子宮頸癌

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子宮頸癌についてです。

 子宮癌の約8割を占めます。発癌にヒトパピローマウイルス(HPV)が関与します。ほとんどが扁平上皮癌でわずかに腺癌もあります。子宮体癌は逆にほとんどが腺癌です。子宮癌の検診は20歳以上を対象に2年に1回行われています。
 手術と放射線治療は同程度の有効性を示し、国際的には放射線治療が標準ですが、日本ではⅠ~Ⅱ期では手術が優先されます。腔内照を含む根治的放射線治療の対象は高齢あるいは手術不能者のⅠ~Ⅱ期およびⅢ期癌となります。手術例でも予後不良因子がある場合には術後予防照射を行います。外部照射と腔内照射を組み合わせて行います。ステージが上がると全骨盤照射の総線量を上げ、腔内照射の線量を下げます。外部照射は骨盤腔リンパ節に、腔内照射は原発巣に照射します。外部照射は全骨盤領域に通常6~15MVX線で対向2門照射が行われ、腔内照射を併用する場合には、直腸障害を予防するために中央遮蔽を行います。
 放射線単独療法での予後は5年生存率でⅠ期90%、Ⅱ期70%、Ⅲ期40%、Ⅳ期15%程度であり、手術と変わりません。
 晩期有害事象として、直腸障害、膀胱障害などに注意が必要となります。

子宮頸がんに関連して、腔内照射の線源配置法であるマンチェスター法についてです。

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 マンチェスター法には組織内照射(組織内刺入)法、モールド照射(表面照射)法、子宮腔内照射法などがあります。子宮頸がんの腔内照射では子宮腔内へ挿入するタンデム線源と両外側膣円蓋に挿入するオボイド線源を用います。子宮頸癌の配置法はマンチェスター法が一般的です。下図のようにオボイド線源はタンデム線源をはさんで、できるだけ対象とし、線源間の距離をできるだけ大きくします。直腸、膀胱の線量を減らすために、ガーゼによるパッキングを十分に行います。マンチェスター法ではA点B点が線量計算の基準であり、A点線量は原発巣の治癒線量と直腸膀胱の障害線量であり、B点線量は骨盤浸潤やリンパ節転移に対する線量の指標となります。左右のA点線量のうち、少ないほうの線量を用います。また、A点は外子宮口より2cm頭方の高さを通る垂線上の2cm外側の点を表し、B点は外子宮口より2cm上方の点を通る水平面上でA点と同じ高さで正中線から5cm外側で骨盤腔内の点を表します。
 子宮頸癌の腔内照射は外部照射と併用されることが多いです。
 このA点B点の意味や位置関係は国家試験や医学物理士の試験でよく出るので、受験される方はしっかり覚えておいたほうがいいと思います。

