中央遮蔽照射野の作成に使用する程度です。

 遮蔽金属ブロックとして、普通は高原子番号物質である鉛、劣化ウラン合金あるいは鉛合金が用いられます。遮蔽金属ブロックの材質と厚みは放射線の種類とエネルギーによってきめられるものであり、通常は、その透過線量を約5%以下に減弱させるものを使用します。たとえば60Coγ線に対しては鉛厚さ5~7cm、6~10MvのX線に対しては鉛厚さ7~10cmのものを用います。鉛の60Coγ線の半価層は1.25cmであり、コバルト遠隔治療装置の遮蔽金属ブロックとしてよく用いられる5cm厚さ0の鉛ブロックは、4半価層に相当し、線束を(1/2)4= 6.25%に減弱します。

 高エネルギー電子線治療には、最適な照射野を示す矩形あるいは円形の照射筒あるいは電子線専用絞りを選択して、それらを照射ヘッドに装着することにより治療します。以下に電子線用の照射筒および電子線専用絞りを示す。高エネルギー電子線は散乱されやすく、照射部位から離れた位置で照射野を整形することが困難であり、それらの照射には照射筒あるいは電子線専用絞りを使用します。これら照射筒、電子線専用絞りの先端は、側方への散乱線による照射野外への漏洩を避けるために、一般に患者皮膚にできる限り近づけます。術中照射やロ腔内電子線照射時には、照射筒内を観察、確認するために照射筒に側視鏡を使用します。一方、定位放射線照射の細いX線束は専用照射筒を使用して形成し、専用照射筒は患者皮膚面から離して使用します。

 高エネルギー電子線の物質透過力は小さく、電子線の飛程以上の厚さの遮蔽用鉛板(10MeV電子線で約5mm)を使って鋏で簡単に任意形状の照射野を整形することができます。

原子炉

原子炉についてです。

 235Uに遅い熱中性子が獲されると核分裂を起こし、核分裂片、数個の即発中性子と遅発中性子、および核分裂当たり約200MeVのエネルギーを生じます。このとき、発生した中性子は平均約2MeVのエネルギーをもち、そのままでは60Uに捕獲されず、グラファイト、水、 重水、ペリリウムなどの低い原子番号物質の減速材で、その速度を落として熱中性子に変えます。適当な量の減速材と235Uを配置すると核分裂の連鎖反応が起こります。原子炉はこの連鎖反応が継続し、しかも暴走しないように制御したものです。この平衡状態を臨界といいます。すなわち、この臨界より小さいと連鎖反応は起こらないし、大きすぎると暴走してしまいます。原子炉では、発生した中性子を吸収させるカドミウム、ホウ素等の制御棒で、その反応を制御します。また、反射材で炉心を囲み中性子が炉外に逃げないようにします。

 炉心融解(メルトダウン)は、原子炉中の燃料集合体が(炉心を構成する制御棒やステンレススチール製の支持構造物等をも含めて)核燃料の過熱により融解すること。または燃料被覆管の破損などによる炉心損傷で生じた燃料の破片が過熱により融解することです。詳しい図は以下に示します。

 原子炉は1942年フェルミらによる核分裂連鎖反応の成功により開発され、1946年以後、医学用アイソトープの生産のために使用されだしました。また、癌の治療用として、現在、原子炉を用いた熱中性子捕獲療法が検討され、研究が続けられています。熱中性子捕獲療法とは、熱中性子に対して特に高い、捕獲反応断面積をもつ10B化合物を腫瘍に取り込ませ、原子炉からの熱中性子線を照射して、腫瘍内で10B(n,α)7Li反応を起こし、α線で治療しようとする療法です。京都大学、南東北病院で行われています。
以下に福島県郡山市にあるBNCT研究センターを示します。