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粒子線治療普及について②

前の記事に続いて粒子線治療普及についてです。

技術革新の視点からです。

・技術革新の視点
 建設期間の短縮や調整試験の合理化、運転コストの削減などが必要です。そして、群馬大学では現在治療が困難な難治がんを克服するため、重イオンマイクロサージェリー(がんなどの局所性疾患の微少病変部位を超高精度で切らずに治療する放射線治療技術)やコンプトンカメラ(コンプトン散乱を用いてガンマ線を測定できる次世代の放射線測定器)の研究開発など、現行の治療技術の更なる高度化を進めている。また、重粒子線治療と薬剤、X線、温熱及び免疫療法などを組み合わせることにより、新たな治療技術の確立に向けた取り組みを進めています。装置の小型化や低コスト化はもちろんのこと、病巣部のみを狙い打つ照射精度のさらなる向上や、病巣部の動きや体型の変化に対する堅牢性の確保、さらにはそれらの成果としての治療可能ながんの種類の拡大や、粒子線だからこそ可能な難治がんの治療法の確立などが求められる。また、粒子線治療を必要とするすべての患者に対して適切に治療を提供できる体制を整備していくことも必要です。
 装置の小型化という点では、相澤病院で回転ガントリ照射装置とサイクロトロンを上下に配置しています。これにより従来よりも施設の大幅な省スペース化を実現し、都市部など敷地面積に制限のある場所にも設置が可能となり、今後の陽子線がん治療設備のモデルになることが期待されます。
 また陽子線治療では散乱体法とスポットスキャニング法があります。
 散乱体法ではワブラー電磁石の力を用いてビームを広げ、さらに重金属からなる散乱体を通過させることにより均一に広げます。さらにレンジシフター、コリメーターといった様々な器具を用いることによって病変の形状や大きさ、体の表面からの深さに合わせてビームの成形を行う方法です。
 一方で、スポットスキャニング法は腫瘍を照射する陽子ビームを細いまま移動させて次々とピンポイントに照射していく技術です。複雑な形状をした腫瘍でも、その形状に合わせて高い精度で陽子ビームを照射できるため、正常部位への影響を最小限に抑えることが可能です。この方法は、ビームの生成過程で失われるエネルギーが少なく、ビームの利用効率が良いという特長があります。またスポットスキャニング法
では、治療の際に使用する器具が必要ないため、放射線廃棄物の低減になり、散乱体法で懸念されている二次発がんの減少が期待されます。今後、陽子線治療の主流になると言われています。

最後は人材育成の視点からです。
・人材育成の視点
 粒子線治療の普及に伴い,その治療の質や安全を維持しながら,さらに進化を続けていくためには,粒子線治療に携わる人材の育成が重要な課題です。その努力の一環として,平成19年度から5か年計画で,文部科学省による「粒子線がん治療に係る人材育成プログラム」が実施され,放射線腫瘍医,医学物理士,診療放射線技師などの人材育成カリキュラムの策定,0JT(On the job Training)研修などが行われました。また、その後継事業として,医用原子力技術研究振興財団による人材育成セミナーや国際重粒子線がん治療研修コースなどが行われています。また,粒子線治療に関する研究教育機関としての取り組みも重要です。
 文部科学省は,平成19年度から「がんプロフェッショナル養成プラン」において,粒子線治療などの集学的がん治療法の確立・普及を目指すプログラムを開始し,放射線腫瘍専門医コース,医学物理士の養成コース,重粒子線治療推進研修コースを大学院に設け,放射線腫瘍医育成や医学物理士,治療品質管理士の育成を行っています。平成24年度から開始された「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」では,群馬大学,筑波大学を中心大学とする大学群において,特に,重粒子線,陽子線など,国際的に活躍できる高度で複雑な放射線治療を担う医療者の育成を行っています。さらに,日本学術振興会・文部科学省が推進する事業の一つとして,平成23年度より群馬大学では「重粒子線医工学グローバルリーダー養成プログラム」が開始されました。これは,粒子線医工学の発展のために必要とされる医学物理士や放射線医学・生物学研究者,放射線治療学研究者の世界的リーダーを養成することを目的としており,国内外の主要研究教育機関や粒子線治療技術開発企業との連携の上,群馬大学に博士課程リーディングプログラム重粒子線医工連携コース(L-PhDコース)が創設され,平成24年度から学生の受け入れを開始しました。このプログラムでは将来の粒子線治療の発展に貢献する人材の育成が期待されています。
 このように粒子線治療は高度な知識や技術が必要となる上に、我が国は欧米と比較し、放射線腫瘍医、医学物理士、診療放射線技師など、放射線治療に携わる医療人材が相対的に不足しています。したがって、しっかりとした人材育成のシステムが必要となると考えられます。

粒子線治療普及について①

日本では15か所ほどの施設で粒子線治療が行われています。
色んな視点から粒子線普及に必要だと感じるものを書いていきます。

まずは患者と医師の視点からです。

・患者の視点
 小児がんと前立腺癌に対する陽子線治療と、手術非適応の骨軟部がんなどに対する重粒子線治療は保険適応となっています。しかし、その他の粒子線治療は現在、先進医療の枠組みの中で行われています。そのため、患者は粒子線治療だけで約300万円を自己負担する必要があります。この治療費は、先進医療の対象となっている技術の中でトップ3に入る高額です。したがって、所得の高い低いにより治療を受けられる人、あきらめる人が生まれ、医療の格差が広がる恐れは極めて大きくなっています。
 今後、患者の経済的な負担が軽減するためには、粒子線治療が保険診療として認められる必要があります。保険診療として認められるには、他の治療方法と比較した上での有効性が示される必要があります。また、小児がんの治療では子どもが無理なくじっとしていられるように、天井にプロジェクターを投影させ、アニメ等を観せる等の工夫をする必要がああります。

次は医師の視点です。

・医師の視点
 今日癌治療において放射線治療は、治療装置や治療技術の急速な進歩、Evidence-based Medicineに基づく化学放射線治療の普及を背景に、急速にその適応を拡大しています。しかし、日本では、放射線治療医の不足や、がん医療における放射線治療の役割に対する医師ならびに国民の理解が不十分であること、そのために適切ながん治療が十分行われていないなど、依然として放射線治療の普及は不十分であるといえます。今後もさらに放射線治療を受ける患者は増えていくことが予想されるにもかかわらず、放射線腫瘍医は専門医の数が極端に少なく、放射線腫瘍医の不足は重要な問題であり、早急な対策が必要です。政府に対して、JASTROを中心に放射線治療の環境整備の改善を根強く要望するなど、政策的な活動を強力に推進し、現実の放射線治療医のリクルートに当たっては大学放射線治療部門が放射線治療施設問の協力体制を構築強化するなど、より一層組織的な取り組みが必要であると考えられます。

次は国の視点です。

・国の視点
 粒子線施設(特に重粒子線)の装置や稼動施設の建設には莫大な費用を要します。また建設費や運営費は、国や自治体が税金で負担しています。したがって、国民や都道府県民が理解し、施設建設に賛成しているか議論する必要があります。また、がんは1981年に日本人の死因の1位となってからも年々増え続け、がんの罹患率と死亡率を激減させるためには、革新的ながんの治療法の開発が必須です。
 放医研において開発された炭素線によるがん治療は、肝臓、肺、頭頚部のがんのみならず他の放射線が効きにくいとされる骨・軟部腫瘍等にも効果を発揮しており、また、治療期間を大幅に短縮することが可能となるなど、高いQOL(生活の質)を確保しうる治療法の一つとして認められつつあります。本治療法がより高度化され、全国に普及するためには、適応疾患拡大やより効果的な照射法の確立に向けたさらなる研究開発と普及に向けての研究成果の提供、人材育成等に係る国の関与が必要であるといえます。

小児がん(髄芽腫と神経芽腫)

小児がんの腎芽腫と神経芽腫について説明していきます。

まずは腎芽腫についてです。

 主に小児の腎に発生します。日本人では少ないです。
 治療では手術後にAMD、VCRおよびADRなどの化学療法がなされます。予後良好組織型のⅠ~Ⅱ期では放射線治療は行いません。それ以外では腫瘍床や転移巣に照射を行います。予後良好組織型のstageⅢでは総線量10.8Gy、それ以外は年齢に応じて照射線量を決めます。将来の脊椎側弯を予防するために椎体は完全に照射野に含めます。残存腎は遮蔽するか、播種例の全腹照射でも15Gyを超えないよう、また肝は全肝は20Gyを超えないよう注意が必要です。肺・肝転移についても化学療法併用で照射を行います。肺転移は原則的に両全肺照射12Gy+局所追加照射、18か月以下の乳幼児に対しては化学療法を行い、放射線療法は控えます。多発肝転移あるいはびまん性肝転移の場合全肝18Gy照射します。

次は神経芽腫についてです。

 他の小児悪性腫瘍と同様、手術、化学療法、放射線療法による集学的治療が行われます。Ⅰ・Ⅱ期で完全摘出例では放射線治療は不要です。1歳以上のⅢ・Ⅳ期では化学療法で腫瘍の縮小を図ってから、手術を行い、術後照射を追加します。1歳以下では自然退縮もあるので、放射線治療は行われない傾向です。術後放射線療法はstageⅠとstageⅡのリンパ節転移がなく全摘されたものには行われません。しかし、N-myc癌遺伝子の増幅が認められたり、リンパ節転移のあるstageⅡ以上の進行期には必要となります。stageⅢとstageⅣでは全身照射を含む自家骨髄移植など強力な集学的治療が必要となります。腫瘍線量は年齢に応じて決定されます。照射野は腫瘍床に対しては腎芽腫と同様な照射野です。stageⅢとstageⅣでは腫瘍床とリンパ節転移を十分に含めるようにします。転移については化学療法に併せて10~20Gy照射し転移が完全寛解と判断された時点で原発巣の根治治療を行い、その後全身照射を併用した自家骨髄移植療法を施行します。放射線単独治療では局所照射30~40Gyを行います。術中照射はミクロ残存腫瘍に対して6MeV電子線10~12Gy、大きい場合には15Gy以上が必要です。

前回の記事にもあるように小児の放射線治療の場合は成人と異なり、発達障害や二次発がんにより考慮しつつ計画していくことが非常に重要になってきます。

小児がんと誘発二次発がん

小児がんについて書こうと思います。

 生まれたときから15歳まで(一般的に小児期)に見られる悪性腫瘍の総称は、小児がんと呼ばれています。日本では年間約2500人が小児がんと診断されている。現在、小児がんは、手術治療、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植などを組み合わせて治療されます。
 小児がんは発見が難しく、がんの増殖も速いですが、成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高いのも特徴でです。小児がんは以前『不治の病』とされてきましたが、1950年代にはそれまでの手術療法に加えて放射線治療が、1960年代には化学療法(抗がん剤)が治療に効果があることがわかり、その後、多剤併用や増血幹細胞移植が適用されるようになって、総合的に治癒率が向上し、現在では70~80%が治るようになってきました。しかし、成長途中であるので、晩期有害事象には注意が必要です。また、数が少なく種類が多いため、症例の多い病院での治療が必要です。
 小児がんにおいて最も多いのが白血病(40%)、次に多いのが脳腫瘍(20%)である。そして、神経芽腫、悪性リンパ腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)などもあります。脳腫瘍においては神経膠腫(グリオーマ)、胚細胞腫瘍、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫などが見られます。
 小児の放射線治療では発達障害を防止するため、椎体に均等に照射する方法が利用されています。

次は二次発がんについてです。

 二次発がんとは抗がん剤や放射線治療において別の癌が二次的に発生することです。二次がん発症率は軟部肉腫で約26%、白血病で約16%、大腸がんで約12%となっています。他に皮膚がん、膀胱がん、食道がん、肺がん、骨肉腫などのがんが挙げられます。
 二次発がんの発生頻度としては、放射線治療を受けた患者の内100人に1人程度といわれており、特に小児がんの経験者に多いといわれています。子どもはがんを克服した後、何十年も生きることになるため、その分晩期障害が現れる可能性が高くなるからです。例えば小児がんで放射線療法を受けた場合、肉腫や皮膚がんのほか、首に照射を受けた人では甲状腺がん、また胸部に照射を受けた女児であれば将来的に乳がんを発症するリスクも高まります。したがって、小児がんを克服した人は、なるべくがんにかかりにくい生活を送ることが何よりも大切となります。例えば、喫煙や過度の飲酒、また皮膚がんの原因となる長時間の日焼けなどを避け、バランスのいい食事と適度な運動を心がけることが、二次発がんの予防につながるといわれています。
 癌治療を終えても油断しないことが大切だと思います。あと医療従事者は治療の際に、可能な限り二次発がんを抑えることが大切だと思います。

放射線計測

放射線計測について書いていきます。

 放射線防護の目的において使用されている放射線測定器(サーベイメータなど)は初回の校正時(購入時)後は、使用者の求めに応じて、計量法に基づく事業所などにおいて校正(国家標準につながるトレーサビリティ体系)を行います。しかしながら、校正にかかる費用、日数などの関係で長期間校正されずに使用されている現状があるとして、これらの測定機による測定の信頼性を確保するため、JIS Z 4511が平成17年3月20日に改正され、新たに「確認校正」が追加されました。確認校正とは、放射線測定器の性能が校正後も維持され、校正定数が継続して使用できるか否かを判定するための校正法です。

次に主な計測器についてです。

まずは電離箱式サーベイメータについてです。

 電離箱内にγ線が入射すると、内部の空気が陽イオンと陰イオンに電離されます。これらのイオンが電極に移動すると10-9~10-14A程度の微電流が発生します。微電流を直流増幅して測定します。

次はシンチレーション式サーベイメータについてです。

 シンチレータにγ線が入射すると蛍光を発します。蛍光が光電子増倍管の光電陰極に当たると光電子が飛び出し、これが多数の大ノード(二次電子増倍電極)で増幅されて、大きな電気信号が得られます。このパルス電流を計数して放射線を計測します。

GM計数管式サーベイメータについてです。
 GM計数管にβ線が入射すると、内部のガスを電離させます(ガンマ線が入射すると、壁材と作用して内部に電子を放出させ、電子は内部のガスに電離を引き起こします)。電離によって生じたイオンがきっかけとなって管内に「電子なだれ」が生じ、電離が陽曲全体に広がって大きな増幅率をもつため、大きな波高のパルスが得られます。計数(線量当量率)が高くなると「数え落とし」や「窒息現象」を起こすので、注意が必要となります。

液体シンチレーションカウンタの概要についてです。

 低エネルギーβ線放出核種やα線放出核種は、その「飛程」が短いので液体シンチレーション測定法が適しています。その特徴は、試料自体の自己吸収がない、空気層や検出器窓による吸収がない、シンチレータで包囲されているので4π測定が可能などです。一方で試料、添加物、不純物などによるクエンチングを生じ計数効率が悪くなる、調製によってはケミカルルミネッセンスが生じ測定の障害が出るなどの短所もあります。
 これらの特徴を踏まえたうえで、トレーサ実験、環境中の3H測定、14Cを用いた年代測定、環境中(水中)のラドン濃度測定など多くの分野に利用されています。
 一般的に汎用性の高いシンチレータとして乳化シンチレータが使用されています。特徴として溶媒に界面活性剤が添加され、水溶性のサンプルを溶媒中に保持することができます。また、水溶性サンプル及び非水溶性サンプルどちらでも測定可能です。

 液体シンチレーションカウンタの測定原理についてです。
 シンチレータの主成分は有機溶媒であり、シンチレータの効率決定の重要な役割を果たします。効率の良い溶媒には

① エネルギー伝達効率が高い
② 溶質及びサンプルが溶解しやすい
③ 溶質の発光光子に対して化学的に透明
などの性質が求められます。
ベンゼンやトルエン、キシレンなどが用いられています。

 また、溶質として放射線のエネルギーを光に変える蛍光体があります。第1蛍光体は放射線のエネルギーを効率よく光に変え、第2蛍光体は光電子増倍管(PMT)の際好感度に変換する役目を持ちます。これらの溶質には

① 蛍光量子効率が高い
② 蛍光の減衰時間が短い
③ 溶解度が高い
などの性質が求められます。
 第1溶質にはTPやPPO、ナフタレンなどが用いられ、第2溶質にはPOPOPやbis-MSBなどが用いられます。そして放射線励起による液体シンチレーションの発光過程は、放射線エネルギー吸収による溶媒分子の励起、溶媒分子間のエネルギーの移行、励起分子から溶質分子へのエネルギーの移行、溶質分子からの発光によります。液体シンチレータに求められる性質として

① 高引火点
② 高含水率
③ 高計数効率
④ 低蒸気圧
⑤ 低毒性と低刺激性
⑥ クエンチング抑制力
⑦ プラスチックの無透過性
⑧ ケミカルルミネッセンス抑制力
などが挙げられます。

上顎癌と喉頭癌

まずは上顎癌についてです。

 上顎癌はOhngren’s line(内眼角と下顎角を結ぶ線)より上方の病変は眼窩、頭蓋底、側頭下窩、咬筋などの浸潤に伴って発症し、T4症例となって発見されることが多く手術も困難で残存が多いです。Ohngren’s lineより下方への病変は歯槽、口蓋への浸潤に伴い発見されることが多く、T2症例が多く、十分な切除が可能です。リンパ流はさほど豊富ではなく、リンパ節転移例は初診時で10%程度であり、局所制御が重要です。手術・5-FU(抗癌剤)動注・放射線治療の3者併用療法が基本となります。
 放射線の照射方法は患側横方向と前方一門の2門直交照射で楔型フィルターを使用するのが基本です。患側眼球が病変の浸潤によって遮蔽できない場合は、反対側の眼球の保護に留意し、涙腺も可能な限り遮蔽する必要があります。
 5年生存率は全体で30~50%、T1・T2は60%程度であるのに対しT4では20%程度となります。
 
 咽頭・喉頭構造図が放射線技師国家試験や医学物理士試験の医学の問題などによく出ているので、受験する方はそれぞれ上・中・下咽頭には何があるのかをしっかり覚えておいたほうがいいと思います。

次は喉頭癌についてです。

 喉頭癌はつんくさんも苦しんだ病気としても知られています。
 喉頭癌には部位によって声門癌、声門上部癌、声門下部癌があり、それぞれ治療方針が異なります。声門癌は60~70%、声門上部癌は30~40%で声門下部癌は少ないです。声門癌は嗄声により早期に発見されることが多く、リンパ節転移も少ないため(0~20%程度)、限局した照射野による放射線治療で根治可能です。声門上部癌は発見時に進行してることが多く、リンパ節転移も多い(40~70%)ため、広い照射野が用いられます。
治療についてです。
 声門癌はT1T2では放射線治療が第一選択となります。4MVX線を用い、ウェッジフィルタを使用してT1で66Gy、T2で70Gy照射される。T3で軌道が確保された状態では照射の後再発時に手術を行います。T3で軌道閉塞時やT4では手術が選ばれます。また進行例で、リンパ節転移陽性例では喉頭摘出後に頸部リンパ節郭清を行います。陰性例では喉頭摘出のみ行い、術後照射時にリンパ節を含めた頸部郭清を行います。照射前化学療法の併用で喉頭全摘と同等の効果が得られます。
 声門上癌でT1T2でリンパ節陰性例でも頸部リンパ節を含む照射野とします。進行例では喉頭全摘+頸部郭清か、原発巣については放射線治療を先行させ、効果が悪い例では喉頭全摘を行います。

治療成績です。
 声門癌の放射線治療による5年生存率はI期で85~90%、Ⅱ期で70~75%、Ⅲ期で40~60%程度です。
 声門上部癌の放射線治療による5年生存率はI期で60~80%、Ⅱ、Ⅲ期で40~60%程度です。

喉頭について以下に示します。

放射線防護体系

放射線が利用されるときには防護体系に従って行われます。

 防護の目的に沿って、放射線被ばくを伴う新たな行為とすでに導入している行為を変更する場合に対してどのような放射線防護の方策を講じなければならないか示した体系が、放射線防護体系です。
その具体的方策が(1)行為の正当化、(2)防護の最適化、(3)個人の線量限度です。

(1)行為の正当化
 放射線被ばくを伴う行為は正味の便益があることが確実な場合以外に導入してはならないです。行為の導入で最初に行うのが「行為の正当化」です。例えば放射線治療の場合、放射線治療の利益(癌の治癒)が有益な影響(被ばく)を上回るのが確実でなくてはならないというものです。また、放射線診断(一般撮影やCT、核医学検査など)の場合、放射線診断の利益(病気の診断)が有益な影響(被ばく)を上回るのが確実でなくてはならないというものです。

(2)防護の最適化
 行為の正当化で導入が決まった後に図られる方策です。すなわち、線源からの被ばくによる放射線影響をできる限り少なくするために、被ばく線量、被ばくする人数、被ばくの機会を社会的・経済的要因を考慮して合理的(ALARAと呼びます)に達成できるように低くすることです。ただし、ALARAはできるだけ被ばく線量は低く抑えようと努力する一方で、低い被ばく線量をさらに最小化しようという努力が、その効果に対して不釣り合いに大きな費用や制約、犠牲を伴う場合には、よしとしないという意味を持ちます。

(3)個人の線量限度
 個人の線量限度とは、作業者の場合は作業環境中に、一般公衆の場合は一般環境中にあるすべての行為又は放射線から、個人が受ける線量の上限値のことです。

自然放射線についてです。

 皆さんは自然界(土壌、水中、空気中など)に存在する放射性物質からの放射線や、2次放射線を絶えず受けるとともに、体内の放射性物質による体内被ばくを受けています。UNSCEAR1988年報告によると、通常のバックグラウンド地域での自然放射線源による実効線量への寄与は東京で0.65mSvといわれています。
 自然放射線による被ばくは、地殻中に存在する放射性物質の量、高度差等によりかなりの差があります。屋外における年間の体外被ばくは東京で0.65mSv、大阪で0.95mSvです。イランのラムサーでは400mSv、ブラジルのボソス・デ・カルダスで250mSvに達する地域もあります。1人当たりの自然放射線は日本平均で1.48mSv、世界平均で2.4mSvといわれています。

咽頭癌

咽頭癌は部位によって上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌に分かれます。

上咽頭癌についてです。

 上咽頭癌では初診時に70%の割合で頸部リンパ節転移が見られます。上頸部後方のリンパ節が見られるのが特徴です。上咽頭癌は頭蓋底と
parapharyngeal space への進展を有するため、手術的に切除することが困難で、治療は放射線が中心となります。これに化学療法が併用されます。扁平上皮癌が約90%でシスプラチンが有効とされています。
 T1~4、N0~3、M0の全ての癌が根治的放射線治療の対象となります。T3~4の進行例で放射線治療と同時併用化学療法で生存率の改善が得られるという報告が多く、一般的となっています。リンパ節転移を想定した大照射野で45Gy程度を照射後、原発巣に追加照射を行います。最近では強度変調放射線治療(IMRT)を用いて、唾液腺などの線量を減らす試みがなされています。

中咽頭癌についてです。

 中咽頭は気道と食道の交差点で”かぜ症候群”の首座です。東南アジアに多く、口腔内の衛生と関係があります。男性に多いです。早期例は放射線治療が主体で、進行例や放射線抵抗例では手術を行います。
 T1~T2、N0では放射線治療が優先されます。左右対向2門で開始し、40~45Gyの段階で治療計画を行い脊髄線量を抑え、総量70Gyを投与します。T3以上の進行例は放射線感受性の悪い例では40~45Gyの段階で手術を行います。リンパ節転移には頸部郭清を行います。
 治療成績は全体の5年生存率で40~60%程度です。

下咽頭癌についてです。

 早期には症状が発現しにくく、過半数がT3~4でありリンパ節転移例も6割以上と頭頚部腫瘍の中で最も予後が悪いです。手術とh放射線治療を組み合わせて治療を行います。化学療法の同時併用による有意が明らかになりつつあり、進行例では検討に値します。部位としては梨状窩、輪状軟骨後部、下咽頭後壁があります。
(1)梨状窩
 T1,2の早期例では放射線治療単独、手術が行われ、同程度の成績です。T3,4では手術が行われ、切除不能例では放射線治療と化学療法がおこなわれます。
(2)輪状軟骨後部
 切除可能例では切除と術後照射、切除不能例では放射線治療と化学療法が行われます。
(3)下咽頭後壁
 T1では放射線治療単独、T2~4では切除と術後照射が行われます。
 全体の治癒率は35%程度で局所病変で60~80%程度です。リンパ節転移をきたした例では20~40%、遠隔転移で10~20%程度の5年生存率です。放射線単独での成績はこれより劣ります。

以下に咽頭、喉頭の分類を示します。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分かれます。
これらについて説明していこうと思います。

まずはホジキンリンパ腫についてです。

 欧米ではホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の約半数を占めるが、日本では15~20%にすぎません。20歳前後と50歳以上に好発年齢の二峰性ピークがあり、男性にやや多いです。頸部リンパ節の無痛性の腫脹で発症することが多いです。特徴的な点は、隣接するリンパ領域に連続して順に進展することです。臨床病期の決定には、骨髄生検、血液検査(LDH、赤沈など)、単純X線写真、CT、超音波検査などが必要です。組織学的には5つに分けられ、予後が相違します。臨床病期はAnn Arbor分類が広く用いられています。
 治療法です。
 Ⅰ、Ⅱ期ではABVDなどの化学療法後に限局照射による放射線治療を行います。
 ⅢA期では主に化学療法単独で80%の10年無病生存率が得られます。
 ⅢB期、Ⅳ期はABVDによる化学療法が一般的です。
 ⅠA~ⅢB期で縦隔に巨大腫瘤を有する症例やⅢ期以上では化学療法とinvolved fieldの放射線治療が必要です。また、1個のリンパ節腫大とそれに連続する骨病変などの限局した節外病変を持つ症例ではしばしば、放射線治療単独で制御可能です。
 全体で5年生存率は90%、非再燃生存率は80%です。Ⅰ、Ⅱ期ではそれぞれ90~95%、80~85%、Ⅲ、Ⅳで60~85%、40~60%程度となっています。

次に非ホジキンリンパ腫についてです。

 非ホジキンリンパ腫では組織型、病期、リスクファクターを明らかにし、根治治療、対症療法、経過観察のいずれかを選択します。放射線治療と化学療法が主体で、腫瘍内科医と放射線治療医などが協議して治療を行います。最近ではWorking Formulationに代わり、REAL分類が多く用いられています。しかし、REAL分類は臨床側からの視点に欠けるため、悪性度や予後に関する検討がなく欧米症例が中心で、B-cell diffuse large cell typeが約過半数を占める日本では再分類が必要と考えられます。
 軽悪性群のⅠ~Ⅱ期では放射線単独で5年生存率は80~100%です。広い照射野は不要で線量は30~35Gyです。予後は良いが治癒には至らないので保存的な考え方が必要です。
 軽悪性群のⅢ~Ⅳ期では病期が進行しても長期生存が可能です。経過観察から骨髄移植まで種々の治療法がとられるが、長期予後には大きく関与しません。放射線治療も行われますが、対症療法となることが多いです。
 中、高悪性群のⅠ~Ⅱ期で大きな腫瘤がない場合はCHOPまたはリツキサン+CHOP(RCHOP)3コース後30~40Gyの放射線治療を行います。大きな腫瘤があったり、予後不良であったりする場合はCHOPの回数を増やします
 中、高悪性群のⅢ~Ⅳ期はCHOPによる化学療法が中心となり、化学療法の再発例では治癒は難しく、末梢血管細胞移植による大量線量法も考慮します。